米グーグルとその傘下の動画共有サービス、ユーチューブ(YouTube)は、テロ関連コンテンツの撲滅に向けた取り組みを本格化させているようだ。

 それが、どの程度の効果があるのかは定かではないのだが、これまでのところ一定の成果が出たと同社は説明している。

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反テロ動画で組織への参加を阻止

 グーグルは今年6月、親会社アルファベット傘下のシンクタンクであるジグソー(Jigsaw)が考案した「Redirect Method」と呼ぶ対策を、欧州の広範な地域に導入すると発表していた。

 これは、ターゲット型広告の技術を用いて、過激派組織IS(イスラミックステート)に共鳴する利用者を把握し、そうした利用者にISへの参加を思いとどまらせるよう、反テロリズム動画に誘導するというもの。

 今後はこの対策を強化し、ユーチューブ上で、そうした利用者が過激派関連のコンテンツを検索した場合にも、反テロリズム動画に誘導する。この仕組みを万全なものにするため、英語以外のさまざまな言語の検索キーワードを用意し、機械学習技術を使って検索キーワードを動的にアップデートできるようにする。さらにこの問題に詳しいNGO(非政府組織)の協力を得て、テロリズムに対抗するメッセージを発信する動画を制作するという。

大手企業が広告引き上げ

 グーグルとユーチューブが、こうしてテロ関連コンテンツへの対策に着手したのは、今年3月に起きた大手企業の広告引き上げ問題がきっかけだった。

 ことの発端は、3月第3週に英国で報じられた記事。英紙タイムズが、ヘイトスピーチや過激な内容を含むユーチューブ動画に、大手企業の広告が掲載されていると報じたのだ。

 そして、この事態を重く見た英政府や英小売大手のマークス・アンド・スペンサー、ドイツのアウディなどが相次いで、グーグルとユーチューブから広告を引き上げた。また、この問題は米国にも飛び、AT&Tやジョンソン・エンド・ジョンソン、ベライゾン、スターバックス、ウォルマート・ストアーズといった企業も広告の引き上げを表明した。

 こうした事態を受け、グーグルは謝罪の声明を出し、その対策の第1弾として、総視聴回数が1万未満のチャンネルの動画には、広告を表示しないという方針を明らかにした。

それでも止まらぬ過激派動画

 しかし、米バリューウォークによると、その3カ月後に、英国のロンドン橋などを襲った3人の襲撃犯の1人が、ユーチューブに投稿された過激派動画の影響を受けていたことが分かり、グーグルとユーチューブに対する非難がいっそう高まった。

 こうして、グーグルとユーチューブは、6月、新たなテロ関連対策を発表するに至ったのだ。

 そのうちの1つは前述した、反テロリズム動画への誘導。このほか、同社は、画像解析の精度向上や、第三者機関と協力する問題コンテンツの特定のための取り組みに50のNGOを追加すること、問題のありそうな動画に警告を表示したり、コメント投稿を不可能したりするといった対策も明らかにした。

筆者:小久保 重信