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犬を家族として迎える喜びは想像以上! でも、犬と楽しく住める家や街はどんなところだろう? 物言わぬ愛犬たちのために飼い主として知っておきたいことを、家庭犬しつけインストラクター西川文二さんに教えて頂いた。

住まいやライフスタイルの変化によって変わった犬の役割

雑誌やテレビにも出演されている西川先生は、“家庭犬”のしつけ教室を運営する人気インストラクター。
“家庭犬”とは、「警察犬のように仕事のための“作業犬”や競技のための犬とは違って、家族と共に生活するコンパニオンとしての犬。長らく日本で犬は一戸建て住宅の庭先など外で飼う番犬が多かったのですが、マンションなど集合住宅の世帯が増えたり、子どもの数が減ったこともあって、2003年ごろから犬を室内で飼う世帯の方が増えてきて、番犬ではなく家庭犬としてのしつけが必要になってきたのです」(西川先生、以下同)

【画像1】西川文二さん(Can! Do! Pet Dog School代表)公益社団法人日本動物病院協会認定の家庭犬しつけインストラクター(画像提供/Can! Do! Pet Dog School)

「ペットと幸せに暮らすためには、“飼い主+ペット+周りの人”が共に幸せでなければなりません。動物嫌いな人は必ずいますし、ご近所など周囲の人に迷惑をかけないようしつけることは飼い主の義務でもあります」と、西川先生。
確かに糞尿の始末や、鳴き声など飼い主が犬をしつけられないと、ご近所に迷惑をかけお互い不幸になってしまうだろう。犬と楽しく暮らすには、家や街のハードよりもまずは、ソフト、“しつけ”が重要そうだ。

室内で飼う家庭犬のしつけは、生後3〜4カ月齢までの社会化期が大切!

まずは“しつけ”が重要ということがわかったが、家庭犬としての基本マナーをしつけるには、犬も人間と同じく早い段階が効果的だという。人間は“三つ子の魂百まで”と言うが、犬は?
「ペットとして犬を買うケースは生後2カ月くらいが多いのですが、そこから生後4カ月までの2カ月間が犬の社会化期。ここで正しくしつけられれば、だいたい問題の無い子に育ちます。また、飼い始めから5〜6カ月間は行動やマナーのトレーニングが必要です」
親元で生後2カ月しっかり育っていれば、社会性豊かでフレンドリーな性格になると言う。

【画像2】トレーニングされた家庭犬は、預かりでもお友達と仲良く「待て」ができる!(画像提供/Can! Do! Pet Dog School)

犬にとって快適なのは、大きな公園や川岸のある街

犬との共生を望む飼い主にとって良い住環境はどのような所なのか? 住まい選びを検討する際にも考えておきたい。西川先生に伺った。
「毎日のことでは、散歩コースに大きい公園があれば良いですよね。散歩は約30分を朝夕2回が好ましいので、往復30分と考えると徒歩5〜10分内に公園や川岸があればベストですね」
公園=緑の中で土の上を歩くのが気持ち良いのは、人間と同じだ。加えて、
「犬の臭い嗅ぎという習性を満たしてあげるのにも、土の上を歩くのが良いのです」と、西川先生。

【画像3】「公園大好き!」こんな顔されると、飼い主も歩かざるを得ず…これが犬オーナー元気の源(画像提供/Can! Do! Pet Dog School)

家が線路や道路脇にある場合など、街の騒音について犬はどうなのだろう?
「人間より高い音域も犬は聞こえるので、虫の羽音なんかも反応します。でも、2カ月齢の子犬から社会化期をその環境で過ごしていれば、人間と同じで騒音などに慣れてしまうもので、あまり問題にはなりません」
逆に、雷や花火の音に怯えて吠えないよう、先の社会化期に敢えて音を聞かせて慣れさせる訓練をするそうだ。

「あと、動物病院が徒歩圏にあれば良いですね。予防注射などでお世話になる近所の病院に、専門的な手術にも対応できる病院と連携してもらえる体制があるのが理想的です」
犬の長寿命、高齢化で動物病院も増えているが、信頼できる病院探しは簡単でないのを筆者も経験している。
「公園デビューやお医者さん探し、犬のための暮らしは子育てのための環境づくりと似ています」

犬が過ごしやすく、安心できる家の工夫

では、家において犬のために気をつけるベきことは?
「ハード部分では怪我や病気をしないよう衛生的にすること。特に大切なのは床・壁の素材選びですね」犬の肉球は猫と違って乾いている上に、毛が伸びてくるので、滑りやすい床は禁物。人間だと氷の上に立っているようなもので、関節を痛める原因になる。また床は「汚れがしみ込みにくい素材であること」と西川先生。

【画像4】(左)普通のフローリングだと、お座りで足が横滑りして開いてしまう。(右)表面に凹凸のあるタイルフロアは、しっかり止まる。夏はヒンヤリ、お気に入りの場所(写真撮影/藤井繁子)

最近はフローリングでも、ペット用に開発された滑りにくい製品もあり、床に塗るだけで滑りを防ぐペット用ワックスもあるのでケアしてあげたい。

「犬は飼い主と一緒に居ることが一番うれしくて安心します。ただ自分の居場所があることも心身を休めるためにすごく重要なので、リビングなど家族が集まる場所にケージや居場所をつくってあげましょう。疎外感を犬が感じないようにね」
ここが、庭先につながれる番犬と家族犬との違いである。可能であれば、庭と室内を自由に出入りできるような工夫があればより良いという。さらに、室内側に中間的なゾーンを土間のようにすれば、室内が汚れなくて良いと西川先生はアドバイスしてくれた。

昔のように外で飼う番犬型が少なくなったことで、吠え声に慣れていない人も多くなっている。
「子どもの声がうるさくて、保育園ができるのを反対する住民と同じ現象ですよね。ちょっとした犬の鳴き声でもトラブルになるような時代なので、無駄吠えをしないようにも初期のしつけが重要です」(西川先生)

社会の変化によってペットのあり方も変わりつつあるが、いつの時代も人間に寄り添ってきてくれた愛しい犬たち。その本能や行動様式を飼い主がしっかり学んだ上で住まい選びをすれば、犬との暮らしがより豊かになるのかも知れない。

●取材協力
Can! Do! Pet Dog School
(藤井 繁子)