野菜だけではビタミンCは足りない

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【美と若さの新常識】(NHKBSプレミアム)2017年7月20日放送
若さの秘薬! ビタミンCの実力

ビタミンCといえば、美肌や疲労回復のために野菜や果物を積極的に食べる女性が多いが、もっと驚くべき実力がある。専門家もそれを知ったのは意外にも最近のことだという。それは「老化防止」だ。

番組では最強ともいえるアンチエイジング物質ビタミンCの効果を徹底検証し、どうやったらカラダに上手に取り入れることができるか、秘策の飲み物を紹介する。

ビタミンC抜きのエサを食べたマウスは寿命が4分に1に

番組では冒頭に、抗加齢医学の第一人者、東海大学の西粼泰弘教授が行なったショッキングな実験を紹介した。西粼教授はマウスを2つのグループにわけ、普通のエサとビタミンCを極端に減らしたエサを与え、寿命を比較した。すると、ビタミンCが少ないエサを食べ続けたマウスは寿命が4分の1になり、老衰して死んでしまった。この実験で、西粼教授はある老化物質に注目した。ビタミンCがその老化物質の悪影響を抑えていることを突きとめたのだ。

西粼教授「老化物質とは、『8-OHdG』(ハチ・オー・エイチ・ディー・ジー)と言います。この数値が大きいほど、老化するスピードが速いということになります。8-OHdGは老化の危険因子、スピードメーターと言えます」

西粼教授が働く東海大学付属病院では、2006年から抗加齢ドックを開いている。約1900人の受診データから、8-OHdGを手がかりにカラダの老化スピードを測る装置を開発した。血液中の8-OHdGの値から5段階評価で、実年齢に対する「老化度」を判定する。番組ゲストのお笑い芸人・椿鬼奴さんが老化度を測ると、「29.1」。正常値は「11.0」以下で、「29.1」は西粼教授の抗加齢ドックでもめったにみない「最悪レベル」の数値という。実は鬼奴さん、この日は朝まで飲み明かしていた。しかし、気を落とすのはまだ早い。西粼教授は鬼奴さんにビタミンCが1000ミリグラム入った飲み物を飲んでもらった。そして、1時間後に再測定すると、なんと「29.1」が「13.5」に半減。恐るべし! ビタミンCの若返りパワー!

リンゴもカラダも酸素でサビる

西粼教授「ビタミンCは、吸収されやすい物質です。それから水溶性ビタミンなので、血液に溶け込んで全身を回り、カラダのよくないところに到達します。非常に即効性が高いのです」

カラダの中のビタミンCは、すぐに消費されてなくなりやすい。次のことをすると失われる。「飲酒する」「喫煙する」「甘い物を食べる」「汗をかくような激しい運動をする」「薬を服用する」「風邪を引く」などだ。特に暑い夏は汗をたくさんかくため、ビタミンCが消費されやすい。東京都健康長寿医療センター研究所の石神昭人研究部長がこう説明する。

石神部長「汗にはビタミンCが含まれていますから、運動して汗をかくのは、ビタミンCを垂れ流しているのと同じ。なくなることを前提に、前もってとったほうが効果的です」

ところで、老化とは何だろうか。私たちのカラダの中ではいったい何が起こっているのか。MCのお笑い芸人・後藤輝基がわかりやすい例を見せた。リンゴを半分に切る。切った直後は果実が黄色く輝いている。しかし、6時間後、果実は茶色くしなびた。これは空気中の酸素が果実をサビさせたためだ。ところが、ビタミンCが入った水に半分に切ったリンゴを入れると、6時間たった後もみずみずしいまま。ビタミンCがサビを防いでいるのだ。

同じ実験を人間のカラダでも試した。活性酸素を大量に溶かしこんだ水に人間の細胞を浸すと、細胞の色が茶色く変わった。これは、活性酸素によって細胞が酸化する現象。つまりカラダの内側が「サビていく」様子だ。このサビこそ、老化ということだ。活性酸素は、私たちが酸素を吸い、体内でエネルギーを燃やすときにできる副産物。体内に入った酸素の約2%が活性酸素になる。

老化のメカニズムを研究している東海大学の石井直明教授はこう解説する。

石井教授「活性酸素のダメージと戦うための仕組みが2つあります。1つは酵素といわれるタンパク質です。もう1つはビタミンCなどのミネラル。活性酸素を除去できる物質で、抗酸化物質といいます。2つのうち、酵素は私たちの体内で作られますが、抗酸化物質は体内で作ることはできず、食べ物からとることになります。抗酸化物質の中で一番強力なパワーを持つのがビタミンCなのです」

厚労省の基準は1日100グラムだが、専門家はその10倍

しかも、ビタミンCは水に溶けるため、水分が60パーセントを占める私たちのカラダの大部分に行き渡り、活性酸素と戦ってくれる。ビタミンCを多く含む野菜には以下のものがある(100グラムあたりビタミンCの量)。

赤ピーマン(170ミリグラム)、ブロッコリー(120ミリグラム)、すだち(110ミリグラム)、レモン(100ミリグラム)、にがうり(76ミリグラム)、キウイフルーツ(69ミリグラム)、ジャガイモ(35ミリグラム)、ニンジン(6ミリグラム)など。

ビタミンCで気をつけたいのはそのとり方だ。生で食べるよりも火を通して食べるほうがたくさん食べられるが...。

石井教授「ゆで過ぎれば、ビタミンCが壊れ、水溶性のビタミンCがどんどん出ていってしまいます。少量の水で短時間に調理するとビタミンCが残ります」

若返りに欠かせないビタミンCだが、どれぐらい取ればいいの。厚生労働省が1日の基準としているのが、100ミリグラム。約レモン1つ分ぐらいだ。しかし、石井教授ら番組ゲストの3人の専門家は全員「1日に1000ミリグラムが必要だ」と強調した。厚労省の基準の10倍だ。なぜ、そこまで多くとった方がいいか? 実は、ビタミンCをしっかりとっても、体内に活性酸素が増えれば、その除去のためにどんどん消費される。

実験で確かめてみた。33歳の女性に家事をしてもらい、その前後で血液中のビタミンCの変化を調べた。食器洗い、洗濯、料理...。実験スタート後たった1時間で、ビタミンCの量が30%近くも減っていた。石神教授は、ストレス社会といわれる現代では、通勤電車に乗っても、パソコン作業をしても、活性酸素が発生し、ビタミンCの消費がどんどん進んでいると指摘する。専門家が1000ミリグラムをすすめる理由はまだある。

コラーゲンとアドレナリンの両方を作っている

ビタミンCはカラダのさまざまな場所でまったく違った役割を担っている。その中には美と若さに欠かすことのできない役割もある。美肌の条件は、弾力ある張りを作るコラーゲンだが、ビタミンCはコラーゲンの弾力構造を作り出す役割を担っている。活性酸素を防ぎつつ、コラーゲンも作っている。ビタミンCは2重の働きで美肌を守っている。

さらに重要な働きは、元気さを保つことだ。カラダの中で最もビタミンCが多く存在するのは副腎だ。ここでビタミンCはアドレナリンを作るのに使われる。アドレナリンは「やる気ホルモン」と言われ、脳に作用して意欲や活力を高める働きをしている。ビタミンCが少なくなると、「うつ傾向」になることもわかっている。

MCの後藤「よくビタミンCを大量にとると、副作用があってよくないといいますが、大丈夫なのでしょうか?」
石上部長「今まで報告されている副作用では、1回に8000ミリグラムくらい摂取すると、下痢をする人がたまに出るということです。ビタミンCは多く取れば取るだけ吸収能力が下がるため、1回に取りためるのではなく、少ない量をこまめに取ったほうがいいと思います」

実はビタミンCを1000ミリグラムも食事からとるのは難しい。番組ゲストのタレントかたせ梨乃さんの1日の食事からビタミンCの量を調べた。朝昼晩ともに野菜たっぷりのバランスのいい食生活だったが、ビタミンCは93.2ミリグラム。厚労省の基準の100ミリグラムにも足りていなかった。ではどうしたらよいのか。秘策となる飲み物がある。それは緑茶だ。緑茶(煎茶)に含まれるビタミンCの量は260ミリグラムで、先に紹介野菜に比べて断トツの1位だ。

番組では、「知覧茶」という銘柄で知られるお茶の町、鹿児島県南九州市を訪ねた。地元で茶摘みをしている高齢女性のグループに案内してもらう。平均年齢は80歳の7人。皆さん肌がツヤツヤしている。彼女たちの「肌年齢」を特別な装置で測ると、平均68歳だった。お見事! 12歳も若い。茶を摘みながら、朝ご飯、午前中の休み、昼ご飯、3時のおやつ、夕食時...と1日に7〜8回もお茶を飲む。中には1日に2リットル以上飲む人もいる。

リーダーの上野絹子さん宅を訪ねると、お茶として飲むだけではなく、さまざまな料理にお茶を食べていた。上野さんのイチオシのレシピがこれだ。

【お茶がらとしらすのつくだ煮】

●材料(4人前)お茶がら100グラム、しらす干し大さじ3、砂糖小さじ2、酢小さじ1、めんつゆ大さじ1。

●つくり方:(1)軽くしぼったお茶がらをフライパンに入れてから炒りする。(2)お茶のにおいがしてきたらしらす干しを入れる。(3)少し炒めて酢を加える。(4)酢がからまったところでめんつゆをまわし入れる。汁気がなくなるまで炒めたら出来上がり。

最後に石神教授がこうアドバイスした。

石神教授「基本的には食べ物からとったほうがいいですが、1000ミリグラムとるというのはなかなか難しい。サプリメントや飲料からとることを考えてもよいと思います」