編集Aのデスク。かなり広い机なのに、モノがあふれて作業スペースがないのが悩み。机の下や、袖机の手前まで箱と紙袋が積み上がっている。片づけの目標は「机の上にモノを置かない」。

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あなたのデスクは片付いているだろうか? デスクが散らかっていれば、仕事の効率は落ちる。「どんなに片づけ下手な人でも必ずキレイにできる」という片づけアドバイザーの石阪京子さんに、片づけの方法を聞き、編集部で実践してみた。

デスクにうず高く積まれた資料や書類、引き出しの中で増殖する文房具、捨てられずにたまっていく名刺やハガキ……。デスクが散らかっていれば、仕事の効率は確実に落ちる。散らかり具合によっては、人事評価に影響する場合もあるだろう。何より、片づけられない自分が嫌になる。

プレジデントオンラインの編集Aもそんな「片づけられない人」の一人。そこで今回は、ベストセラー『一生リバウンドしない! 奇跡の3日片づけ』の著者であり、新刊『二度と散らからない! 夢をかなえる7割収納』(いずれも講談社)を刊行したばかりの片づけアドバイザー、石阪京子さんに具体的なアドバイスをうかがった。

■「いい人」は片づけが下手?

まずは石阪さんに、編集Aが撮ってきたデスクの写真を見てもらった。乱雑に積まれた書類、あふれ返る本と雑誌、モノの隙間になぜかお菓子とハガキ、捨てるに捨てられないお土産などなど……まさに「片づけられない人のデスク」だ。あっ、今、目をそらした人! あなたのデスクも似たような状態になっているのでは?

写真を見て、「片づけられない人は、いい人が多いんですよ」とフォローしてくれる石阪さん。片づけができなくても自己嫌悪に陥る必要はないのだという。「片づけられない人は、人にもらったモノを捨てられない優しい人が多いんです。何かにこだわりがある人や、完璧主義の人も片づけられませんね。だから、片づけられることで良い面がどんどん出てきますよ」(石阪さん)。

「これ、何時間くらいあれば片づけられますかね?」と尋ねる編集Aに、石阪さんは「2時間あれば十分です!」と力強い答え。ちなみに『夢をかなえる〜』の版元・講談社の書籍編集B氏のデスクまわりも、石阪さんのアドバイスによって見事に片付き、今もキレイな状態をキープしているそう。ここからは編集Aへのアドバイスを交えつつ、石阪さんにオフィスの片づけかたを解説していただこう。

■オフィスの片づけ、7つの極意

【その1】「こういう風に片づけたい」と片づけ後をイメージする

そもそも何のためにオフィスのデスクを片づけるのか? より良い仕事をするためにほかならない。気持ちよく仕事を進めることができるデスクにするのが目的だ。

「最初に理想の形、『こういう風に片づけたい』という姿をイメージしておくことが大事です。『より良い仕事をすることが自分にとってゴールだ』ということを忘れないでください。他の人からもらった文房具やお土産を取っておくためではありませんよ」(石阪さん)

【その2】まず現状の写真を撮ってみる

では、片づけの作業……をする前に。まずは、どんなモノがデスクや棚を占領しているのかを確認してみよう。そのためには、いつも座っている場所からデスクを見るのではなく、少し離れた場所から写真を撮ってみるといい。撮影はスマートフォンで十分だ。

「デスクの前に座ると仕事モードになってしまい、客観視できません。でも、写真で見れば、何が必要で何が不要か判断しやすくなりますよ。写真を撮ったらカフェにでも行って、写真をよく見てください」(石阪さん)。

その後、机から離れたところで写真を見ながら作戦を立てる。写真には収納場所ごとに丸をつけて番号を振り、どの部分をどうやって片づけるかを決めておく。“考える時間”と“片づける時間”を分けるのがスピードアップのコツだ。

【その3】収納アイテムを先に買ってはいけない

便利そうな収納グッズが紹介されていても、片づける前に買ってはいけない。片づけのために買ったグッズが収納できずに困ってしまう、なんて冗談みたいな話もある。「収納グッズを買うのは、片づけが終わってしばらくしてからにしてください」(石阪さん)。

【その4】モノを全部出す&仕事しながら片づけしない

紙袋やダンボール箱を用意し、デスクの周辺のモノを会議室などの空いているスペースに全部出してしまおう。自分がどれくらいのモノを持っているのかを可視化し、把握するためだ。

その際重要なポイントは、仕事をしながら片づけをしないこと。メールの返事や電話をしていてはそちらに気を取られて一向に片付かない。「片づけをするときは、仕事はしない。片づけだけをしましょう。いっそのこと、休日出勤して一気に片づけましょう。お弁当や飲み物の用意も忘れずに」(石阪さん)。

【その5】収納の「7割」までモノを捨てる

収納の7割とは「管理できる量」のこと。「収納の7割分しかモノがなければ、小さなお子さんでもお年寄りでも、必要なモノをすぐに探し出すことができます。それだけ管理がしやすいということです」と石阪さん。「片づけでよくあるのは、収納スペースいっぱいにモノを入れてしまうパターン。その後使い続けるうちに、空いたスペースにモノを入れ……がパズルのようになってしまい、また散らかってしまいます」

では、選別基準はどうすればいいのだろうか? 「いつか使おうと思っているモノと、本当に使うモノを分けてみてください。あとは誰かからもらったモノと、私が本当に好きなモノ。前者は捨てて、後者だけとっておきましょう。あと、私物は持ち帰る。前任者が残したモノは捨てる。与えられたスペースの7割で収まるように調整してみてください」(石阪さん)。大きなモノから捨てていくこと、ロッカーや引き出しの中などのバックヤードから片づけていくこともコツ。

収納の7割まで減らせば、あとはモノの置き場所を決めるだけだ。置き場所が決まれば、また散らかっても5分あればリセットできるようになる。リセットした状態で帰れば、次の日、気持ちよく仕事がスタートできるだろう。

「毎日、帰る前に机の上に何もモノを置かない状態にしましょう。私は、朝出社したら、その日使う資料を机の上の薄い引き出しに入れて、その中から取り出して作業していました」

ここで講談社の編集B氏からもアドバイスが。「収納スペースの3割を空けて、そこをテンポラリーにするといいですよ。僕の場合は大きな引き出しを一つ丸々空けてあって、取りかかり中のものなどはそこにとりあえずしまっておいています」

【その6】大事なモノを捨てる必要はない

編集Aの悩みのタネが大量の本。現在取りかかっている仕事に必要な本もあれば、出版社からの献本もある。今は使わなくても、いつか使うと思うと捨てられないと悩んでいる。

「仕事に必要なモノは捨てる必要はありません。それを置くためのスペースを作りましょう」と石阪さん。本が大事なら、机の上の一等地に本を置く場所をつくり、見えるところにキレイに並べること。本棚を活用してもいい。

【その7】モノはモノ。魂を乗せない

オフィスの片づけの際、意外と困るのが「誰かからもらったモノ」だ。捨てるに捨てられず、場所を取ってしまうことがある。しかし、気にすることはない。不要なモノはスパッと捨ててしまおう。

「所有権が移転したら自分のもの。捨てるのは自分次第です。あげた人だって覚えてないですよ」(石阪さん)

■種類別片づけのコツ

以下、オフィスのデスクで散らかっていることが多いモノについて、種類別に片づけのコツを聞いてみた。

▼名刺はデータ化

名刺はスキャンしてデータ化し、捨ててしまおう。「Eight」などの名刺管理アプリや、「Evernote」などのサービスを使ったほうが、紙の名刺をめくって探すよりはるかに速い。

▼文房具は使うモノ、気に入っているモノだけ残す

ペンを「書けるペン」と「書けないペン」で分けるのは間違い。気に入っているもの、使っているものだけをとっておき、あとは捨ててしまおう。「私はフリクションボールペンが好きなので、それしか置きません。赤ペンは使う頻度が高いので余分に1本。蛍光ペンは黄色だけ。あとは筆ペンが1本だけ」(石阪さん)。

あとは必要に応じて、ハサミ、テープ、定規などを1つずつ。これでずいぶんスッキリするはず。ペンは横置きせず、ペン立てに縦置きにすると省スペースになる。

▼年賀状は1年分だけ保管し、あとは処分

心情的に捨てづらく、意外とたまりがちなのが年賀状だ。「年賀状は新たに年賀状を送るための住所録でもあるので、1年分あれば十分。あとは捨てても大丈夫です」と石阪さん。写真入りの年賀状など、なんだか捨てにくい気がするが……。

「モノに魂は入っていません。お守りや人形が捨てられない、という人の場合、私が捨ててあげることもありますよ(笑)」(石阪さん)。

▼書類はクリアファイルではなく、個別フォルダーに

書類を整理するのは片づけの最後に。書類は1枚1枚向き合う必要があるので、ある程度片づけが終わってスッキリした落ち着きのある空間で行おう。

「必ず書類は『立てて』保存してください。そのために便利なのが、コクヨの個別フォルダー。ここに見出しを書いて、使う書類一式を挟んで、キャビネットに立ててください。挟むだけなので、必要な書類を検索しやすく、不要な書類を捨てやすいというメリットがあります」(石阪さん)。

書類を保存するときに、透明なクリアファイルを使いたくなる人も多いと思うが、それは避けたほうが良いと石阪さん。収納や取り出しが意外と手間で、整理が進まないおそれがあるためだ。

■実録!編集Aのデスクを「7割収納」で片づける

最後に、実際に編集Aがデスクの机を片づけたようすを写真で紹介しよう。

編集Aの悩みは「かなり広い机なのに、モノがあふれて作業スペースがない」こと。机の下や、袖机の手前まで箱と紙袋が積み上がっているので、椅子に座って机に向かっているときも足が窮屈で困っていた。片づけの目標は「机の上にモノを置かない」。

休日出勤して、他の人がいないところで片づけ開始。まずは、デスクの中や上にあるモノをすべて外に出し、ジャンル別にまとめて置いていく。捨てられるものはここで捨てる。

いったん全て外に出すのは、自分が持っているモノの量がどれくらいなのかを可視化するためだ。自分でも持っていることを忘れているものがたくさん出てきてびっくりした。改めて見渡すと、収納スペースに比べてモノの量が多すぎることが分かる。

次に、収納スペースの7割に収まるよう、ひたすらモノを捨てていく。ジャッジの基準は「使う/使わない」だ。「いつか使うかも……」というモノはひたすら処分。使わない新品や価値があるモノは「ご自由にお持ちください」と貼り紙をして共同スペースに置いておいた。

7割までモノを捨てたら、デスクや引き出しの拭き掃除をして、モノを収納スペースに入れていく。石阪さんには「2時間で片付きますよ」と言われたのだが、モノを捨てている途中でとっくに2時間が経ってしまった。3時間格闘した結果、なんとかこの状態にこぎ着けた。

片づけから2週間経ったが、今のところリバウンドはしていない。その日使う資料や本は、空けておいたテンポラリースペースに入れておき、帰宅時にはデスクの上を空にして帰るのが習慣付いたおかげだ。

「デスクが片づけば、仕事も早く終わるでしょう。その分だけ、人生のために有効な時間が生まれるということ。そのためなら多少、モノを捨てたって大丈夫ですよ」と石阪さん。

さあ、デスクを片づけたら、早く仕事を切り上げて、好きなことに時間を使おう!

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石阪京子
片づけアドバイザー。宅地建物取引士。「ニューズスタイル」主宰。2006年夫と不動産会社「ニューズホーム」を開業。「女性ならではの視点」を持って不動産業を営むうちに、新居が片づかないために理想の暮らしを放棄してしまっているお客さんがいることに気づく。「自分に何か手伝えることはないか」と、不動産会社のお客さんや友人宅の「片づけ修行」に取り組み、どんな家でも片づけ切れるメソッドが完成。「心地よい暮らしを提案」するレッスンは口コミで評判が広がり、これまでに手掛けたレッスンは 400 軒以上。現在は2年先まで予約が埋まるほど人気を呼んでいる。著書に『奇跡の3日片づけ』『夢をかなえる7割収納』がある。

ブログ「片づけの向こう側〜奇跡の3日片づけ&夢をかなえる7割収納〜」 http://kyokoishizaka.blog.jp/

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(大山 くまお)