名画に隠された秘密を知れば怖さも倍増!ベストセラーが展覧会になった「怖い絵」展

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「恐怖」をテーマに、その絵が持つ時代背景や隠された物語を読み解いてベストセラーになった美術書「怖い絵」。作者である作家・ドイツ文学者の中野京子さんが著書の中で紹介した絵を中心に、実際に解説付きで鑑賞できる展覧会が、この秋、上野にやってくる。知れば知るほど怖くなるヨーロッパの名画を、想像力の翼を広げて味わい尽くそう。

◆奇跡の初来日作品も!「なぜ怖いのか」を読み解くヒントとともに“怖い”西洋絵画・版画が約80点

2017年10月7日(土)から12月17日(日)まで、上野公園の上野の森美術館では「怖い絵」展を開催する。この展覧会は、シリーズ累計25万部という美術書としては異例のベストセラー「怖い絵」の世界を体感できる、初めての試み。

作者の中野京子さんが特別監修し、著書の中で紹介した絵はもちろん、展覧会に向けて新たに選び抜いた名作も合わせて約80点の西洋絵画や版画が展示されるそう。

最大の注目作は、ポール・ドラローシュの大作《レディ・ジェーン・グレイの処刑》。目隠しをされた女性は、イングランドの最初の女王になりわずか9日間で玉座を追われたジェーン・グレイで、この絵は16歳の若さで散った彼女の最期を描いたもの。政争に巻き込まれ、望まずして女王となり、反逆罪で処刑された悲運の物語を知れば、その「怖さ」とともに悲しみも感じられる。



ポール・ドラローシュ《レディ・ジェーン・グレイの処刑》 1833 年 油彩・カンヴァス ロンドン・ナショナル・ギャラリー 蔵 Paul Delaroche,The Execution of Lady Jane Grey,(C) The National Gallery, London. Bequeathed by the Second Lord Cheylesmore, 1902

この作品は、1928年のテムズ川の大洪水で失われたとされていたけれど、1973年の調査で奇跡的に無傷で発見されたそう。今では、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの至宝と言われる代表的な作品に。今回は、奇跡の初来日を果たしたというわけ。「怖さ」はもちろん、繊細な描写とドラマティックな構成を、この機会に堪能して。

◆歴史の一幕を描いて世の中を動かした傑作や、絶世の美女が選んだ自殺の場面なども

会場は「神話と聖書」、「悪魔、地獄、怪物」、「異界と幻視」、「現実」、「崇高の風景」、「歴史」の6つの章に分かれていて、それぞれの作品に鑑賞のヒントとなる物語が添えられている。

例えば写真の作品、《メデューズ号の筏(テオドール・ジェリコー作品の模写) 》は、筏(いかだ)に乗って漂流し、助けを求める人々の姿を描いたもの。わずかな水と食料だけで筏に放置された乗組員たちの悲劇は、無能な貴族の艦長によって起こった事件として、19世紀のフランスで一大スキャンダルになったそうで、まさに「歴史」の一幕が描かれている。

ダイナミックな構図とドラマティックな表現で描かれた作品は、模写され、版画になり、ヨーロッパ中に衝撃を与えたという。政府はこの事件をもみ消そうとしたけれど、この傑作がそれを許さなかったというから、怖さとともにパワーのある絵とも言える。



ジャック=エドゥアール・ジャビオ 《メデューズ号の筏(テオドール・ジェリコー作品の模写)》 1854年 油彩・カンヴァス ボルドー美術館蔵 (C) Musée des Beaux-Arts, Ville de Bordeaux. Photo L. Gauthier

また、絶世の美女として知られるエジプトの女王・クレオパトラは、歴史画としてこぞって取り上げられてきたモチーフ。19世紀の画家、ゲルマン・フォン・ボーンが描いた《クレオパトラの死》は、まさに自殺をして命尽きた最後の場面を描いている。ベッドのシーツには猛毒のコブラが這っていて、すでに噛まれたらしい彼女はぐったりとして眠るような表情に。

何度も命の危険にさらされ、自害するなら美しいまま死にたいと願って、早くから毒蛇を飼っていたというクレオパトラ。この蛇の毒にたどり着くまでに、何人もの奴隷などに試したと伝えられている。それが本当なら、さらにぞっとする怖い絵に見えてくる。



ゲルマン・フォン・ボーン 《クレオパトラの死》 1841年 油彩・カンヴァス ナント美術館蔵 (C) RMN-Grand Palais / Gerard Blot / distributed by AMF

◆人々の絶望を描いた《ポンペイ最後の日》も。作品につけられた解説やガイドで「人間」の怖さを読み解いて

紀元79年のヴェスヴィオス火山の大噴火で街ごと灰に埋もれてしまった、古代ローマの保養地・ポンペイ。今では世界的な観光地となっているこの街の悲劇の場面を描いた《ポンペイ最後の日》 は、まさに人々が大噴火に遭遇した様子を描いたもの。空を焦がす炎や、降りかかる火の粉、逃げ惑う人や牛馬など、パニックに陥る姿が何ともリアル。おそらく、この状況で街に残っていた人は、誰ひとり生き延びられなかったはず。そう考えると、まるで絶望の風景にも見えてくる。



フレデリック=アンリ・ショパン 《ポンペイ最後の日》 1834-50年 油彩・カンヴァス プチ・パレ美術館蔵 (C) RMN-Grand Palais / Agence Bulloz / distributed by AMF

「会場では、それぞれの作品につけられた、絵の怖さのヒントとなる解説やキャッチコピーとともに絵を読み解いていただきます。一部の作品では中野京子氏書き下ろしの音声ガイドや解説もついていますよ」と、広報担当者さん。

怖い絵の中に秘められたストーリーや時代背景など、知れば知るほど絵の怖さが増してくる展覧会。「恐怖」をテーマに「人間」を読み解くという、新しいスタイルで絵画鑑賞を楽しんで。



TEL.03-3833-4191
東京都台東区上野公園1-2 上野の森美術館
アクセス:JR「上野駅」公園口より徒歩3分、東京メトロ・京成電鉄「上野駅」より徒歩5分

会期:2017年10月7日(土)〜12月17日(日) 会期中は無休
開館時間:10:00〜17:00(入場は閉館の30分前まで)
チケット(前売):一般1600円(1400円)、大学生・高校生1200円(1000円)、中学生・小学生600円(500円)
<特別前売り券>
◆数量限定「特製しおり付前売券」1400円(展覧会オリジナルしおり:非売品 付き)
◆数量限定「図録付前売券」3500円(図録:2400円+前売券1400円のセット)
※上記の販売期間:5月31日(水)10:00〜 それぞれ予定枚数に達し次第、販売終了

NAOKO YOSHIDA (はちどり)

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