CPR細菌の1つ「パークバクテリア」の蛍光標本。(画像:海洋研究開発機構発表資料より)

 海洋研究開発機構などの国際研究チームは、アメリカ・カリフォルニア州ソノマにある「ザ・シダーズ」と呼ばれる、マントル由来岩石が露出した一帯において、既知のエネルギー代謝系、つまり呼吸などの機能を持たない、「常識外れな」微生物の一群を発見したことを報告した。

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 上部マントルの主要な岩石で、カンラン石というものがある。これは、水と反応(これを蛇紋岩化反応という)し、蛇紋岩と呼ばれる鉱物に変質する。このとき、水はpH11を超える強アルカリ性を示す。発見された微生物群は、そのような環境に好んで生息する、超好アルカリ性微生物である。

 現段階で、この微生物群について分かっていることはまだ少ない。確かなことは、まず、かれらは、既知のいかなる地球生命とも大きく異なるゲノム構成を持っている。いかなる原始的生命体でも必要不可欠と考えられていたような基礎的なゲノムを欠いていたり、ゲノムのサイズが異様なまでに小さかったりするのだ。

 2つの可能性が考えられる。第一の可能性。かれらは、地球生命が生まれたばかりの頃の、極めて原初的な形態を残した生物群のほんのわずかな生き残りである、という可能性だ。

 そしてもう一つの可能性。かれらは、極めて特異的な環境に特異的に適応するために、われわれ人類がこれまでまったく知らなかった傍流の進化経路を辿った生物相なのである、という可能性である。

 現状ではこの2つの仮説を絞り込む手立てはない。

 もう一つの問題を考えよう。エネルギー代謝である。多くの生物は、酸素を代謝する。ごく稀だが、硫化水素を代謝する、つまり硫黄を呼吸して生きている生物の存在も知られている。だが、今回発見された生物群、CPR細菌は、そのいずれにも属さない。蛇紋岩化反応に関連し、そこからエネルギーを獲得する代謝系を持っている可能性は示唆されるが、それも現状では推測段階である。

 今後、これらの生物について、より詳しい究明が進めば、あるいは地球初期の生命の進化について、あるいは生命の進化の可能性について、新たな知見が得られるかもしれない。

 なお、研究の詳細は英科学誌「ISME Journal」に掲載されている。