さわやかな大自然の魅力を感じる。夏に読みたい、人生のヒントが見つかる旅行記

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1999年、当時24歳の大竹英洋さんはあこがれの写真家に会うために、カナダとアメリカの国境付近に広がるノースウッズに旅に出ます。

写真家の住所は知らない。手がかりは写真集にある家の写真と手書きの地図と、ナショナル ジオグラフィックの記事だけ。『そして、ぼくは旅に出た。』は夢に向かい、ウィルダネス(原生自然)を旅した大竹さんの旅行記です。
スピリチュアル・クエスト

ノースウッズとは、北アメリカ大陸の中央北部に広がる湖水地方のこと。数え切れないほど多くの湖が点在しているので、車での移動は困難な場所もあります。大竹さんは、乗ったこともないカヌーを現地調達し、写真家が住んでいると思われるエリアを1人目指します。
無謀とも言える旅に駆り立てたのは、半年前に見た夢。それは針葉樹の中で鋭い視線を向けるオオカミでした。写真家としてテーマを模索していた大竹さんは、オオカミについて調べ、引き寄せられるように自然写真家ジム・ブランデンバーグを知るようになります。
感性を研ぎ澄まし自然の一瞬をとらえるジムの写真に魅せられ、弟子入りしたいと思い手紙を書きますが数カ月待っても返事はなし。そこで、断られたわけではないと直接本人に会いに行こうと思ったのが、旅のはじまりでした。
ノースウッズで過ごした3カ月
出会う人たちや幸運にも助けられ、大竹さんはついにジムに会うことができます。あこがれの写真家を前にし、思いを伝えるうちに大竹さんの目から涙が溢れました。するとジムは、そっと言います。

それは、サインなんだよ。きみの気持ちが心の深いところにたどり着いたという......。だから、なにも心配しなくていいんだ
(『そして、ぼくは旅に出た。』p228より引用)

弟子入りは叶いませんでいたが、カヌーで1人旅してきた日本の青年を、ジムは温かく迎えます。ジムが不在の間は、友人で極地探検家のウィル・スティーガーの敷地で過ごしました。
ジムとウィルという、第一線で活躍する人たちの暮らしぶりを間近で見ることができたこと、そしてノースウッズの大自然が大竹さんを大きく成長させたのです。
夢を信じてとにかく前へ

400ページを超える本ですが、動植物や自然、人々の魅力にぐいぐい引き込まれ、読み終えた後は、ノースウッズを一緒に旅したような、心地よい達成感があります。

子ども向けの写真集も出版している大竹さんのトークイベントは親子に大人気。大自然の美しさ、そこで暮らす人々の厳しさ、そして自分を信じて突き進む大竹さんのお話から、大人も子どもも何かを感じることができると思います。
ノースウッズから始まった、写真家大竹さんの活動は進行中。これからどんな旅をして、どんな世界を私たちに教えてくれるか楽しみでもあります。さわやかな大自然を描くこの本は、暑い夏に読むには最高。大竹さんと一緒に夢を探す旅に出ませんか?
写真:大竹英洋
[『そして、ぼくは旅に出た。』]