2017年7月に行われた大相撲名古屋場所で、通算歴代最多の1050勝を挙げ、39回目の優勝を飾った横綱白鵬。

7月24日に放送されたNHKの『クローズアップ現代+』では、そんな大横綱の素顔に迫る特集が組まれました。

日本人横綱の勝利に万歳?

番組では、横綱自身のインタビューを中心に、これまでの歩みを振り返ります。

横綱としてはふさわしくないとされる「立ち合いの変化」や「ダメ押し」についても、自身の言葉で語る白鵬。

一方、スタジオでは相撲についての造詣が深いといわれるデーモン閣下が「いかに白鵬が偉大な横綱であるか」を解説。さまざまな角度から、白鵬の偉業を称賛します。

特に、デーモン閣下が注目したのは、2013年の11月場所で当時大関だった稀勢の里が白鵬に勝った一番。稀勢の里は、当時から横綱になることを期待されていました。

稀勢の里が勝利した直後、観客からは「万歳、万歳」と大声援が贈られます。

もちろん、「稀勢の里の勝利が嬉しい」という感情は分かります。しかし、この行為は当時から「横綱に対する敬意を欠いているのではないか」と議論になっていました。

この問題について、デーモン閣下は次のように発言。

感謝しなければならないのは、日本人のほうでしょうと思いますよね。

あれだけ相撲界が苦難の時に、一生懸命、屋台骨を支えて頑張って来た白鵬に、ファンはあんな態度かよ、と。

吾輩は、日本人もうちょっと了見の広い気持ちで白鵬のことを見なければいけないと思うし。

クローズアップ現代+ ーより引用

2011年に発覚した大相撲八百長問題。春場所は中止され、一部力士が引退を勧告されるなど、相撲に対して批判的な意見も多くありました。

この混乱期の相撲界を支えたのは、すでに横綱だった白鵬。『相撲界の顔』として、メディアの取材などにも多数出演し、その役割を全うしていました。

こういった白鵬の振る舞いを忘れ、日本人横綱の勝利に『万歳』という仕打ちを行ったファン…デーモン閣下は、その行為がどういったものなのかを分かりやすくこう例えます。

イチロー選手がメジャーリーグで、何かやった時にブーイングが起きたら悲しいですよね。

クローズアップ現代+ ーより引用

この言葉に「その通りだ!」と、絶賛の声が続出します。

日本人だから、という妙な愛国心はこの場にいらない。それと『万歳』は、白鵬に対してあまりにも敬意を欠いている。白鵬でも、稀勢の里でもダメなものはダメ。人が重要なのではなく、振る舞いそのもので評価しなければ。デーモン閣下は本当によく分かっている。力士からも信頼されていることが、その証だ。

もちろん、白鵬に何か問題があれば、それを指摘することがいけないとはいいません。

しかし、「日本人横綱だから」「外国人横綱だから」という理由で、どちらか一方だけを批判したり、擁護したりするような言動や振る舞いは、決して美しいものではありません。

デーモン閣下のいう「了見の広い気持ち」が、いまの日本人に求められているのではないでしょうか。

[文・構成/grape編集部]