食後に眠くなる理由…「胃袋に血液が集中」じゃなかった! 我慢できない位は要注意

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ごはんや甘い物を食べた後には眠くなる。味や食感を思い出しながらウトウトするのは至福のひとときなのだが、「教えて!goo」を見ると、「食事を摂った後」のように食後の眠気に困っている人からの相談が多数寄せられている。そこで、食後の眠気の原因について医師に話を聞いてみた。

■間違いだった昔からの伝承

筆者が幼い頃、食後の眠気の理由として周囲の大人から教えられたのは「食べたものを消化するため胃袋に血液が集中して、脳に血液が行かなくなるから」だった。果たして真実は?

「それは違います」と即答するのは、All About「家庭の医学」ガイドを務める医師の清益功浩先生だ。小学校の担任をはじめ、結構な人数がもっともらしく話していたのだが、やはり間違いだった。大人の言うことを信じてはいけない、とはよく言ったものだ。

さて、気を取り直して本当の理由を聞いてみよう。筆者の周囲には「血糖値を下げるためにインスリンが分泌され、脳に供給するブドウ糖が不足するため」との推測もあったが……。

■ブドウ糖不足、副交感神経、オレキシン…

清益先生は「その説も可能性はあります」とし、「食後に上昇した血糖に対して、膵臓からインスリンが分泌され、血糖を下げて正常に保ちます」と人体の機能について語り、「血糖が高めに維持され、インスリンが強く働くと一時的な低血糖を起こすこともあります」と理由を説明する。

インスリンには血糖を抑える働きがあり、低血糖とは血液中のブドウ糖が不足する状態。エネルギーの源であるブドウ糖が不足することで脳の働きも悪くなり、眠気が生じるわけだ。

清益先生は「食後、消化管の動きが促進される副交感神経が交感神経より優位になることで、身体がリラックスして眠気が生じる場合もあります」とも指摘する。

ブレーキに例えられる副交感神経は鎮静・抑制・リラックス時に優位になる。ちなみにアクセルに例えられる交感神経は活動・緊張・ストレス時に優位になるとされる。

さらに清益先生は、食べ物の摂取に関わる脳内覚醒物質オレキシンの減少を原因の一つに挙げる。

「オレキシンが脳内に増えると食べ物の摂取量が増えます。食後はバランスを取るためにオレキシンが減り、眠気が生じるともいわれています」(清益先生)

食後の眠気には様々な原因があるようだ。

■我慢できない時には受診を

冒頭に食後の眠気は至福のひとときと述べたが、中には我慢できないほどの猛烈な眠気に襲われる人もいるらしい。病気の可能性もあるのだろうか。

「糖尿病か、ナルコレプシーという二つの病気が考えられます」と清益先生。

先ほど脳へのブドウ糖が不足すると眠くなる、と説明したが、高血糖でも人は倦怠感や眠気を感じるそうだ。インスリンがうまく働かない糖尿病の人は、食後に高血糖状態が続くため、起きていられないほどの眠気を生じる可能性がある。

清益先生は「食後2時間の血糖値が高値であったり、検尿で尿糖が見られることで、糖尿病が診断されます」とし、糖尿病内科の受診をアドバイスする。

一方、ナルコレプシーとは「日中の居眠りの反復や激しい感情によって力が抜けてしまう脱力発作を起こす病気です」(清益先生)。オレキシンを産生する脳内の神経細胞が障害を受けて起こるといわれており、睡眠障害などが見られるという。睡眠ポリグラフ検査や脊髄液検査などで判明するそうだ。

こちらは「神経内科への受診が望ましいでしょう」(清益先生)とのこと。心配な人は一度受診してみるとよいだろう。

●専門家プロフィール:All About「家庭の医学」ガイド 清益功浩
医学博士。日本小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定専門医・指導医。京大大学院医学研究科卒。国立病院機構京都医療センター小児科などを経て、大和高田市立病院小児科。『じんましんの「真」常識』など著書多数。

(武藤章宏)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)