ものごとを相手に「きちんと伝える」ことと同じように、「きちんと聞く」こともまたスキル。自分に新しい視点や考え方が生まれる、聞き上手になるための方法を「The School of Life」の動画が紹介しています。

人の話を聞くことで
新しい自分に出会える

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私たちは会話をするとき、つい自分のことを話したがります。なぜなら、人間は自分の声を聞くこと、何より誰かに自分のことを聞いてもらうことに喜びを感じるから。

この喜びは、一体どこから来るのでしょう。

それは自分のことを口に出すことによって、自分自身をより深く理解できるという点にあります。自分の望みや感情を話しながら整理し、自己を明確化する。このことに、私たちは深い喜びを覚える生きもの。

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このように、話すことで自分を理解できることは明白ですが、それだけが自己を知る方法ではありません。私たちは他人の話を聞くことで、その中に自分を見つけ、今まで気付いていなかった自分自身に気付くことがあります。

文学がその良い例でしょう。トルストイやプルースト、ヴァージニア・ウルフなど、私たちが人の書いた小説を読むことに喜びを見出すのは、物語の中に自分自身を見つけるからです。

プルーストは、このような言葉を残しました。

「小説を読むことで、人生はより深いものとなる。小説家が用意してくれた眼鏡をかけて世界を見ることで、今まで気付かなかったことに気付けるからだ」

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けれど、自分の周りにいる人がみんな小説家のようにうまく話せるわけではありません。小説家の話がおもしろい理由は、彼らがそれを自分ひとりのものとしてではなく、誰にでも当てはまるような普遍性をもって話を組み立てるからです。

だからこそ、それは小説家の話ではなく「私の話」として、聞く人の耳に入ってくるわけで。

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誰もがこの普遍性をもった経験をしているのですが、いざ話をする段階になると自分自身のパーソナルな情報を説明し始めるため、会話がつまらなくなってしまいます。

さらに、その時の感情を説明しようとするあまりに、それは主張に近いものになって聞く人を疲れさせてしまう。また、自分の話はおもしろくないのではないかという不安から、より混乱した話し方になってしまうことも。

良い聞き手は
「編集者」の役割を果たす

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そんな人々からおもしろい話を聞き出そうとするには、聞き手が良い編集者のような役割を担う必要があります。アメリカのライターRaymond Carver氏と、その担当編集者だったGordon Lish氏の関係を例に挙げてみましょう。

まずGordon Lish氏は、Raymond Carver氏に対して、彼の話がいかに面白いか熱弁し、Carver氏に大きな自信を与えました。例えばCarver氏がアメリカの農村部について話すと、Lish氏は「その経験をアメリカにとどめず、ドイツでも韓国でも同じような生活をする農民がいることを伝えよう」と言い、より普遍的になるよう提案。

また話が脱線しないよう、物語の中心のテーマを常に意識し、Carver氏の話を誘導したそうです。

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私たちが聞き手としてしなければならないことは、このLish氏の行動と同じ。話が脱線しないように誘導しながら、話の最後にはこんな言葉を投げてみてください。

「そのとき、どう思った?」

そのひと言が、その話のもっとも生き生きした、普遍的な部分をすくい上げてくれるはずです。そして、今まで気付かなかった自分自身の新しい側面をあなたに見せてくれるかもしれません。

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