2017-0724
スマートテレビは別として、テレビは基本的に映像・音声の出力しかできないが、番組をリアルタイムで映し出す他に、DVD・BDプレイヤーの再生映像を観たり、さらにテレビゲームの画像表示用としても使われる。また携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン)ではワンセグを用いたテレビ視聴機能が使えるのが当たり前となりつつある。これら機能のクロスオーバーを考慮した上で、それぞれどの機種が長時間使われているか、見方を変えれば利用者の時間を奪っているか、気になるところではある。今回はその疑問を解消すべく、総務省が2017年7月7日に情報通信政策研究所の調査結果として公開した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値から必要データを抽出し、精査していくことにする(【発表リリース掲載ページ:研究成果-調査研究報告書】)。

平日でも一番多用されるのはテレビ受信機


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】を参考のこと。

次に示すのは主に情報の取得用ツールとして一般家庭で利用されるもののうち代表的な「PC(パソコン)」「携帯電話」「タブレット型端末」「テレビ受信機」それぞれにおける利用時間。さらに「携帯電話」は「携帯(スマホ)」と「携帯(従来型)」に細分化したものも併記しておく。冒頭で触れた通り、本来は他メディアでの利用がメインとなる機能でも、利用したメディアでのカウントが行われる。携帯電話でワンセグを用いてテレビ番組を観た場合、携帯電話の利用時間と見なされる(テレビには加算されない)。またテレビをゲーム画面やBD・DVDの再生出力機として使った場合は、テレビの利用時間が付加される。

なお今件は各年齢階層全体の平均値であるため、該当機器を使っていない人は「利用時間=ゼロ」として平均値算出の際に計上されることに注意されたい。

↑ 主な機器の平均利用時間(2016年、平日、分)
↑ 主な機器の平均利用時間(2016年、平日、分)

10代を除けばテレビ受信機の利用時間がもっとも長い。一方で歳を経るほど時間は伸びていき、10代と60代とでは3倍近い差もある。60代でやや大きめな伸びを示すのは、早期退職(&短期時間就労による再雇用)者の割合が大きくなっていることが影響しているものと考えられる。他方10代はテレビ受信機よりも携帯電話、実態としてはスマートフォンの利用時間の方が長い。平日ではテレビよりもスマホを長時間使うのが、今の10代の実情ということになる。

携帯電話は20代が最長で、それ以降は漸減。ただし実情はほとんどがスマートフォンによるもの。パソコンは10代が年齢階層別では最短で、その後20代から60代までがほぼ同じ利用時間だが、これは就業者による仕事における利用が底上げしているものと思われる。

また、機能別では無く今件のように端末別で考えた場合、すでに10代から40代は、パソコンよりも携帯電話(ほとんどスマートフォン)の方が利用時間が長い年齢階層となっているのも興味深い。他方歳を重ねるにつれて利用時間の一極集中化、具体的にはテレビへの注力度合いが上がり、60代ではパソコン・携帯電話・タブレット型端末すべてを合わせても、テレビの3割足らずの時間にしかならない。いかにシニアが平日からテレビに熱中しているか、そしてながら視聴ではなく注力しての視聴なのかがうかがい知れる。

日曜は老若問わずに長時間テレビを観る


同じ条件で休日について尋ねた結果、そして平日との違いを明確化するために休日・平日の差異を算出した結果が次のグラフ。

↑ 主な機器の平均利用時間(2016年、休日、分)
↑ 主な機器の平均利用時間(2016年、休日、分)

↑ 主な機器の平均利用時間(2016年、休日−平日、分)
↑ 主な機器の平均利用時間(2016年、休日−平日、分)

年齢階層別の視聴時間の長短度合いは平日とあまり変わらないが、全体的に平日よりも長い時間となる。10代でも3時間近く、60代では6時間近くはテレビに首ったけ。いかにシニアがテレビ好きかが分かる。他方、休日でも10代がテレビ利用時間よりも携帯電話(ほとんどスマートフォン)の利用時間の方が長いことに変わりはない。

平日との差異で行動の違いを見ると、全年齢階層でパソコンの利用時間が減っている。特に30代から50代の下げ幅が大きい。これは平日の利用が多分に職場におけるものだったことをうかがわせる。また、10代・20代は特に携帯電話(実質スマートフォン)の利用時間が伸びているが、フルに使えるプライベートタイムに、知人などとのやり取りをしていると考えれば道理が通る。

タブレット型端末や従来型携帯電話の利用状況にほとんど変わりは無く、10代から20代はスマートフォンとテレビ、30代以降は主にテレビが伸びている。特に50代以降は実質的にテレビのみの増加と見て良い。50代以降は休日の娯楽として、テレビを利用した時間の使い方に注力しているようだ。スマートフォンも使いこなす若年層とは大きな違いではある。



利用機能の仕切り分けではなく利用機器単位で見た場合でも、中堅層、特にシニア層のテレビへの注力ぶりには恐れ入るところがある。他メディアとの接触時間が少なく、テレビへただただ集中するのだから、テレビの内容を盲信してしまうのも無理はない。

やや蛇足となるが、同項目の前年分、つまり2015年との差異を平日分で算出した結果は次の通りとなる。

↑ 主な機器の平均利用時間(2016年、前年比、平日、分)
↑ 主な機器の平均利用時間(2016年、前年比、平日、分)

50代のテレビ利用時間の急激な減退は多分にイレギュラーによるもの。前年がその前の年と比べて特異な上昇を示したことの反動に過ぎない。

そのイレギュラーを除けば、若年層におけるスマートフォンの時間増加とテレビの減退、10代のタブレット型端末の増加、中堅層までのパソコンの減退など、メディア絡みの昨今における動向とほぼ一致する値動きを示している。今後メディアの立ち位置の変化に伴い、この時間変移がいかなる動きを見せるのか、注目したいところだ。