職場で心の病公表、女性のメールが話題 企業がすべきことは

写真拡大

マダリン・パーカーという女性が書いたメールがソーシャルメディアで話題を呼び、職場でのメンタルヘルス(心の健康)に関する議論を巻き起こしている。

マダリンのメールはこうだ。「チームの皆さん、今日と明日は自分のメンタルヘルスに集中するため休みます。来週には気持ちも新たに100%回復して戻ってきたいです」

これを勇気ある行動だと称賛する声もある。だがこのメールのどこが、それほど勇敢なのだろう?

マダリンのメールを読み、ソーシャルメディアにあふれる多くの関連ツイート・記事を見ても、私はさほど驚かなかった。さまざまな意味で、職場でのメンタルヘルスの話題はいまだにタブー視されている。

それどころか、一連の騒ぎにげんなりしてしまったというのが、私の正直な感想だ。マダリンが勤めるオラーク(Olark)社のCEOはメールへの返信で、彼女の行動を称賛したが、私はこれが心温まる驚きの対応と受け取られたことにがっかりした。そうではなく、例えば病欠の報告への返信と同じ普通の対応と捉えられてほしかった。

また、自分の心の病について職場で打ち明けると解雇されるかもしれないと恐れている従業員の話も聞き、大いに動揺した。私たちは毎日、懸命に働いている。そろそろ心身ともに、自分をいたわるべきなのではないか?

職場でのストレスは、うつ病や不安の原因となることが分かっている。従業員が心の健康を含め自身のケアを優先する必要があることは明白だが、雇用側からの支援ももちろん必要だ。

私たちは幸福なとき、仕事でも能力を発揮しやすい。苦しみを感じていると、仕事でもうまくいかない。この悪循環が従業員の心の健康を損なうことは言うまでもないが、労働力にも悪影響がある。

米疾病対策センター(CDC)によると、米国ではうつ病により、労働日にして約2億日分、金額にして約170億〜440億ドル(約1兆9000億〜4兆9000億円)相当の損失が生じている。幸福な従業員は生産性も高いことは事実なのだ。

幸いなことに、メンタルヘルスの問題は治療が可能だ。ユニリーバなどの企業は、従業員の意見を聞いて健康増進の取り組みを進めているが、それでも心の病に対する偏見は消えていない。

米国心理学会(APA)の「2016年労働・健康調査」では、米国人従業員で「自分の会社が従業員の心身の健康を支援している」と回答したのは半分以下だった。また同調査では、米国人の3人に1人が仕事に慢性的なストレスを感じていることも分かっている。

従業員の幸福度向上が生産性増加につながるとすれば、企業と従業員が行動を取らない理由は何か? 従業員側としては、心の病について話すと偏見を持たれ、最悪の場合失職する可能性もあると恐れている。

ライターのリンジー・ホームズは、これはただの偏見の問題ではないと論じている。偏見という言葉は軽すぎる。これは差別なのだ。

メンタルヘルスについて正直に語れるようになれば、この差別の終わりも見えてくる。もちろん、私たち全員が率直に心の病を公表できるような恵まれた環境にいるわけではない。残念だが、仕事を失う危険を冒せない人もいる。

マダリン・パーカーのメールがこれほど強力なのもそのためだ。私たちの多くが経験するが、なかなか口に出せないことを言葉にしている。

オラーク社のように、従業員の自己ケアを奨励する会社は増えている。できるならば、こうした新たな職場を探すか、自分でそうした仕事を創出してはどうだろう。私たちにさまざまな要求をするのに、その健康には全く気を使えないような仕事を続ける理由はない。

私たちは自身のメンタルヘルスを優先する準備ができている。そして私たちは、同じく自分のメンタルヘルスを優先してくれる会社を選ぶだろう。