安倍首相の嘘は「1月20日に知った」だけじゃない! 官邸の記録を破棄して首相秘書官と今治市担当者の面会疑惑を隠ぺい

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 加計学園による獣医学部新設計画を知りうる立場にあったが、知らなかった──安倍首相による仰天の「前言撤回」が飛び出した閉会中審査は、あらためて安倍首相の嘘によって「丁寧な説明」を放棄していることが浮き彫りになった。

 国会でも追及されていたが、安倍首相は今年6月5日の参院決算委員会で民進党の平山佐知子議員より「大親友である加計さんがずっとこの獣医学部を新設したいという思いであったということは当然ながらご存知でいらっしゃいましたよね」と質問を受け、「これは、安倍政権になりましてから、国家戦略特区に、その申請を今治市とともに出された段階で承知をしたわけでございます」と明解に答弁。さらに社民党の福島瑞穂議員の質問主意書に対しても、答弁書で"構造改革特区の説明資料に加計学園が候補となっていると記載されていた"と回答しており、閣議決定されている。

 また、福島議員に「安倍政権のイメージを落とそう、安倍晋三を貶めようと答弁するのはやめろ」「責任取れるんですか」と声を荒げた3月13日の国会答弁では、安倍首相はこうも言い放っていた。

「だいたいですね、特区というのは国家戦略特区ですから、その前にこれをやるということはだいたい決まっていて、多くの人たちは知ってるんですよ。関係者はみんな知ってるんですよ!」
「もうちょっと勉強してから質問してくださいよ」

 ここまで言い切っておいて、いまさら「(以前は)急な質問だったので整理が不十分だった」「今治市と加計学園を混同した」「いまの答弁が正しい」などとして発言を修正するとは、前代未聞の離れ業。それを国民に容認しろというのは、どうかしているとしか思えない。

 もちろん、こんなあり得ないことを言い出したのは、「総理のご意向」文書を否定するための方便だ。そして、安倍首相は自ら認めたように、加計理事長に会食費を支払ってもらったこともあった。安倍首相が加計学園を獣医学部新設の事業主体と認識しながらおごってもらっていたとなれば、重大な倫理違反どころか、収賄罪などの刑事事件に発展する可能性もある。たとえば「週刊文春」(文藝春秋)の報道では、安倍首相は「加計さんは俺のビッグスポンサーなんだよ」と語り、片や加計理事長も「(安倍氏に)年間1億くらい出しているんだよ。あっちに遊びに行こう、飯を食べに行こうってさ」と酒席で漏らしていたと伝えられているほどなのだ。

●今治市担当者と会ったのは経産省出身の柳瀬首相秘書官だった

 当初は加計学園問題をこれまで通り知らぬ存ぜぬで押し切れると踏んでいたが、崖っぷちまで追い詰められてしまったいま、加計学園が獣医学部新設を目指していたことを「知っていた」とは口が裂けても言えなくなってしまった。実態はそんなところだろう。

 だが、安倍首相の「丁寧な上にも丁寧に説明をつづけたい」という言葉が紛れもない嘘であることがもっとも明らかになったのは、「官邸訪問した今治市職員は誰と会ったのか」という問題においてだ。

 今治市が公開した出張記録によると、今治市が国家戦略特区に選ばれる約9カ月前にあたる2015年4月2日に、今治市の企画課長と課長補佐が「獣医師養成系大学の設置に関する協議」のために内閣府などを訪問。その後、急遽「官邸訪問」が決まり、15時から16時30分まで官邸で打ち合わせを行ったことが記されていたが、肝心の打ち合わせ相手の部分は黒塗りとなっており、他方、萩生田光一官房副長官も前回の閉会中審査で「訪問者の記録が保存されていないため確認できなかった」と答弁。真相は闇に包まれていた。

 しかし、現在発売中の「週刊朝日」(朝日新聞出版)の記事では、今治市関係者が「面会したのは経産省出身の柳瀬唯夫首相秘書官(当時)」「柳瀬氏は今治市の担当者ら少なくとも3人と会い、『希望に沿えるような方向で進んでいます』という趣旨の話をした」と証言しているのだ。つまり、首相直属の秘書官が"今治=加計で太鼓判を押していた"というのである。

 そして、このスクープ記事を受けて、今回の閉会中審査には疑惑の柳瀬前首相秘書官が参考人として出席したのだが、その答弁は「私の記憶を辿る限り、今治市の方とお会いしたことはございません」というもの。その上で、安倍首相も、「今治市の職員の方が誰と面会したかは、すでに萩生田官房副長官が国会で答弁しているとおり確認できなかったと承知している」と答えたのだ。

 これを「丁寧な説明」とは誰も言わないだろう。官邸の訪問記録が残されていないこと自体が危機管理上あり得ない話であって、防衛省の日報問題同様、隠蔽されている可能性は高いが、そもそも国民に丁寧に説明する気があるのなら、早急に官邸で聞き取り調査を行って「誰が今治市職員と打ち合わせをしたのか」を明らかにすればいいし、あるいは今治市に黒塗り部分の開示を求めればいいだけ。こうした国民からの信頼を取り戻したいのなら真っ先にやるべきこともやらない理由は、「バレたらまずいから」にほかならない。

 また、安倍首相は、加計学園の獣医学部を「適切でオープンなプロセスを踏んで決定された。白紙にすることは考えていない」と宣言。これだけ疑惑が山積している状況にあって、まだそんなことを言うかと神経を疑わざるを得ないが、実際は「適切でオープンなプロセス」など踏んでいない。

●山本幸三地方創生相の答弁で証明されたで"加計ありき"


 現に、山本幸三地方創生相は、加計学園と京都産業大学の提案書を比較検討した上で「熟度が高い」今治に決めたと主張するが、同時に「議事録はない」と答弁している。このような重要な議論の議事録が残されていない状態を、世間ではけっして「オープン」とは呼ばない。

 しかも、山本地方創生相は、京都産業大学が新設断念にいたった決定打である「2018年4月開学」という条件が「加計ありき」だったことを、昨日の答弁のなかで自ら語ってしまっている。

 昨年11月に行ったパブリックコメントにおいては、学部新設の時期を2018年度とすることに対し、「準備期間が非常に短期間。特定の案件に絞り込んだ恣意的な期間設定」などといった疑義を呈する意見が寄せられていた。そうした意見を認識していたかと共産党の宮本徹議員が質問すると、山本地方創生相は「大方の内容は概略聞いている。そういう話があったとも聞いている。しかし、それでもって加計学園ありきでやるわけではない。必ず公募をやるわけだから、その公募によって決まる」と答弁したのだ。

 山本地方創生相は"特定の事業者しか手を挙げられない恣意的な期間設定"であることを知りながら、内閣府として事業者公募の際、2018年4月開学を条件として打ち出した。ようするに、確信犯で出来レースを仕掛けていたことを認めたのである。

 さらに、今日の審議でも山本地方創生相は、とんでもない発言をしている。今治市が開示した資料では、公募によって事業者に選ばれる以前に、資料では黒塗りとなっている「事業候補者」が、獣医学部建設予定地への電力供給に必要な申込書の提出を今治市に対して求めていたことが判明しており、こうした動きについて民進党の櫻井充議員は「加計ありきではないのか」と安倍首相に質問した。しかし、ここで山本地方創生相が立ち上がり、「そういう細かいことを総理にお尋ねしても無理だと思います」と言って答弁を行ったのだ。

 加計ありきを示す重要な事実を「細かいこと」などと呼ぶ。この発言には、自民党の山本一太予算委員長も「表現には十分注意していただきたい」と注意を行ったが、山本地方創生相がこうしたなりふり構わない態度を取っていることに、安倍首相は何一つ苦言も呈さない。いや、それどころか、昨日の審議では、安倍首相自身の記憶について質問されている場面で山本地方創生相を指差し、代わりに答弁をさせていたほどだ。

 健気なフリをしても、都合が悪くなると手下に答弁させ、誰にでもわかる嘘をつき、いますぐやれる調査も行わない。口調だけ丁寧にしただけで、安倍首相の態度は何も変わらない。──憲法53条に定められた臨時国会開催を要求されながら、自民党はいまだに召集せずにいるが、日報問題含め、こんな審議で国民が納得するはずはないだろう。
(編集部)