『写真:Martin Harvey/アフロ』

 アフリカのジンバブエで、2015年に殺された人気ライオン「セシル」に続き、子供の「ゼンダ」も射殺されていたことがわかった。

 父親のセシルは、ワンゲ国立公園の人気者だった。黒いたてがみが特徴で、その人懐っこさから、観光客のみならず、研究者たちからも知られた有名なライオンだった。

 セシルを2015年に殺したのは、アメリカ・ミネソタ州の歯科医。セシルは狩猟禁止の対象とならない国立公園敷地外に出たところを仕留められた。パーマー氏はこのハンティングのために約610万円を支払っていたとされる。

 この件に関しては、正式な手続きを踏んだ狩猟だったため、ジンバブエ政府から訴追されることはなかった。しかし、動物保護団体からの非難やSNSでニュースが広がり、自身のクリニックは抗議者のデモで囲まれる事態に。パーマー氏は「法に基づいてはいるが、自分の趣味や訓練として行ったことがこんな結果を招いてしまい深く後悔している」と謝罪した。

 それからちょうど2年後、再び同じような悲劇が起きた。ゼンダもまた、国立公園外の狩猟エリアで、合法的に撃たれたのだ。

 この騒動で浮き彫りになったのが、ハンティングツーリズムの存在だ。アメリカやヨーロッパからやってくる富裕層たちがライオンなどの大型猛獣を自然の中で狩って楽しむのだ。ハンターは仕留めた獲物の頭部を勲章として自国へ持ち帰るため、「トロフィーハンティング」と呼ばれる。特にライオンの雄は人気が高く狙われやすいという。

 アメリカの雑誌『ナショナルジオグラフィック』によれば、毎年約600頭あまりのライオンが娯楽目的で殺されているという。そのうちの約60%がアメリカに記念品として持ち込まれている。

 毎年それほど多くのライオンが殺されるとなれば、心配されるのは絶滅だ。だが、実はこんなカラクリがあった。

 アフリカには、ハンティング用の商業ライオンを育てる農場があるのだ。つまり、殺すためのライオンをわざわざ一から育てているわけだ。ライオン以外にも、トラなども飼育されている。

 イギリスの新聞『ガーディアン』によれば、南アフリカにはこうした農場が160もあるという。農場は、表面上、ライオンやトラの赤ちゃんと触れ合うことができる動物園として運営されている。ここにいるのはせいぜい生まれて数カ月の子供ライオンだけで、大きくなったらハンティングのために“出荷”される。

 同紙のインタビューに対し、農場の経営者はこう答えている。

「ハンティングのために我々が直接ライオンを売ることは決してありません。ただ、許可を持つ人間にライオンを譲渡した後、飼い主がライオンをどう扱うかは知りません」

 欧米から来た富裕層たちが支払う巨額マネーが、ハンティングを産業として成りたたせてしまうのだ。