プロモーションツアーで初来日を果たしたカイリー・アービング【写真:編集部】

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初来日した若きクラッチプレーヤー「ほぼ毎日、バスケに時間を費やしてきた」

 NBAクリーブランド・キャバリアーズのカイリー・アービングが先日、プロモーションツアーで初来日を果たした。試合の重要な局面でシュートを沈めて勝利を呼び寄せる「クラッチプレーヤー」として名を馳せる25歳のポイントガードが、日本のバスケットボールファンに伝えたかったこととは――。

 日本で言う小学4年生の頃、アービングは自分の部屋のクローゼットの壁に「将来はNBAに入って見せる」と書き記したという。その“誓い”は、2011年にドラフト1巡目1位指名という最高の形で果たされた。

 2011-12シーズンに平均18.5得点、3.7リバウンド、5.4アシストで新人王、14年にはNBAオールスターでMVPを受賞。2015-16シーズンには“キング”ことレブロン・ジェームズとともにリーグ優勝を果たすなど、スターダムを駆け上がった。アメリカ代表としても、14年ワールドカップで金メダル&大会MVP、昨年のリオデジャネイロ五輪でも母国の金メダル獲得に貢献している。

 バスケットボールを始めてから「ほぼ毎日、それに時間を費やしてきた」と自負するアービング。そこまで打ち込むことができたのは、「勝利へのこだわり」と「ベストプレーヤーになりたい想い」があったからだと語る。

「全ては自分の内なる部分、ハートから始まるんだ。僕は勝つために、そしてベストプレーヤーになるためにすべてを尽くしてきた。バスケットボールへの愛情は、年々深まっている。それを忘れずに、みんなにも気持ちを注いでいってほしい」

練習のポイントは…「イマジネーションを大事にし、立てた目標を達成する」

 では、アービングはどのように練習に取り組んできたのか。巧みなボールさばき、観る者を魅了する華麗なパス、正確無比なシュート――。誰もがうらやむレベルにたどり着けたのは、練習量はもとより、目標を設定し、常に本番を想定してきたからだという。

「練習するときは、何か目標を立てて、達成することが大事だ。なかでも、僕は“イマジネーション”を大事にしている。1対1で勝つには、様々なフィニッシュとクリエイティビリティ(創造性)が必要になるからね。もちろん、いくらムーブメント(動き)が良くても、フィニッシュが決まらなければ何の意味も持たないのは忘れてはいけないよ」

 実際、少年少女たちに向けた1対1のクリニックでは、左右に揺さぶって相手を抜く「クロスオーバードリブル」やジグザグにステップを踏んでディフェンスをかわす「ユーロステップ」など、遊び心あふれる技を交えてお手本を示していた。動きが体に染みついているアービングにとっては、これらの高等テクニックも“スタンダード”なのだろう。

 さらに、メンタルの持ち方1つで、可能性はどこまでも広がると説く。

「バスケットボールは体のサイズで決まるものじゃない。人になんと言われても、自分を信じてプレーすることが大事なんだ。僕は、“グッドなプレーヤー”と“グレートなプレーヤー”を分けるのはメンタリティだと思っている」

天性の勝負師…「僕は世界で最も負けず嫌いな人間の1人だと思う」

 そして、アービングを語るうえで欠かせないのが、勝敗の懸かったシュートを沈めるクラッチプレーである。

 初優勝を飾った2015-16シーズンのNBAファイナル第7戦、89-89で迎えた残り53秒の場面で相手エースのステフィン・カリーの上から決勝の3点シュートを成功させたのは記憶に新しい。あまりの強心臓ぶりは、プレッシャーとは無縁なのではないか、と感じるほどだが、「失敗は怖くないのですか?」という質問には意外な本音が返ってきた。

「そりゃ、僕だってやっぱり怖いさ」

 少なからずプレッシャーは感じているようだが、アービング曰く「プレッシャーの中で戦うのは、バスケットボールだけではなく、世の中に生きていれば必ず直面すること」。コート上では相手を打ちのめしてやりたいという信条が勝るのだという。

「勝負を決めるショットを打つのは負担のあることではある。でも、子供の頃からそういう役割を担ってきたし、“賭け”が好きなんだ。たとえ成功しても、失敗したとしても、良い選手なら1対1に持って行かないと。僕は世界で最も負けず嫌いな人間の1人だと思う」

 ベストプレーヤーになるために――。自分自身を信じ、どこまでも理想を追い求めてチャレンジを続けるアービングの姿は、多くのバスケットボールファンの「光」になるはずだ。