犬にも、楽な座り方がある?!

人間もずっと正座出来ないように、犬にも楽な座り姿勢があります。
女の人が横座りをするような座り方をしたり、後ろ足を前へ投げ出して、疲れたおじさんのような格好で座る犬もいます。
犬らしくない、そんな座り方をしていると、なにか下半身に異常があるのではないかと心配になるのは、飼い主として当然です。
けれど、犬の体の構造は犬種によって多種多様で、足が細くて長い犬種、胴の長い犬種など体の形状も様々です。犬らしくない座り方をするからと言って、その犬にとって楽な姿勢であれば、特に心配することはない時もあります。
けれども、ずっとそのことが気にかかるのなら、かかりつけの獣医さんにきちんと診療、検査を受けてみましょう。

歩き方までおかしい…さらに、痛がることもある時は要注意!

座り方だけでなく、歩き方がいつもと違う、あるいは、歩き方が他の犬と明らかに違う時は、足のどこかが痛み、それをかばっている可能性があります。
また、座っていて立ち上がる時に動作が辛そうだったり、足を触るのを嫌がる時も要注意です。

異常な歩き方の例

腰を振って歩いたり、普段は散歩が大好きなのに、散歩に行きたがらない、あるいは、散歩の途中で足を止めて、歩くのを嫌がる。
なんの異常もない時と比べて、歩き方に違和感を感じるような時は、なるべく早いうちに、かかりつけの獣医さんを受診して、診察を受けましょう。
では、座り方や歩き方に異常が出るのは、どんな病気なのでしょうか?

関節リウマチ性関節炎

どんな病気?

犬の関節リウマチ性関節炎は、「免疫介在性性関節炎」の一つとして考えられています。
本来、自分の体を守るための免疫システムが、うまく働かず、関節に対して悪さをしてしまう病気です。

どんな症状が出る?

朝起きる時などに関節がこわばっていたり、動き出す時に痛がる。かかとなどがベタッとつく姿勢をとる熱が出る食欲がなくなる

初期症状は、個体差があります。
以上のような症状があらわれている場合は、関節リウマチの可能性があります。
この病気は、進行性の病気なので、放っておくとどんどん症状は悪化します。
早急に獣医さんを受診して、正確な判断を仰ぎましょう。

関節リウマチにかかりやすい犬種とは?

シェットランドシープドッグチワワトイプードルミニチュアダックスフンド

以上の犬種は、若いうちから発症する可能性があることを覚えておきましょう。

関節リウマチ性関節炎の治療法

関節リウマチ性関節炎の治療には、犬の年齢や体重によって治療法を選択します。

内科的治療

ステロイドや、免疫抑制剤、抗リウマチ薬などを投薬して治療にあたります。
関節リウマチは一度発症すると、完治する病気ではありません。
薬と症状の様子を見ながら、ずっと付き合っていく病気です。
ですから、症状が軽減しても、自己判断で投薬を中止してはいけません。
必ず、獣医さんの指示を守りましょう。

股関節形成不全(股関節形成異常)

どんな病気?

生まれつき、大腿骨と骨盤を結合する股関節に異常がある状態を「股関節形成不全」と言います。

歩き方に特徴が出る股関節形成不全

歩行時に腰が左右に揺れる歩行時に、時折、うさぎ跳びや、スキップをしているようなしぐさが見られる起き上がりにくい運動を嫌う高い場所に上がるのを嫌がる

シニアに差し掛かった犬ではなく、生後4カ月ころから症状が現れます。

股関節形成不全が出やすい犬種

大型犬、超大型犬に良く見られる病気と言われ、遺伝疾患が出る犬種はある程度、特定されています。

ロットワイラーゴールデンリトリーバーラブラドールリトリーバーシェパードセントバーナード

小型犬に比べ、体が成長する時に増加する体重が大きいため、股関節に大きなストレスが罹るためだと言われています。

股関節形成不全の予防

遺伝なので予防が難しい部分もありますが、股関節形成不全にかかりやすい大型犬、超大型犬を迎えた際には、定期的に股関節の状態をかかりつけの獣医さんに診てもらい、適切な運動量、運動の仕方、フードなどを相談し、股関節形成不全の発症に気をつけることも大切です。

治療法

まだ、骨が最長途中である仔犬の時期なら、安静にして様子を見ますが、出来ることなら早期に手術をして矯正することが理想です。
この時期に肥満にならないように、軽度な運動と食事のコントロールをしながら、
仔犬の体の成長を見守ります。
けれど、体が成長してしまって、痛みなどの症状が出始めたら、抗炎症剤や鎮痛剤で痛みをコントロールします。

膝蓋骨脱臼

どんな病気?

膝蓋骨というのは、「膝のお皿」のことです。
通常、その「膝のお皿」は、太もも(犬の場合は、後ろ足)の大腿骨の溝にはまっているのですが、その溝から外れてしまった状態が、「膝蓋骨脱臼」です。
症状が現れるのが、生後4カ月頃からで、オスよりもメスに多く見られます。
生後4カ月頃と言えば、可愛い盛りですよね。
仔犬が脱力した様子で足を崩して座っている様子はとても可愛らしいですが、この時期から、「座り方がおかしいな」と感じたなら、獣医さんに相談しましょう。

どんな症状が出る?

足を引きずって歩く後ろ足を触られるのを嫌がる極端な承咾O脚になる

かかりやすい犬種

極端に小さくなるように改良された犬に多い病気で、ミニチュアプードル、トイ・プードル、ポメラニアン、ヨーキーなどの超小型犬に多いとされています。
また、中型犬ではチャイニーズシャーペイ、大型犬ではラブラドールリトリーバーでも発症することがあります。

治療法

膝蓋骨脱臼は、症状の程度によって4段階に区分されます。
大腿骨の骨を削って、「膝のお皿」がはまるはずの溝を深くする手術など、
症状の程度によってさまざまな治療法があります。

変形性骨関節症

どんな病気?

関節に大きな負荷がかかることで、関節の軟骨がすり減ったり、関節を構成する組織の変化が少しづつ進行してしまった状態を変形性骨関節症と言います。
この病気でも、関節に痛みがあるので、少しでも痛くないように、犬はおかしな座り方をすることがあります。

どんな症状が出る?

ゆっくりと歩く階段を登りたがらない起き上がれないこわばりがある

変形性骨関節症にかかりやすい犬種

ゴールデンリトリーバーラブラドールリトリーバーロットワイラーシェパード

変形性骨関節症の治療

痛みを緩和するために抗炎症剤を投薬します。
同時に、体重を管理するために食事療法、サプリメントなどを使用します。

まとめ

いずれの病気も、素人判断ではなく、少しでも気がかりであれば、必ず獣医さんを受診しましょう。早期発見、早期治療で、症状が改善されたり、病気の進行を遅らせることが出来ます。愛犬ちゃん達は、「足の付け根が痛いの…」「足の関節が痛いの…」と言葉に出して言うことが出来ない分、私たち飼い主が常に健康に気を配ってあげなければいけません。「いつも変な座り方をしている」よりも、「いつもと違う座り方をしている」「いつもより、立ち上がるのを億劫そうにしている」と気がつけるように、健康な時こそ、その状態をしっかりと頭に入れておきましょう。


(獣医師監修:加藤桂子先生)