金古「出ます出ます、ふつうに出ます」
 
──宮原さんが関東に仕事で来るということになって、今日の対談が実現しましたけど、具体的にどんなお仕事だったんですか?
 
宮原「Jリーグ主催の取り組みで。Jリーグ運営全体における下部組織の有り方に関して見直しをかけて、育成の中長期計画を作ってます。J1の18チームとベルマーレさんとうち(アビスパ福岡)の20チームの下部組織の責任者が、日産スタジアムにあるスポーツ医科学センターで4日間がっつり取り組むプログラムです」
金古「今はU-15の監督なんだよね?」
宮原「うん、今日の研修は”ヘッドオブコーチ”のほうの仕事」
金古「チームの育成全部のことってすごいね。コーチのなかには(古賀)誠史さんもいるんよね」
宮原「偉大な先輩だから敬語で話してますよ(笑)。U-15の監督の仕事でいうと、今は学校訪問の時期だから、もう1週間のルーティンスケジュールって感じじゃないよね」
金古「学校訪問までするんだ」
宮原「さっきの金古の話じゃないけど、うちのグラウンドではちゃんとしてても、学校では遅刻してないかとか、成績はどうかとか、進路も関わってくるから。三者面談もします」
千代反田「自分は、営業職なんで、ほんとは担当地域の外回りに直接行ってもいいんですが、毎朝できるだけ8時少し前に会社に行くようにしてます。アサヒビールの東京営業所ですから、営業の最前線。全国に営業所があるなかで東京に配属してもらって、チャンスをいただいている。平日は帰りが遅いことが多いです」
宮原「”課長補佐”ってどういうポジション?」
千代反田「課長から上になるともうマネジメントもできないといけない。でも僕の場合は入社した時の年齢でつけてもらってる役職にすぎません。部署は15人ほどですけど、この仕事では全員先輩だと思っています」
 
宮原「チヨはさっきも店のワインのラベル真剣に見てたよね。対談に集中してくれる?(笑)」
千代反田「アサヒはスーパードライが有名だけど、ワインも扱ってる。海外のメーカーと提携したり会社ごと買収したりもして。会社では酒類の検定というかテストをみんな受けてて、自分はまだいちばん優しいのをひとつ受かっただけ。お酒の勉強ももっと頑張らないといけないんで」
 
──大企業ともなると、転勤や人事異動もありますよね。どういうキャリアプランですか?
 
千代反田「僕はまず、ずっと永く続けること。現役の最後の3年間は毎年チームを変わることになって、やっぱり短期間ではできることが限られてしまった。ああいうのはもうぜったいイヤなんです。配属された部署でしっかり頑張りながら、どんな形でもいいからスポーツのために仕事ができたらいいなという想いはあります」
宮原「“スポーツ”じゃなくて、“サッカー”って言ってほしいよね。サッカーに特化していいんじゃない、それが強みだし、お前にしかできないと俺は思うんだけど」
千代反田「会社もチャレンジしてくれてる、きっと。会社員経験のない35歳過ぎの人間を社会人スポーツ部枠とかじゃなく、ふつうに採用するんですから。自分がそうとう頑張らないと、今後そういう人材は採りたくない、ってなる。たとえば、こういった取材依頼があった時にどうするかも、前例がない。最初は上司に一つひとつ申請してたけど、そのうち、ボランティアも含めて会社のためになることだったらいいよと、ある程度判断を任せてもらうようになってきた。近い目標では、東京オリンピック・パラリンピックです。うちの会社はゴールドパートナー企業なんです。オリンピック専門の部門もありますし、宣伝のような部門もある。でもその部署の仕事が、具体的にスポーツをやるひとたちに直接何かできる部署かどうかは分からないですから」