訂正:中国のドル建て債急増、FRBの政策判断に影響も

写真拡大

[香港 24日 ロイター] - 中国のドル建て債は発行残高が急ピッチで増加しており、米連邦準備事会(FRB)の金融政策判断を左右する恐れがある。FBRは2015年9月に中国金融市場の混乱から利上げを見送った苦い経験を持つが、今回もその二の舞を演じることになりかねない。

2年前には中国で株価の急落や想定外の人民元切り下げ、外貨準備の減少などが重なって金融市場が混乱。FRBは利上げをいったん先送りせざるを得なくなった。

今のところFRB当局者から中国のドル建て債を米金融政策の主要なリスク要因に位置付ける発言はないが、アナリストからは懸念の声が上がっている。

米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO、ピムコ)のグローバル・エコノミック・アドバイザー、ヨアヒム・フェルズ氏は「(2015年)当時を振り返ると、米国の金融政策はワシントンではなく北京で決まっていた。中国はどの国・地域の金融政策に対しても大きな影響力を持つ。今年に入って世界の中銀の政策運営が順調なのは中国発の衝撃波がないためだが、今後2、3カ月より先についてはそうした状況が変わってくるだろう」と話した。

国際決済銀行(BIS)のまとめによると、中国で発行されたドル建て債の残高は足元で5000億ドル強と、2008─09年の世界金融危機時から約20倍に急増。15年9月から約50%増えた。

新興国市場で起債されたドル建て債の残高に中国が占める比率はほぼ3分の1。15年9月は4分の1で、08年12月には5%弱にすぎなかった。

BISのデータによると、中国で発行されたドル建て債のうち5分の1が1年以内に償還期限を迎える。トムソン・ロイターの試算によると、半分強が今後5年以内に期限を迎える見通しだ。

FRBが量的金融緩和の出口戦略を進めて米国の借り入れコストが上昇すれば、ドル建て債の借り換えコストも上昇し、中国の実体経済に影響が及ぶのは必至。

また、中国企業が借り換えをドル建て債で行うのではなく人民元建て債で行えば、償還されたドルが海外に出て行った場合には人民元に売り圧力が掛かるかもしれない。

いずれにせよ影響が世界全体に波及し、FRBの政策は外部から大きな試練にさらされる。

FRBとしては、中国のドル建て債を差し迫った危機とはみていない。ダラス地区連銀のカプラン総裁は14日(訂正)の講演で、中国がドル建て債を抱えているのは事実だが、一般に考えられているほど海外からの借り入れに依存してはいないと述べた。

また中国のドル建ての借り入れは、海外での投資プロジェクト資金の調達など、経済面から理にかなった案件が大きな部分を占めている。こうして借り入れたドルが人民元に転換されれば、人民元売りの圧力が弱まる一助となるだろう。

さらにドル建ての借り入れ環境は安定しており、10年物米国債の利回りはなお歴史的な低水準を維持し、ドルもおおむね堅調だ。

実際のところ、アナリストの間では中国のドル建て債よりも、経済規模のほぼ3倍にまで膨らんだとみられる人民元建て債を懸念する声が多い。

しかし中国のドル建て債が急速な膨張を続ければ続けるほど、将来起きる経済の調整はそれだけ深刻になり、貸し手が中国の信用リスクの見直しを始めればなおさら厳しさが増す、とアナリストはみている。

アクサ・インベストメント・マネジャーのシニア・アジア新興国エコノミスト、アイダン・ヤオ氏は、中国は08年以降の世界の借り入れの動きの中で大きな部分を占めたと指摘。「市場が動揺し始めれば、悪循環が起きてFRBの政策の進め方に影響する。金融政策の正常化は一筋縄ではいかない」と話した。

(Marius Zaharia記者)

*11段落目の「21日」を「14日」に訂正します。