ベネズエラの首都カラカスで行われた反政府デモで、負傷したウイリー・アルテアガさん(中央)が助け出される様子を捉えた動画の一場面(2017年7月22日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】辺りには息ができないほど催涙ガスが充満し、放水銃が放たれている混沌(こんとん)とした路上にベネズエラ国旗と同じ赤、青、黄色のシャツを着たやせた男性が、勇敢にも独りでたたずみ、バイオリンを弾き始める。演奏するのは国歌やベネズエラの伝統音楽だ。

 ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領に退陣を強いようとする反政府デモがほぼ毎日のように国を揺るがす中、ウイリー・アルテアガ(Wuilly Arteaga)さん(23)は自分の本分の音楽で、その一端を担っている。

 アルテアガさんは、この抗議デモに欠かせない存在の一人となった。深刻な経済危機を招いた責任はマドゥロ大統領にあるとする人々の怒りを象徴する強力な存在なのだ。

 22日のデモでアルテアガさんは、顔の傷口から流血していた。顔の左側にペレット弾が当たったのだという。顔を包帯で巻き、唇が腫れあがった状態で病院のベッドからツイッター(Twitter)に動画を投稿したアルテアガさんは「彼らは僕を脅そうとしたんじゃない」と述べ、「闘いを続ける」と語った後、バイオリンを取り上げて少しだけ演奏した。ソーシャルメディア上ではアルテアガさんを称賛する声があふれた。

 貧困地域の子どもたちのために創設された若者オーケストラのネットワークで演奏を学んだアルテアガさんは5月24日、抗議デモの最中に1人の兵士にバイオリンを壊され、公衆の面前で泣いた。この時の動画や写真がソーシャルメディアにアップされると同情を呼び、人々の寄付によってアルテアガさんは新しいバイオリンを買うことができた。

「僕は大した人間じゃない。でも、僕のようなベネズエラ人がこの国に平和に住むためにやらなくちゃならないことをする」
【翻訳編集】AFPBB News