ソウル市内の飲食店などに張られている求人広告(資料写真)=16日、ソウル(聯合ニュース)

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【世宗聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が掲げる「人中心の経済」で、需要側面の二つの軸が「所得主導の成長」と「雇用中心の経済」だ。

 文政権が11兆ウォン(約1兆1000億円)の補正予算で雇用中心経済のスタートを切ったとすれば、所得主導成長の出発点は最低賃金の引き上げだ。
 韓国政府が25日発表した新政権の経済政策方向によると、政策課題の冒頭に掲げたのが所得主導成長で、その要になっているのが最低賃金を時給1万ウォンに引き上げることだ。家計の実質可処分所得を増やして消費を促し、経済全体の好循環を加速させたい考えだ。
 経済政策方向の発表に先立ち、労使と政府推薦者でつくる最低賃金委員会は来年の1時間当たりの最低賃金を前年比16.4%増の7530ウォンに決めた。2010年以降の最低賃金の引き上げ率は2.75〜8.1%だった。今回の引き上げ幅は文大統領が20年までに同最低賃金を1万ウォンに引き上げることを公約として掲げたことが後押ししたとされる。
 韓国政府は最低賃金の引き上げを決めた翌日、経済関係閣僚会議を開き、小規模事業者や零細企業の負担を緩和するための支援策を策定した。
 支援策の柱は雇用安定支援資金の補助となっている。過去5年間の最低賃金の年平均引き上げ率(7.4%)を上回る分に相当する額を支援することにした。その規模は来年だけで3兆ウォンに上る。
 具体的な支援対象や金額、支給方法は関係機関のタスクフォース(TF、特別チーム)で議論することにした。TFは8月中旬までに対策を具体化し、18年度(1〜12月)予算案に反映する方針だ。
 文大統領の公約であることに加え、これまで最低賃金が低すぎるとの指摘もあったため、労働界や学界の一部では最低賃金の引き上げを求めていた。
 ただ、最低賃金の引き上げを受けた支援に政府の財政を投入することに疑問の声も上がっている。来年は3兆ウォンだが、最低賃金1万ウォンを実現するためには財政で負担する追加の人件費が16兆ウォンに達するとの見通しも出ている。
 このため政策設計や意見収集が不十分だったとの指摘が相次いでいる。
 論争が続いていることを踏まえ、文大統領は今月19日、与野党4党の代表との会合で、「政府は最低賃金の引き上げに耐えられない小規模事業者や零細中小企業対策をすぐ発表した」として、「年末までに引き続き補完して点検する。小規模事業者や自営業者に不利な影響がないようにする」と述べた。
 経済政策方向にも最低賃金1万ウォン達成と関連する文政権の従来の立場がそのまま盛り込まれた。来年、引き上げられた最低賃金の適用で発生し得るさまざまな副作用を政府の対策で効果的に緩和できるかどうかが最低賃金1万ウォン達成の鍵になるとみられる。
 最低賃金の引き上げが低成長や所得格差拡大を克服し、成長のパラダイムを変えられるか、それとも中小企業や小規模事業者の負担増で経済に悪影響を与えるか。文政権の実験は始まったばかりだ。
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