2017-0725
総務省では2017年7月7日に情報通信政策研究所の調査結果として、公式サイトで「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を発表した。その報告書などでは主要ソーシャルメディアの利用状況に関する報告も行われている。ウェブサービスの中では今一番利用され注目を集めているソーシャルメディアの、日本における浸透状況を推し量れる貴重なデータに違いなく、大いに注目すべき内容となっている。今回は今件の各値について確認していくことにする(【発表リリース掲載ページ:研究成果-調査研究報告書】)。

対話系ではLINEが1番、そしてFacebookが続く


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。

利用率を確認するのは主要ソーシャルメディア、具体的にはLINE、Google+、Facebook、Twitter、mixi、Mobage、GREEの計7サービス。加えて動画系のソーシャルメディアであるYouTube、ニコニコ動画、Vineが2014年分調査から加わり、2015年分調査からはInstagramも追加され、合計で11サービスとなっている。LINEは厳密にはソーシャルメディアでは無くコミュニケーションサービスだが、今件ではソーシャルメディアとして取り扱われている。

なお各サービスの並び順は公開資料のものに準じている。Google+の順番がイレギュラーに見えるが、これは【「誤認した者が存在する可能性」…「LINEの次にGoogle+が高利用率」問題の後日談】にもある通り、2013年分の調査結果において不具合が生じた可能性が多分にあり、主要ソーシャルメディアの平均値などを算出する際、Google+を加える場合と除いた場合、2通りの値が公開資料では呈されていることによる。

具体的サービス毎の利用状況は次の通り。若年層の利用率が圧倒的に高く、これが後押しする形でLINEが一般的なソーシャルメディアでは最上位につくこととなった。

↑ ソーシャルメディアの利用率(2016年、全体比)
↑ ソーシャルメディアの利用率(2016年、全体比)

次いで多いのはFacebook、Twitter、Google+と海外発のソーシャルメディアが続く。かつて日本で一世を風靡したmixiだが、今調査の限りでは6.8%のみの利用率に収まっている。LINEは厳密にはソーシャルメディアと似て非なるものなので、実質的には「国内利用率ナンバーワンのソーシャルメディアはFacebook」となる。

他方、動画系のソーシャルメディアまで精査に含めれば、LINEすら凌駕しているのがYouTube。全体の7割近くが利用している。LINEが比較的若年層で利用が集中しているのに対し、YouTubeは幅広い年齢階層で使われているのが、全体の利用率を押し上げた原因である。

これを年齢階層別に見たのが次のグラフ。各層間の特性が表れており、興味深い結果が出ている。

↑ ソーシャルメディアの利用率(2016年、年齢階層別、全体比)
↑ ソーシャルメディアの利用率(2016年、年齢階層別、全体比)

↑ ソーシャルメディアの利用率(2016年、年齢階層別、全体比)(動画・写真系)
↑ ソーシャルメディアの利用率(2016年、年齢階層別、全体比)(動画・写真系)

LINEが50代まで過半数、特に20代から30代では9割超の値を計上している実態の圧倒感が確認できる。60代ですら1/4近くがLINEを活用中。これらの値はインターネット利用者、携帯電話利用者限定では無く、該当する属性全体比であることに注意が必要である。40代の人4人を集めれば、そのうち3人はLINEを利用している計算となる。

10代・20代では意外にもTwitterがLINEに続き、30代以降ではFacebookが続いている。かつて実名・実肖像主義のFacebookは日本では浸透しないのではないかとの話もあったが、この値を見る限りそれは単なる杞憂だったようだ。20代から30代では過半数の人がFacebookを利用していると答えている。

LINE、Facebookは20代、Twitterは10代が利用のピークで、それ以降利用率は減少していく。60代ではLINEが2割強を示しているものの、それ以外ではFacbookが1割程度でしかない。利用端末そのものの普及率の低さも一因だが、先行する記事にある通りシニア層ではデジタルにおけるコミュニケーションは電子メールが主流であり、ソーシャルメディアにはまだ手が及ばない。あるいは必要性を感じないのかもしれない。何しろコミュニケーションメディアは、自分だけでなく意思疎通をしたい相手も登録していないと、利用ができないのだから。それゆえにLINEの高い値は特異的。利用ハードルの低さが利用率の底上げに貢献しているのだろう。

なおGoogle+は年齢階層を問わず2割強、30代では4割近い値を計上している。報告書では特段解説は無いが、そして調査票では選択肢の表記に「※Googleでの検索やGmailとは別のサービス」との補足があるものの、なお「検索エンジンとしてのGoogleの利用」と勘違いをしている人が少なからずいるものと考えられる。

他方、動画・写真系ソーシャルメディアになると、YouTubeの幅広い年齢階層における利用状況が見て取れる。40代までは3/4超、50代でも過半数、60代でも3割近くが利用している。豊富なコンテンツの実装に加え利用ハードルが低く、ブロードバンドでインターネットにアクセス可能な環境であれば、会員登録の必要すら無くほぼ利用できるのが強みではある。

短時間の一発芸的な動画がメインのVineは20代の利用がメインで、30代以降は誤差範囲内。ニコニコ動画は10代から20代の利用が多いが、30代でも2割近く、60代でも7%近くの利用状況が確認できる。オシャレ感の強い画像共有サービスInstagramは20代が利用のピークで4割強、10代や30代も2割前後の利用率を示し、若年層に強いサービスの実情が把握できる。

なおVineは2017年1月17日付で正式サービスを終了し、現在では動画の投稿はできなくなっている。それ以前に投稿された動画の閲覧は可能で、その後はVine Cameraで作成した6.5秒のループ動画をTwitterにて投稿可能となり、実質的にTwitter用の動画アプリとなっている。次年分の調査にVineが選択肢として登場するか否かは現時点では不明だが、正式サービスとして運用されていない以上、難しいところだろう。

1年で伸びるソーシャルメディア、減退するソーシャルメディア


今調査項目は1年前の分、つまり2015年分の値も公開されており、1年間でどの程度利用率に変化が生じたのかを知ることができる。

↑ ソーシャルメディアの利用率(2016年、年齢階層別、全体比、前年比、ppt)
↑ ソーシャルメディアの利用率(2016年、年齢階層別、全体比、前年比、ppt)

↑ ソーシャルメディアの利用率(2016年、年齢階層別、全体比、前年比、ppt)(動画・写真系)
↑ ソーシャルメディアの利用率(2016年、年齢階層別、全体比、前年比、ppt)(動画・写真系)

30代と50代以降のLINEの成長ぶりが著しい。50代はその他のソーシャルメディアもほぼ利用率は増加傾向にあるが、それ以外では特段傾向だった動きは見られない。あえて言えば若者のFacebook離れとでも表現できる値動きが見受けられる。

動画・写真系サービスではInstagramの成長ぶりが著しい。特に若年層に大きな動きがある。おしゃれ感覚で写真を披露できる場として、急速に普及しているようだ。Vineは上記説明の通りサービスそのものが終了に向かっている状況だったので減退ぶりは仕方がない。またニコニコ動画は20代でわずかに増加しているものの、10代・30代・50代で少なからぬ減退。YouTubeとの対比から、動画動向サイトの現状が数字で把握できる次第ではある。



今件調査結果からはLINEのさらなる浸透やFacebookの健闘、Twitterの若年層への普及(最利用率は10代!)など、興味深い動きを多々見受けることができるが、これらの動きは前年2015年分からのものであり、単年のイレギュラー的なものでは無い。来年はさらにこれらの動きが進み、日本国内におけるソーシャルメディアの勢力図も随分と変化した状況となるだろう。