「参議院インターネット審議中継」より

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 昨日の参議院閉会中審査で、またもやあの男がやってくれた。そう、ネット右翼や安倍応援団から絶大な支持を誇る、自民党の青山繁晴議員がトップバッターとして質問に立ったのだ。

 本サイトでもお伝えしたとおり、青山センセイといえば、10日の閉会中審査で前川喜平前文部科学事務次官を攻撃するも、ことごとく切り返され撃沈。完全に"青山教"の信者と化しているネトウヨをのぞく国民から失笑を買ったが、そんな青山センセイが今回、どんな珍質問を繰り出すかと中継を観てみると、やっぱり、予想以上のヒドさだった。

 まず、いつもの「党利党略のためでなく、ただ国益のためにこそ、不肖ながら質問します」なる決め台詞を吐いた青山センセイだが、その舌の根も乾かぬうちからモロに"党利党略"発言を連発、あまつさえ自爆の質問まで繰り出してしまったのである。

 たとえば青山センセイは、前川氏が24日の答弁で、和泉洋人首相補佐官から呼び出され「総理は自分の口から言えないので私が言う」と伝えられたとする日時を間違えていたことをドヤ顔で指摘していた。といっても、これ、青山氏が間違いを見つけたわけでなく、24日の審議の中で前川氏は日時の言い間違いを自ら訂正していたものだ。ところが、青山センセイは鬼の首をとったかのごとく、こう言った。

「社会の見方はやはり文科省の前事務次官でございますから、常に正確に記憶に基づいておっしゃってると国民は思いますので、この神聖な国会審議において、信憑性に疑問をもたざるをえないようなご答弁はいかがなものかと思います!」

 しかし、笑えるのは、この後、安倍首相が例の「事業者が加計学園だと知ったのは今年1月20日」なるミエミエの嘘をめぐり、過去の答弁の"訂正"に追い込まれたことだろう。

 これぞブーメラン。「神聖なる国会審議で信憑性に疑問をもたざるをえないような御答弁はいかがなものか」という台詞は、それこそ、自分の党の総裁にいうべきだが、もちろん、青山センセイは安倍首相にはそんなことは一言も言わない。「党利党略のため」の質問であることを完全に証明してしまったのだった。

●またも飛び出した青山繁晴のデタラメ「関係者によると」論法

 しかも、笑ったのが性懲りもなく、またぞろ、出所不明の「関係者」情報をもちだしたことだ。青山氏は本日、出演した『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)で、あたかも自分は自民党という立場に関係なく、安倍首相と加計理事長の友人関係を追及したと嘘八百を言っていたが、実際の質問内容は以下のようなものだった。

「不肖ながら記者出身であるから、関係者にも複数当たってみました。(略、1月20日国家戦略特区諮問会議の)議事録を拝読する限り加計学園って名前は出てこないんです。しかし、関係者によれば、総理は事前の事務方のブリーフィングで加計に決まったことを知り、そして関係者の一致した証言によると、総理はこれまで今治市が特区に指定され、その前に名乗りを上げて指定され、そして獣医学部の話があるのはご存じであったけれども、そこに加計学園が申請していることは知らなかったというふうに、複数の関係者がおっしゃっています。総理、この経緯で正しいでしょうか」
「関係者の証言たどっていきますと、加計孝太郎理事長が総理に教育論をぶつことはあった、と。しかし具体的にどの学部をどこにつくりたいという話はしないということだ、と。で、ゴルフをなさっても食事をなさっても、政治家の利害に関わる話はしない習慣になっていた。だからこその友だちだ、と。まさしくいま、総理がおっしゃったことと一致している」

 ようするに、名前も明かしていない青山氏が取材した「関係者」も同じことを言っていたから、安倍首相の言う「1月20日に初めて知った」「どの学部をどこに作りたいという話はしない」は信用できる、などと主張していたのだ。そんなことが通用するなら、なんだって言えるだろう。

 実は、青山センセイは10日の閉会中審査でも出所不明の「関係者」情報を質問していたが、これはのちにガセであることが判明している。青山氏は「僕の知り合い」に聞いた話として「(京都産業大学は)今回ダメでも、次回に期待できるということで、無理はせずに矛をおさめました」などと吹いていたのが、周知の通り、そのわずか数日後に京産大は会見を開き「加計学園さんが申請することになり、国際水準の獣医学教育に足る質の高い教員を確保することが難しくなった」として将来的な設置も断念したのだ。

●国会でネトウヨと同じ「報道しない自由」問題を持ち出した青山

 さすがは、共同通信記者時代にウラの取れない記事を濫造し、同僚記者から「文豪(笑)」とのあだ名をつけられていただけのことはある。というか、国会という場所でまるで週刊誌の記事みたいな出所不明な「関係者」情報をもとに行政の最高責任者を擁護すること自体が前代未聞だし、国会を『虎ノ門ニュース』か何かと勘違いしているとしか思えない。

 こうして、初っ端から盛大な自爆のタネを蒔き、またぞろお得意の「文豪」ぶりを見せつけた青山センセイ。しかし、これはいわば序章にすぎなかった。今回のハイライトといえば、やはり、これを置いてないだろう。そう、いまネトウヨががなりたてている例の"加戸氏の発言をもっと報道しろコール"をあろうことか国会で再現したのだ。

  周知の通り、いま、安倍応援団やネトウヨの間では「前愛媛県知事の加戸守行氏の答弁が加計問題の疑惑をすべて晴らした」なる言説と、「加戸氏の発言が真実を明かしているのにマスコミは意図的に取り上げない」なる陰謀論が行き交い、「報道しない自由」なるネトウヨスラングまでまたぞろ拡散している。

 つまり、数々の内部文書から証拠が出ている「加計ありき」の事実に正面から反論できない安倍政権とその応援団は、マスコミを「偏向だ!」と叩くことで疑惑をうち消そうと躍起になっている、ということなのだが、そこに目をつけたのが青山センセイ。昨日の閉会中審査で、加戸氏に対してこんな質問をし始めたのである。

「実は7月10日、加戸参考人が経緯も含めてとてもわかりやすくお話しいただいたんですけども、ほとんど報道されませんでした。ちなみに、僕という国会議員はこの辺にいないかのような扱いになっておりましたが、それは有権者には申し訳ないけど、はっきり言ってどうでもよいことであります。問題は、当事者の前川参考人とならんで、一方の当事者の加戸参考人が、まるでいなかったごとくに(マスコミに)扱われたということ(中略)。加戸参考人におかれては、今回のこのメディアの様子を含めて、社会の様子、どのようにお考えでしょうか」

 ようするに、"加戸氏の発言を伝えないマスコミはけしからん! 加戸さんもそう思うでしょ?"と水を向けたわけだが、実はこの質問、完全なデマにもとづいていた。そのことを証明したのが、数日前の青山センセイの発言だった。

 今回の閉会中審査の4日前、7月21日に青山センセイがゲスト出演した、櫻井よしこ氏主宰のインターネットテレビ「言論テレビ」でのことだ。

●青山の質問は真っ赤な嘘! 加戸氏の発言を放送していたNHK

 青山センセイはお仲間の櫻井サンと「偏向メディア」の話題に花を咲かせていたのだが、そのなかで「加戸証言からいままで報道されざるシンプルな事実が出てきた」としたうえで、加計問題を「野党と一体となったメディア」による「捏造された疑惑」と断言。そして、閉会中審査での質問同様、新聞もテレビも加戸氏の発言を「なかったことにしている」と主張したのだ。

 そして、この番組で青山氏が具体例のひとつとして名指ししたのがNHKで、こう断言した。

「生中継しながら、夕方以降の編集されたニュースになると加戸守行元愛媛県知事をいないことにした」

 さらに、青山氏はこう啖呵を切ったのだ。

「これは、19年ぐらい共同通信記者やった僕から見ても、メディアの劣化ってよく言われるけど、これ完全にメディアの終わった日を自分で演出しましたね、7月10日というのはね」

"メディアの終わった日"などという言い方がいかにも青山センセイらしいが、終わっているのは青山センセイのほうである。実は、青山センセイがドヤ顔で言う「NHKは加戸氏をいないことにした」というのは、まったくの事実無根だったのだ。

 実際、本サイトでも10日当日のNHK『ニュース7』を改めて調べたところ、番組では、前川氏と山本幸三地方創生相の言い分を同じくらいの尺で報じたうえで、「また、参考人して出席した前の愛媛県知事の加戸守行氏は次のように述べました」として、VTRつきで加戸氏の主張を紹介。国会での「20年前に、愛媛県民のそして今治地域の夢と希望と関心を託して、チャレンジいたしました」「岩盤にドリルで、戦略特区が穴を開けていただいたということで、ゆがめられた行政がただされたというのが正しい。いま、本当にそれを喜んでおります」という"熱弁"をごく普通に放送していた。

 加えれば、同じ日の夜の民放キー局のニュース番組でも、やはり加戸氏の発言を映像とともに報じていた。日本テレビ『NEWS ZERO』、フジテレビ『ユアタイム』はもちろん、青山センセイと櫻井よしこサンが目の敵にする朝日テレビの『報道ステーション』やTBS『NEWS23』もだ。

 ようするに、青山センセイはまったくのガセを前提に、国会でも「加戸氏はまるでいなかったごとくにマスコミに扱われた」とがなりたてたのである。

 また、仮にマスコミが加戸氏の発言を積極的に取り上げていなかったとしても、いったいそれの何が問題なのか。

●取り上げられたら安倍政権が困る、加戸元愛媛県知事の衝撃発言

 改めていっておくが、加計問題の本質は、加計学園の獣医学部新設が認められたプロセスにある。しかし、加戸氏が10日に語った内容は、「いかに獣医学部誘致が愛媛県と今治市において悲願であったか」ということだけで、そのプロセスが公正であったことの証拠、加計ありきだったことを否定する証拠はたったの一つも提示することができなかった。

 当たり前だろう。加戸氏が愛媛県知事に就いていたのは、第二次安倍政権が発足する3年前までであり、特区指定の行政プロセスにはまったくかかわっていないし、そもそも知事は申請する側であり特区選定プロセスなど知る由もないのだ。真相解明につながる話なんて最初からできるはずがないのである。

 しかも、加戸氏は安倍首相のお友達、日本会議人脈で、第二次安倍内閣では、安倍首相の指名で教育再生実行会議の委員に選ばれ、何の関係もない同会議で、突然、「総理の言葉を借りまして、固い岩盤も愛媛県という小さいドリルであかないので、実行会議の大きなドリルで穴をあけていただければ」などという演説までぶったこともある。こんな露骨な安倍応援団の証言をまともに取り上げろ、というほうがおかしいだろう。

 いや、逆に、加戸氏の発言をメディアが積極的に取り上げたら、安倍政権のほうが困ったのではないか。たとえば、加戸氏は昨日の閉会中審査でもこんな台詞を口走っていた。

「有識者会議の判断と、内閣府のあるいは虎の威を借りるような狐の発言を用いてでも強行突破していただいたことは、私は大変よろこんで今日にいたっています」

 これって、つまり、狐=内閣府が虎=安倍首相の威を借りて、獣医学部設置を突破したという話であり、逆に加計学園の獣医学部特区選定が安倍政権の恣意的な決定だったことを認める発言ではないか。

 ところが、青山センセイもネトウヨも、加戸氏のこういうトンデモ発言のことは一切触れずに、「加戸氏の発言を取り上げないマスコミはおかしい」ということだけを主張するのである。あげくは、加戸氏のTBS『報道特集』をめぐる妄想のようなイチャモンまでもっともらしく語らせる始末だった(この件については、あまりにくだらないうえ、説明すると長くなるので、別の機会があれば検証したい)。

●加計問題を偏向報道のせいにして報道に圧力をかけた青山

 いずれにしても、青山センセイが昨日の閉会中審査でもち出した質問は、いま、ネトウヨたちがやっていることとまったく同じだ。

 加計問題をめぐっては前川氏の登場以降、空気が一変。次から次へと"加計ありき"の証拠が出てきて、国民の不信感はどんどん募るばかりだ。ところが、対する安倍政権や安倍応援団はまともな反論ができず、安倍首相はじめ渦中の人物たちは明らかに嘘とわかる隠蔽発言を繰り返すしかなくなっている。

 そこでネトウヨたちは、前回の閉会中審査で加戸氏の発言と前川氏の発言の扱いに差があったことに目をつけ、"偏向報道のせいだ"と話をすり替える作戦に出たのだ。

 まあ、ネトウヨのこういうやり口はいつものことなので驚かないが、青山氏はれっきとした国会議員である。それが、「加戸氏をいないことにした」などとネトウヨ以上のデマまでふりまき、メディアを攻撃したのだ。これは、明らかな報道への圧力そのものではないか。

 しかし、これはおそらく、青山センセイの独断でなく、安倍政権の作戦でもあるのだろう。そもそも、この閉会中審査の質問時間をめぐって、野党が通常の予算委員会と同じ「2対8」を要求したのに対し、自民党は「5対5にしないかぎり開催は拒否する」などと言って、「3対7」に譲歩させていた。それでいて、結果、自民党が参院での持ち時間72分のすべてを託したのが青山センセイだったことが、安倍政権の今を物語っている。

 ようするに、疑惑をごまかしきれないところまで追い詰められた安倍政権は、口では「丁寧に説明」と言いながら、メディアに対して、みさかないなく「偏向だ」「公平でない」などの圧力や恫喝を強めていく作戦に出はじめたのだ。

 そういう意味では、前回、大恥を晒しただけだった青山センセイだが、今回はミッションを果たしたと言えるのかもしれない。実際、その報道圧力質問が早速、功を奏したのか、青山センセイはきょう、フジテレビの番組でありながら、加計問題を厳しく追及していたワイドショー『グッディ!』に出演。質問に立った民進党・玉木雄一郎議員の日本獣医師会のからの5年前の献金をあげつらうなど、必死で話のすり替えを行った。

 そういう意味では、安倍政権の弱体化がしきりに報道されているが、油断してはならない。これから安倍政権は"最後のあがき"として青山センセイはじめネトウヨ議員たちを使って、なりふりかまわぬデマ攻撃を仕掛けてくる可能性は十分ある。メディアは弱腰を見せることなく一丸となって対抗する必要がある。
(編集部)