自我を捨ててシンガーに徹して歌った良いう「ずっと、ふたりで」をリリースした家入レオ

 アーティストの家入レオが26日に、13thシングル「ずっと、ふたりで」をリリース。2012年にシングル「サブリナ」でデビューし、5周年を迎えた今年は、2月に記念ベストアルバム『5th Anniversary Best』をリリースし、初の日本武道館公演を成功させた。これまでソングライターとしても才能を発揮して来た彼女だが、放送中の日本テレビ系ドラマ『愛してたって、秘密はある。』主題歌として好評の表題曲は、作曲家・杉山勝彦の作詞作曲編曲で「自我を捨ててシンガーに徹して歌った」と話す。家入レオが思うシンガーとしてのあり方とは? プライベートでも親交があるという、大原櫻子と藤原さくらについても話してくれた。

歌うだけで人を納得させるのは、簡単なことではない

「ずっと、ふたりで」完全生産限定盤

――今回の「ずっと、ふたりで」は、武道館公演が終わったあとに、与えてくれたこと、分かってしまったことがあり、それがこのシングルに繋がったとブログで書いていましたね。

 私は、普段の消化し切れない気持ちをライブで歌ってゼロに戻すのが、スタイルとしてあります。そのときは、私が自分を解放することで、来てくれたお客さんも、学校や仕事で言えないことをぶつけ合えて、それが他者のためにもなると思ってやっていました。でも振り返ると、それは自分を表現したいという気持ちが、どこか先行してしまっていたな、と思いました。

 武道館は5周年でもあったし、デビュー前から憧れていたステージでもあって、お祝い事が重なっての一夜限りのステージだったのですが…。今ごろでちょっと恥ずかしいですけど、初めて、来てくれたお客さんのためだけに歌ったライブでした。遅かったと思いますが、「みんなのためだけに歌おう」と思って。でも正直、自分自身でどこかブレーキをかけていたり、多少苦しいところがあったり、もっとこういう風に出来たと思うところがあって。

 それが結果的に、「武道館は最高だった」という声をたくさんいただいて、そこで自分がどうのではなく、もしかしたら“みんなのため”というところに、そもそも音楽はあるのではないか。その気持ちにあらがってはダメだな、と思いました。どうしても制作に携わると、自分が思う自分を追求してしまうので、じゃあ今回は一旦自我を捨てて、作詞作曲を自分ではない作家さんにお任せしようと思って出来たのが、「ずっと、ふたりで」です。

――ドラマ『愛してたって、秘密はある。』の主題歌で、すでに評判となっていますね。

 武道館の前に「こういう曲かな?」というものを2曲作って、そのどちらかで、ドラマ側から良いお返事がいただけたら、と思っていました。それが、先ほどお話したように、武道館を経て私の気持ちに変化が起きて。思い直して、楽曲を他者に預けようと思いました。

 作詞・作曲・編曲の杉山勝彦さんには、杉山さんが思う私というところで曲を作って頂いて。あと、ドラマ主題歌になることはお話をしていたのですが、内容までは細かく説明していませんでした。それなのに、こんなにもドラマの内容にハマった歌詞があがって来たので、「これはキタな!」と思いました(笑)。

――杉山さんにお願いしたのは、どういった理由で?

 学生時代、中島美嘉さんの「一番綺麗な私を」という曲がすごく好きで、「この曲を作った人と、いつか一緒に曲を作りたい」と思っていて、その方が杉山勝彦さんです。デビュー以降どこかのタイミングで名前が挙がったことはあったのですが、杉山さんは作詞・作曲・編曲を全部自分でやられる方で、私は共作出来る方を探していたので、じゃあご縁がないかもと思って諦めていました。それが今回のタイミングで、私の気持ちが変化したこともあって、改めてお願いしてみたら良いお返事をいただけました。

――杉山さんは、乃木坂46や私立恵比寿中学などのアイドルやJ-POPの曲を多く手掛けられていて、一般的に誰もが思う良い歌の王道をやっている印象があります。今回の曲は、いかがでしたか?

 声をあてた瞬間、自分の声に合うな、と思いました。最新のアレンジや最新の洋楽のクールさを追求して作る人もいて、もちろんそういうものも良いけど、杉山さんの曲は、日本で生まれ育ったからこその、みんなが帰る場所のひとつとしてのメロディという印象です。世代性別に関係なく日本人ならきっと誰もが「良いね」と、思えるものがありますね。古い新しいではなくて、シンプルに「良いよね」と言えるものが。実際に歌って、すごくDNAが合うと感じました。

――ある種の普遍性を持った音楽だと思いますが、それを歌うにあたっては、どのように考えましたか?

 シンガーに徹して改めて思ったのは、歌うことは誰にでも出来るけど、誰にでも出来るからこそ、すごいと言ってもらうのは相当大変なことだということです。歌うだけで人を納得させることは、実はまったく簡単ではない。例えば美空ひばりさんも、有無を言わさないあの表現力があったわけで。

 歌い手さんがたくさんいる中でこの「ずっと、ふたりで」は、“やっぱり家入レオじゃなきゃダメだ!”と言ってもらえるように、常に自分を磨いていないといけないと思ったし。シンガーとしての責任というものと、すごく向き合えた曲だったと思っています。

――歌詞は、すごく一途な気持ちを歌ったものだと思いますが。

 「目の前の君以外 どうだって良いんだよ」という歌詞は、すごく素敵な言葉だと思いました。人って綺麗なだけでは生きられない。それは分かっていますが、好きな人と出会ったら、良い部分しか見せたくないと思いますよね。だけど、ジタバタしているような自分すらも受け入れてくれて、光と影の両方があって君だよと言われたら、本当に生きていて良かったと思うだろうなと思って。この言葉を伝えたいし、言われたいしという気持ちで歌いました。

新しいアプローチを体験するような感覚

「ずっと、ふたりで」初回限定盤

――2曲目「だってネコだから」は、家入さんの作詞作曲ですね。猫がテーマのかわいい曲で、やっぱり家入さんは、犬より猫ですか?

 絶対に猫ですね(笑)。「猫っぽい性格をしている」と言われることがよくあるので、こういう猫の視点で作ってみようと思いました。

 朝起きて、ピアノに向かって作った曲です。それをスマホのボイスメモに録音して、スタッフに一斉送信したら「良いじゃん」と反応が良くて。J-POP感を出しつつ、ルーツ感も残したいと思って、そういうことが出来る方ということで、アレンジはぐっさん(山口隆志)にお願いしました。

――猫を飼っていたり?

 飼ってはいないです。でも猫の気持ちと言いつつ、女の子の気持ちを例えているので。そういう部分でも、面白いアプローチが出来たと思います。

――猫には例えているけど、家入さん自身のことで。

 そうですね。私、この猫みたいにわがままです(笑)。

――ハモリが、今までの曲でもっとも多かったと聞きました。

 すごく多いです。こういうコーラスは好きですが、とにかく数が多くて。主メロは3回歌ったのですが、その後のハモリが長くて、3時間くらいかけたと思います。

――そして3曲目にはウルフルズのカバーで、トータス松本さんの作詞作曲による「ヒーロー」という曲。

 これは、『SMBC/三井住友銀行 2017年「ひとりひとりが日本代表。」』CMソングです。この曲を歌う女性アーティストを探していたそうで、お声がけしていただきました。先方の気持ちに賛同して、歌わせていただくことになりました。

 トータスさんの歌は、“トータスさん”というジャンルがあるみたいな感じで、とても特徴のある歌い方をするのですが、そのまま歌っても意味がないと思ったので、アレンジを清々しい感じにチェンジして、自分らしく歌いました。

――<おれ>と歌っているのが新鮮でした。

 そうですよね、今まで一度もなかったので。一人称を<おれ>で歌う日がくるとは思っていなかったですが、私自身すごく新鮮でした。

 男女関係なくみんなヒーローやヒロインになりたい、でもなれなくてという葛藤みたいなものは、世代や性別に関係なく誰にでもあると思ったので、共感して歌うことが出来ました。

――「ヒーロー」を歌って、どこかにトータスさんらしさを感じましたか?

 メロディに対する言葉の乗せ方、字余りでもかっこよくなる感じは、トータスさんならではだと思います。そういう字余りでたたみ掛ける感じは新しいトライでしたが、楽しく歌うことが出来ました。新しいアプローチを体験するような感覚で、いろんなメロディや言葉が入ってきて、すごく良い経験になりました。

 今回は、杉山勝彦さんからご提供いただいた「ずっと、ふたりで」があり、自分で作詞作曲をした「だってネコだから」もあって。そしてウルフルズさんのカバー「ヒーロー」と。今までの自分のアプローチだけではない、新たなアプローチを加えた、バランス良く幅の広がったシングルになったと思います。

良い音楽を残していきたいという気持ち

「ずっと、ふたりで」通常盤

――「ずっと、ふたりで」の歌詞に「笑顔になれる」と出てきますが、家入さんが最近笑顔になったのは?

 先程、休憩中にスタッフみんなでアイスを食べたのですが、そういう他愛のないことでも楽しくて、笑顔になりましたね(笑)。

 あと、「だってネコだから」の歌詞を書いた日は、その日の夜に(藤原)さくらと(大原)櫻子とご飯に行く約束をしていて。でも歌詞がまったく仕上がらなくて。「ごめん、今日は行けないかも。でも行きたかったよ〜」とLINEしたら、ふたりから「頑張れ〜!」って写真が送られて来て。それがめっちゃかわいくて、それだけで幸せな気持ちになって、笑顔で頑張れました。

――3人で会った時は、どんな話をしますか?

 プライベートなことが多いです。だいたい櫻子がしゃべって、それをさくらと2人で「うんうん」と聞いている感じです。一見女子会ですが、3人とも背中のチャックを開けると男子が出て来ます(笑)。特に櫻子は、男気がハンパなくて、かわいい見た目とのギャップがたまらないですね。さくらはよく泊まりにくるのですが、そのまま飼いたいくらいです(笑)。

 2人は人なつっこくてマメで。私は自分からはなかなか行かないタイプなので、2人が外へ連れ出してくれます。2人といるだけで、癒やされるし笑顔になれます。この間は、さくらの家でタコパ(たこ焼きパーティー)したし、カラオケにもよく行きます。

――そして、9月には東名阪のZEPPでライブがあります。

 セットリストもほぼ決めていて。武道館はシングル曲連発で間口を広く取ったので、ZEPPはコアなファンにより楽しんでもらえるようにと考えています。サポートメンバーもがらりと変えて、新たな感覚で聴いてもらえると思います。

――武道館で豪華にやって、その次にやるZEPPは、距離感や目線も少し変わりそうですね。

 ライブハウスでしか出来ないこともたくさんあるので。「レオちゃんって、普段の何気ないところでも、こんな風に音楽と戯れているんだな」ということが、分かってもらえるようなライブにしたいですね。

――今回もジャケットが、雰囲気の違うおしゃれな感じですね。前回のベスト盤の時と同じアートディレクターの方とのことですが。

 最初にお話をした通り、1周2周して、あらゆるところで自我を消したほうが、ものごとが上手く行くことに気づいて。提案していただいたものの中から、選択していく感じの手法を取って、本当にすごく良いジャケットにしていただきました。

――そうやって徹底して自我を消した今作ですが、それは今後も?

 決めているわけではないですが…。今回のようにどなたかに託したり、時には共作もして、自分の中で完結させるものもあったりして行くと思います。でも、その真ん中にあるのは、良い音楽を残していきたいという気持ちです。ちゃんと土台があって、残っていく価値のあるものを作っていきたいです。

――自分の作詞作曲でなくても、良い曲であればいいと?

 でもそこは、ソングライターとしてのプライドもあるから、自分でもそういう曲が書けるように頑張るし、ご提供いただいた楽曲も、自分の中の起爆剤になっているし。でもやっぱり、シンプルに良いものを作りたいです。

(取材=榑林史章)

◆家入レオとは 音楽塾ヴォイスを経て、2012年に18歳の時、シングル「サブリナ」でデビュー。同年、『第54回日本レコード大賞』で、最優秀新人賞を受賞。「君がくれた夏」は、フジテレビ系ドラマ『恋仲』主題歌としてヒット。これまでに12枚のシングル、『LEO』などオリジナルアルバム4枚、5周年記念ベストアルバム『5th Anniversary Best』をリリースしている。

作品情報
家入レオ
13thシングル「ずっと、ふたりで」
7月26日発売

■完全生産限定盤(CD+LEO IEIRI デニムストラップ付 スマホリング)2200円(税抜)VIZL-1204
■初回生産限定盤(CD+DVD)1700円(税抜)VIZL-1203
■通常盤(CD)1200円(税抜)VICL-37299

▽CD収録内容
01.ずっと、ふたりで
02.だってネコだから
03.ヒーロー
04.ずっと、ふたりで (Insturumental)
05.だってネコだから (Instrumental)
06.ヒーロー (Insturumental)

▽DVD収録内容
「ずっと、ふたりで」(Music Video&Making Movie)
「それぞれの明日へ」(Music Video -Another Version-)

ライブ情報

▽5th Anniversary Live at Zepp
9月6日 東京・Zepp DiverCity Tokyo
9月7日 東京・Zepp DiverCity Tokyo
9月12日 愛知・Zepp Nagoya
9月13日 愛知・Zepp Nagoya
9月20日 大阪・Zepp Namba
9月21日 大阪・Zepp Namba