神奈川県で最古の神社といわれている『有鹿神社(あるかじんじゃ)』。

長く人々から親しまれてきた神社に、パンダの被り物をしたファンシーな宮司が現れ、ネット上で話題を呼んでいます。

きっかけは参拝者がTwitterに投稿した写真でした。

装束にパンダの被り物というギャップから「なぜパンダ?」「鹿じゃないのか」「可愛い」といったコメントが殺到。

宮司姿のパンダは『パンダ宮司代理』という名で、宮司が不在の時に出現するのだそう。パンダ宮司代理の誕生秘話を、中の人を務める禰宜(ねぎ)の小島実和子さんに話を聞きました。

※禰宜…神職の職称の1つ。宮司を補佐する立場。

勘違いから生まれたパンダ宮司代理

――パンダ宮司代理誕生のきっかけは。

もともとSNSを通じて有鹿神社の情報を発信していたのですが、その時に登場していたのが、こちらの『パンダ宮司代理(小さいほう)』なんです。

たまたまパンダ宮司代理(小さいほう)の写真を地元テレビ局から取材の依頼をいただいたのですが、パペット人形と気付いていなかったみたいで、打ち合わせの時に「小さっ!」と驚かれてしまったんです。

スタッフの反応を見た小島さんは、元々動物の耳のカチューシャなど、小道具類を持っていたということもあり、パンダの被り物を自作することを決意。

通販でパンダの被り物を買ったのですが、全然可愛くなくて。紙粘土を貼ったりして、改良しました。

製作過程は、小島さんがTwitterで紹介しています。自作とは思えないほど、素晴らしい出来栄えです。

地元テレビ局の勘違いがなかったら、大きいパンダ…もといパンダ宮司代理は誕生していなかったのです。

――なぜパンダなのか。

宮司を務める私の父がパンダに似ているからです。

神社の名前にも入っている『鹿』はまったく関係ありませんでした…!

しかし、有鹿神社の御朱印にはしっかり『鹿』が入っています。昨今の御朱印ブームの影響もあり、取材当日も、御朱印を求める参拝客の姿が。

――どんな時にパンダ宮司代理は登場するのか。

お宮参りの時とか、ご祈祷の時ですね。参拝にいらっしゃってくださった方々のリクエストにお応えする形です。

パンダ宮司代理が話題になったのは、夏の暑さも増し始めた7月の初めごろ。熱中症が心配になる時期ということもあり、暑さ対策についても聞いてみました。

ハイテクの波が神社にも…!

――この時期は暑くないのか。

中に扇風機がつけられるので、実はそこまで暑くありません。それに、しゃべる時は取ってしまうので。

パンダの被り物の内部に、マグネット式で着けられるようになっているという小型扇風機。なんともハイテクです…!

子どもウケ抜群のパンダ宮司代理

――パンダ宮司代理で、参拝客は増えたか。

話題になったのも最近のことなので、目に見えた反響はありません。

しかし、話題になったことがきっかけで、Twitterのフォロワー数は300人近く増えたのだそう。

――有鹿神社は何を祀っているのか。

水の神様です。水はすべての命の源ですので、農業を始めとする産業や子育てを守護します。

子育てにご利益があるということで、お宮参りに訪れる参拝客も多いそう。だからなのか、拝殿や社務所には可愛らしい動物の置物が鎮座しています。

パンダ宮司代理もきっと子どもウケ抜群のはず。お宮参りは有鹿神社に足を運んでみてはいかがでしょうか。

地元の方々が誇りに思えるような神社に

拝殿の天井に描かれている龍の絵が海老名市の文化財にも指定されている有鹿神社。

それほど歴史ある神社が、パンダ宮司代理のようなパフォーマンスを行うことは意外です。

――神様を祀る立場として、パンダ宮司代理の存在は大丈夫なのか。

神社神道から逸脱しない範囲で行っています。

また、小島さんがパンダ宮司代理を続けるのは、地元の方々に対する思いが強く関係しているようでした。

こうして話題になることで、地元の方々に有鹿神社の存在を知っていただきたいという思いがあります。

そして、地元の方々に誇りに思ってもらえ、愛されるような神社になれたらな…と思います。

神社とは、地元の人々を守る存在です。パンダ宮司代理の見た目のファンシーさの裏には、海老名に暮らす人々に対する熱い思いが隠されていたのでした。

[文・構成/grape編集部]