2017-0725
日本の従来型携帯電話はインターネットへのアクセスが可能でビジュアル面も充実しており、マルチメディアフォンと呼ばれる面もあるほどの高機能ぶりを有していることから、その機能に満足してしまい、スマートフォンへの移行が他国と比べて遅れ気味だったものの、昨今では急速にシフトが進みつつある。新型機として市場に新規投入される機種の大部分がスマートフォンであることから、特に若年層のスマートフォン所有・使用率は年単位で大きく伸びていることが各調査でも判明している。今回は総務省が2017年7月7日に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」から、従来型携帯電話、スマートフォン、そして同じモバイル機としてタブレット型端末の合わせて3媒体における、所有・使用率の現状などを確認していくことにする(【発表リリース掲載ページ:研究成果-調査研究報告書】)。

すでに50代まではスマホが上


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。

次に示すグラフは年齢階層別の従来型携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末の利用率。所有率ではないので、所有権を有する必要は無い(10代では特に利用していても自分の所有物で無い可能性がある)。

↑ スマホ・従来型携帯・タブレット型端末利用率(2016年)
↑ スマホ・従来型携帯・タブレット型端末利用率(2016年)

例えば20代ではスマートフォンと従来型携帯の回答値の合計が100%を超え108.8%となることから、双方端末を同時に利用している人が少なからずいることが分かる。利用スタイルとして使い分けているか、あるいは単に移行の過程にあるかは人それぞれだが、双方項目の年齢階層別の回答率を見るに、従来型からスマートフォンへの移行が若年層から少しずつ起きていることが分かる。

全体ではスマートフォンと従来型の差異は40%ポイント近くの差が出ているが、10代から30代まではそれをはるかに超える圧倒的差でスマートフォンの方が上。また40代ではまだ3人に1人、50代では2人に1人、60代では3人に2人が従来型携帯電話を利用しているが、10代から30代では1割強にまで落ちている。

スマートフォンの利用率は20代がピークで、以下歳を経るに連れて漸減。従来型は20代が下限で、それ以降は年と共に上昇していく。10代が20代よりも上なのは、防犯タイプの従来型携帯電話を持たされている事例があるからだろう。現時点では50代までがスマートフォンの方が上の世代で、60代でようやく従来型の方が上となる。

他方タブレット型端末だが、30代から40代がピークの4割近くを示しているが、携帯電話ほど年齢階層別の差異が出ていない。これは先行記事などで触れているが、個人所有の事例がさほどなく、世帯別での所有機として家族皆で使う事例が多々あり、年齢階層別の利用率の差が出にくいことが要因と考えられる。

1年の変化をたどる


スマートフォンの急速な浸透ぶり、タブレット型端末の確実な普及の進展は他の調査でも多数の事例で確認できるが、今調査でもそれを裏付ける結果が出ている。次に示すグラフは、今件調査の前年版、つまり2015年の状況の結果を確認し、今回の2016年分と比較して1年間でどこまで変わったかを算出したもの。例えば全体のスマートフォンの値はプラス2.6%とあるので、全体においては前年から2.6%(ポイント)スマートフォンの利用率が上昇したことになる。

↑ スマホ・従来型携帯・タブレット機利用率(2015年から2016年への変移、ppt)
↑ スマホ・従来型携帯・タブレット機利用率(2015年から2016年への変移、ppt)

50代以降でスマートフォンの大きな躍進と従来型携帯電話の減退が確認できる。元々前年までの値が低く伸びしろが大きいのも一因だが、これらの層で1年間に1割ほどもの利用率上昇が成されたことになるのは注目に値する。

また、10代と40代では前年比でスマートフォンの利用率減退が生じている。これに関しては報告書で「全体のトレンドを考えるとスマートフォン利用率が減少傾向に転じたとは考え難いので、次回以降の調査結果を見た上で判断する必要があると考える」との但し書きがある。実際、前々年比では両方ともプラスを計上し、前年の2015年分が過剰な伸びを示したことによる反動とも多分に考えられる。両年齢階層のスマートフォン利用率動向がマイナスに転換したわけでは無かろう。

他方、10代は防犯用のためのプラス化と考えられるが、40代では従来型携帯電話の利用率増加が見られる。これもイレギュラーな動きの感は否めない。その両属性を除けば、大よその階層で従来型携帯電話の利用率はマイナス。全体でもマイナスを計上している。スマートフォンへのシフトの過程にあると見れば道理は通る。

タブレット型端末は20代から30代で減少。これに関する言及は単純な動向以外は報告書には無いが、その下げ分を40代から50代が補い、全体としてはプラス。タブレット型端末利用性向が天井に達したとは考えにくい。



従来型携帯電話よりもスマートフォンの利用率が高い若年層と、まだ従来型がそれなりに利用されているシニア層という構造の、携帯電話の利用状況。家庭共用スタイルが多く年齢階層間格差があまり出ないタブレット型端末。若年層ではすでに飽和状態に近づき、中堅層にシフトし、高齢層にも影響が及び始めたスマートフォン化の波。携帯電話関連、モバイル系の他調査でかいま見られた動向が、ずばりそのまま明確化した形で現れる結果が出ている。

特に従来型携帯からスマートフォンへのシフト動向は貴重なデータで、今後スマートフォンの普及状況がどのような変化を見せるのかを推し量ることができる。今件の結果の限りでは、すでに50代までは普及浸透が進み、従来型とスマートフォンの立ち位置は逆転したが、60代以降のスマホシフトはゆっくりな動きとなることが予想される。何しろ現状でまだ2/3が利用している。シニアの利用スタイルを想像すれば、それは容易に納得ができるものであるし、何か技術的に劇的な変化がない限り、スマートフォンの利用率上昇そのものは継続するが、今後も従来型携帯電話の優位さが継続するのは容易に想像できよう。