ブラジル・サンパウロ市内の店に並べられた「ハワイアナス」の商品。ブラジルの象徴ともいえる「ハワイアナス」は、60年代は貧しい人のサンダルだったが、今では多くの人に愛用されている。だが最近は、汚職スキャンダルが注目されている。(2017年7月18日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ブラジルを象徴するものといえば、「ハワイアナス(Havaianas)」を忘れてはいけない。このブランドのビーチサンダルは、ビーチの雰囲気に魅了された観光客を含め、貧富を問わず、あらゆる人々に愛用されている。しかし今、そのフットウェアはブラジルの陰気な面と結びついてしまった。汚職が世間の注目を浴びているのだ。

 先日、ブラジル人兄弟のジョースリー(Joesley Batista)とウェスリー・バティスタ(Wesley Batista)は、25年にわたる収賄による罰金、32億ドル(約3557億7600万円)を支払うために、世界的規模で食肉加工をビジネスにしている「J&Fグループ(J&F group)」を通して、所有する資産を売却した。「J&F」は、「ハワイアナス」の親会社である「アルパルガタ(Alpargatas)」の持ち株54%を持っていた。それが「イラウサ(Itausa)」、「Cambuhy Investimentos」、「BrasilWarrant」という3つのホールディング会社によって買収されたのだ。

「ハワイアナス」のサクセスストーリーは1962年、戦後のブームの中で突然巻き起こった、国際的なビーチサンダルの人気に乗じたことから始まった。日本の伝統的なわらじにインスピレーションを受けたゴム底のビーチサンダルは、ブラジルやオーストラリア、ニュージーランドなど、様々な場所がその起源を主張している。しかし、その中でも「ハワイアナス」が、ビーチサンダルでもっとも有名なブランドとなった。ブランド名はもう一つの熱帯の行楽地、ハワイのポルトガル語綴りからきている。

■どんな階級の人にも「クール」

 1990年代の大きな押し込み戦略は、カラフルなデザインを展開する「ハワイアナス」の名を知らしめた。このブラジルの会社は今では、150種類ものモデルを販売している。ベーシックな5ドル(約560円)のビーチサンダルから、ブラジルの小さな国旗とトロピカルモチーフをあしらった9ドル(約1000円)のもの、「スワロフスキー(Swarovski)」のクリスタルをあしらったラグジュアリーな60ドル(約6700円)以上のものもある。

 コパカバーナ(Copacabana)のショップではテレコム会社勤務の55歳、ソランジュ・ブラッシャー(Solange Brascher)さんが平均的な価格のビーチサンダルを娘のために購入した。「以前は貧しい人たちのものというイメージがあった」と彼女は言う。「でも今はどんな社会階級の人たちもクールだから履いている」

「ハワイアナス」は毎年2億足以上を販売し、その16%を輸出している。本当の「ブラジルらしさ」としてサッカーやサンバーと肩を並べる存在だ。「ハワイアナスは私がここに着いて一番に友達へのおみやげとして買ったもの」とポルトガル人の若い観光客であるベアトリス・ロドリゲス(Beatriz Rodrigues)さんは語る。「すでに10足も買っているが、さらに10足購入しようと思っている。ヨーロッパではもっと高価だからだ」

 今日、サン・パウロ(Sao Paulo)に本部を持つ「アルパルガタ」は100カ国以上で700以上の販売店を持つ。「ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(Getulio Vargas Foundation)」の経済学教授、クローディオ・ゴールドバーグ(Claudio Goldberg)氏は「ハワイアナスはブラジルの魂の象徴で、欲望の対象、ブラジルそのものを表している」と考える。

■ セレブリティーの足元を飾る

「ハワイアナス」はあきらかにスターたちをも魅了している。同ブランドのビーチサンダルはマドンナ(Madonna)やデヴィッド・ベッカム(David Beckham)の足元も飾り、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)はジュエラーの「H.スターン(H. Stern)」がデザインしたゴールドのあしらわれた1万8000ドル(約200万円)相当のものを着用している。

「ハワイアナス」が最初に本格展開したのは、ベーシックな白のラバーソールに青いストラップのビーチサンダルだった。その後、1969年に偶然スタッフがストラップを緑色に塗ってしまった。「アルパルガタ」が驚くことに、これらの商品はヒット。そしてそこから「ハワイアナス」は色やデザインで遊び始める。

 総人口が2億人のブラジルの3分の2もの人たちが毎年、「ハワイアナス」のビーチサンダルを平均1足は購入すると同社は主張する。そして今まで販売したすべてのビーチサンダルを端から端まで並べると、地球62周分になるという。

 しかし前オーナーによる汚職はブランドにどのような影響を及ぼすだろうか。「このようなブランドがブラジルのものであり続けているのはすでに良いことだ」とゴールドバーグ氏は語る。同社は「そのアイデンティティーを失わないだろう」と。新しいオーナーたちは、アメリカの市場へと拡大させていきたいと語る。そうすればこの有名なフットウェアの現在の経営陣は、お払い箱にはならないだろう。
【翻訳編集】AFPBB News