「今の自分はすべて少年のおかげ」17歳ドナーに感謝する20歳男性(画像は『Times LIVE 2017年7月20日付「I owe it all to my kidney donor's mom‚ says top SA transplant athlete」(Image: Desire Jones)』のスクリーンショット)

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南アフリカ・ケープタウンの大学「Cape Peninsula University of Technology」で学ぶマルティニーク・デュプレアさん(20)は今から7年前、重度の腎不全と診断された。もともと陸上選手だった彼は、その後20回以上の手術と腎臓移植を経験し一時は死をも覚悟した。しかし2度目の腎臓移植後、奇跡の生還を果たし臓器移植者が参加するスポーツ大会で次々とメダルを獲得している。マルティニークさんを救ったのは、銃弾に倒れた17歳少年の腎臓であった。『Times LIVE』が伝えている。
 
2010年のある朝、当時13歳のマルティニークさんが目覚めると両足が腫れていた。家族で山に遊びに行った際に蜂に刺されたからだろうと気軽に行った病院で、彼は医師から重い腎不全であること、腎臓移植だけがその命を維持する唯一の方法であることを告げられた。

3年後の2013年、体調が思わしくないマルティニークさんに母親の腎臓の1つが移植された。しかし手術から5時間後、彼の身体は新しい腎臓を拒否した。「腎臓を移植すれば救われる」と大きな期待を抱いていたマルティニークさんだったが、容態は悪化するばかりだった。
 
その後も生きるために必死の治療を続けていたマルティニークさんは2014年5月、医師から適合する腎臓提供者が見つかったとの連絡を受けた。ドナーは17歳少年、銃で撃たれて脳死状態であった。

「これを逃したら2度とこんな機会は訪れないかもしれない…」そんな思いで移植手術に臨んだマルティニークさんの経過は順調で、3か月後には陸上の練習を再開した。そして5か月後、ステレンボッシュで行われた「全国移植者スポーツ大会」では200メートル走で南アフリカ記録を塗り替えた。それだけでなく100メートル走、砲丸投げでも金メダルを獲得、さらに2016年10月にヨハネスブルグで行われた同大会では、南アフリカの記録を5つも更新する偉業を成し遂げた。

また今年6月25日からスペイン・マラガで行われた臓器移植者のオリンピック「世界移植者スポーツ大会(World Transplant Games)」で、20歳になったマルティニークさんはボールスローで金、走り幅跳びと槍投げで銀、100メートル走で銅を獲得した。
 
「今ある自分はすべて少年のおかげ。腎臓提供に応じてくれた少年の母親には感謝してもしきれない」と語るマルティニークさんは、2020年のオリンピック出場を目指し週6日、1日3時間の練習をこなしている。

先月にはボスニアからも6歳少年による記録達成のニュースをお伝えした。生まれつき両腕がないイズマル・ザルフィク君は、たくさんの人の協力と自身の頑張りにより水泳大会で優勝している。

画像は『Times LIVE 2017年7月20日付「I owe it all to my kidney donor's mom‚ says top SA transplant athlete」(Image: Desire Jones)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)