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 これまで1万人以上を面談した産業医の武神健之です。産業医として10年間の経験から、メンタル不調者が出ない組織の上長が共通して持っている「みる技術」、「きく技術」、「はなす技術」についてこれまで書かせていただきました。

 人の生産性というのは安心できる環境、安全でポジティヴな環境のなかで伸び発揮されます。反対にネガティヴな感情が渦巻いているようなところでは人の生産性や能力は伸びませんし、結果も期待できません。

 ほめるから生産性が上がるのか、生産性が上がるからほめるのか、どちらが先かはわかりません。ただ、メンタル不調者が出ない組織の上長は、部下をよくほめています。その結果チーム内にもほめ合う文化があります。そしてそのチームには常にポジティヴな雰囲気(環境)があり、結果が出ています。

 今回はメンタル不調者が出ない組織の上長が持っている「ほめる技術」についてお話しさせていただきます。

◆「ほめる」ときに意識したい2つのコツ

 ほめるというのは、相手に事実を好意をもって伝えることです。

 事実でないことを伝えた場合を、おだてる・お世辞と言います。あくまでも事実を好意を持って伝えるのが「ほめる」であり、ほめるはおだてるとは違い、ほめるに下心は不要です。

 事実を好意を持って伝える=ほめるときに大切なのは、2つのポイントを意識することです。

 1つめは、すぐにほめる・そのときにほめるということです。

 たとえば1年前のことをほめられても、誰もあまり嬉しくないでしょう。どうせほめるなら、そのときにほめて欲しかったと思われてしまいます。

 2つめは、ほめるときは、ワンパターンな言葉ではなく具体的にほめることも大事です。

 いつも「ありがとう!」「すごい!すばらしい!」ばかりでは、何を本当にほめているのかよくわかりません。きっとあなたの職場にもワンパターンな言葉でほめる上司がいると思います。そのひとのほめ言葉に、重みはありますか?

 人がほめられて本当に嬉しいのは、そのほめられる内容に納得感があるときです。

「○○をしてくれたのがよかった」、「○○をしてくれて嬉しかった」と、ほめる理由を具体的に伝えましょう。それができていれば、色々な言葉でほめるというポイントも押さえられます。

 このように、具体的な事実を好意をもってすぐに伝えるという「ほめる技術」が、結局のところ、相手との間にいい関係性を築き、職場の雰囲気をよくしています。当然、メンタルヘルス不調になる人は少ない環境が形成されています。これが「ほめる技術」をもつ上長ができていることなのです。

 私が管理職研修でこのような話をすると、たまに「でも、私の部下にはほめるところが見つからないんですが、どうやってほめたらいいんですか?」と質問されることがあります。

 大丈夫、ほめるところはあります。相手のほめるところを作るために、ほめる技術の基礎となる「ほめどころピラミッド」をご紹介します。

◆ほめるところがない部下はどうする?

 では、今ほめるところが見つからない相手をほめるためには、どうしたらいいのでしょうか。それは、まずは、ほめるところを見つけることです。

 そこで使えるのが、「ほめどころピラミッド」です。

⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=147196

 これは一番下の階層の「環境をほめる」から始まって、一番上の「存在をほめる」まで、ほめる技術を段階的に表したものです。

 たとえば、「ネクタイがおしゃれだね」「机がいつも整頓されていていいね」「小洒落た服装だね」などは一番下の「環境をほめる」にあたります。

 次の段、「行動をほめる」です。結果ではなくとりあえず行動をほめます。