正統派で自由気ままな王子…メルボルンっていったいどんな街?
32歳にして海外バージン(海外旅行未経験者)のウートピ編集部Y子。
このままもったいぶるのは嫌!
さっさとバージンを卒業したい!
でも、一生に一度だけだから最高の思い出にしたい!
と、わがままを炸裂させるものだから、ウートピ編集部は旅歴25年間に80カ国以上を旅し、酸いも甘いも知り尽くしたトラベルジャーナリスト・寺田直子(てらだ・なおこ)さんに相談。
前回、ポートランドを勧めてもらったY子でしたが、ヒップスターのワイルドさに完全にびびってしまい、「やっぱ海外怖いわー」などと言い出す始末。ヒップスターは嫌いじゃないけどそこまで意識高いと「ちょっとムリかも……」というY子に、寺田さん、すみませんがもう少しマイルドな国を教えてください。
オーストラリアのイメージを覆すメルボルン
はぁ〜。トライ&エラーで経験値上げていかないといつまでもスタート地点のままなんですがね。まあ、しょうがない。
それではポートランドに似てはいるものの、もう少しおつきあいしやすいタイプをご紹介。それがメルボルンです。
オーストラリアといえば日本人観光客に人気の高い国というのは知っていることでしょう。コアラやカンガルーに、ゴールドコーストやグレートバリアリーフといったビーチリゾート。それにオージービーフに巨大なロブスターなどのシーフード。そんな明るく開放感たっぷりのリゾート大国というのが一般的な印象のはず。
でも、ビクトリア州の州都となるメルボルンは石畳の路地、レンガ造りの建物などクラシックな街並みがエレガントでガイドブックでも「英国らしい街」と表現されることも多いそれは落着きある都市。オーストラリアの底抜けに明るい印象しかないとちょっと意外に思えるほどシックで大人びた風情に驚くかも。
そんな奥深さを感じさせる環境からかヒップスターばりに意識の高いファッションデザイナー、シェフ、アーティストなども多数輩出するのがメルボルンなのです。
豊かな食文化のトリコになるはず
加えてチャイニーズ、ベトナム、イタリア、ギリシャ、韓国、日本などマルチカルチャーなお国柄の中でも突出してさまざまな移住者たちが暮らすメルティングポットな都市でもあり、学生街でもあるので自然とエッジの効いた独自のカルチャーが育まれ、個性を放つ。そんなところがポートランドと実によく似ているのですが、元来フレンドリーなオージー気質はそのまま。
親日度も高く日本人観光客に対しても実に親切に接してくれます。そんなところがバージン女子には安心感を与えてくれるわけです。
メルボルン文化の筆頭にあげられるのがカフェ&フードカルチャーです。レーンウェイと呼ばれる19世紀の建物の間に生まれた小路がいくつもあり、そこにカフェやベジタリアン、アジアンレストランなどがギッシリ。どこも若手シェフやサードウェーブコーヒーのバリスタなどが活躍する活きの良さを実感するスポットばかり。このあたりのファンキーさがポートランドと良く似ています。
アートも満喫
そして、ポップな壁画で埋め尽くされたアートストリートやサウスバンクと呼ばれる市内南にはビクトリア・アートセンター、シアター、ナショナル・ギャラリー・オブ・ビクトリアといった美術館や芸術拠点が。街を歩いていてもいたるところに良質なギャラリーが多くオーストラリア屈指のアートシティといっても過言ではありません。市内を走る無料のトラムを活用して芸術散策を楽しむのがおすすめです。
日本とメルボルンはカンタス航空が直行便を運行するほか、今年9月1日からはJALも直行便を就航と行きやすさも向上。物価は東京レベルに高いですが食、ホテルどれも上質。あ、ちなみにオーストラリアのある南半球は6〜8月が冬。行きどきは夏に近づく11月以降がおすすめです。
英国的な端正さを持つ正統派だけれど若々しくてちょっとファンキーな面も魅力。そんなメルボルンは例えるならばイギリス王室のヘンリー王子的な次男坊クン。家を継ぐこともないので自由きままにやんちゃで奔放。
でも血筋のいい育ちのためおおらかで誰からも好かれる人気者。ちょっと手に負えない面もありそうですがそこもまた魅力。オンナっぷりを上げるためにもハードルやや高めに挑戦です。
Y子、復活。さらなる野望を口にする
「レーンウェイって楽しそう! お気に入りのお店を見つけて、SNSにアップしたいな!」
「カイガイコワイ」を連呼していたY子でしたが、メルボルンを知ってやや復活。SNSと口にすると、閃いたようにさらなる野望を口にします。
「SNS映えって大事じゃないですか!? ほら、ウユニ塩湖とか!」
寺田さん、毎度すみませんが、Y子の夢を叶えられるような場所、ありますか?