Image: ギズモード・ジャパン編集部


こんなに歩き回れるVRは初めて!

ゲームセンターへの設置や、新宿にオープンした国内最大級のVRアトラクション施設「VR ゾーン」など、VRはますます私たちの生活に接近してきています。しかし、体験としてのVRはものすごい速度で進化しているようです。

それを目と肌で感じさせてくれるのが、2017年7月15日(土)〜8月27日(日)のあいだ開催されている「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り」にて公開中の、株式会社ABAL(アバル)による「ABAL:DINOSAUR」(アバル:ダイナソー)というVRアトラクション。これは、VRの中で実際に歩いたり隣の人と握手をするなど、多人数で体験できるVRアトラクションなんです。

開発元の株式会社ABALは、株式会社ロボット、株式会社wise、株式会社A440の3社によって設立されました。今回のアトラクションでは、3社の力を結集した空間移動型VR「ABAL」と呼ばれるヴァーチャルリアリティ・システムが用いられています。いずれもメイド・イン・ジャパンの会社なので、国産のVRシステムといえます。


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Image: ©️ABAL All Rights Reserved. via ABAL - wireless and mobile virtual reality -


ではその仕組みを簡単に説明しましょう。50平米以上の広い部屋をイメージして下さい。手足にマーカーを、頭にHMD(Gear VR)をつけたユーザーは、VR映像を見ながらその部屋を歩き回ることができます。部屋の各所に設置されたモーションキャプチャーカメラがマーカーの位置をリアルタイムに読み取ることで、他のユーザーや自分の手足もVR映像の中に表示されるという仕組みです。


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Image: ギズモード・ジャパン編集部


マーカーは両手足に1つずつ、HMDに1つの合計5箇所。銀色の丸いスフィアが実際に読み取られているマーカーで、配置パターンによってユーザーを判定しています。両手足のマーカーの装着にはマジックテープを使っていますが、スムーズな装着のために素材や形状などを試行錯誤したとか。頭のトンガリは岸田メル先生かと思いました。

現状VRの多くは、映像を見ながら体を動かしたり人と触れ合ったりすることを苦手としています。できたとしてもケーブルと繋がっていたりバックパックを背負ったりしがちで、あまりスムーズとは言いがたし。一方ABALはケーブルもバックパックも廃しているので、生身と代わらぬほどのウェアラビリティを実現させているのが革新的なポイントです。


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Image: ギズモード・ジャパン編集部


では、実際に体験ブースへお邪魔してみましょう。ちなみにこのブースの右側がテレビ朝日の1階アトリウムとなっています。色んなブースで賑わっていました。


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Image: ギズモード・ジャパン編集部


ブース内は2フロアに分かれており、まずは入ってすぐのフロアでマーカーを装着。なんだか装備部屋のようなステンバーイ感です。

マーカーが装着できたらさっそくVRの世界へ。「アバル:ダイナソー」は6500万年前の恐竜世界へダイブするというストーリーになっており、約15分間のVRアトラクションが楽しめます。同時体験人数は最大6人。

はじめはデモンストレーションとして他ユーザーとのハイタッチや握手ができることを教えてくれます(これだけでも感動した!)。その様子と恐竜世界の序盤を、VR映像と現実の様子を同時に撮影したのでご覧ください。


Video: ギズモード・ジャパン編集部
VR内の映像と現実の映像(右下)を比較


VRではこう見えているのが、現実ではこうなっていますよーという感じです。絵的には事も無げに見えますが、ハイタッチや握手は手足の位置を正確にキャプチャーしないとズレてしまいます。しかしズレを感じることはほとんどなく、自分の指を正確に触ることもできました。もちろん、他の人が動いている様子もバッチリ見えています。これすごいことなんですよ、地味ですけど!


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Image: ギズモード・ジャパン編集部


映像内で手すりが表示されるシーンでは、現実でも手すりを用意して掴めるようになっています。しかも木っぽい質感もちゃんと再現されていて、ここは上手いなぁと感心しました。視覚と触覚がリンクすることで体験が地続きに感じられますし、こういうかたちでも没入感は作れるんだと新鮮な驚きです。崖が崩れるシーンなんて映像でも足に伝わる感覚でもヒヤヒヤでしたよ。

そして見ての通り、聴覚についてはオープンになっています。VRってヘッドホンやイヤホンで楽しむものが多いと思うんですけど、あえて聴覚をふさがないことで他ユーザーの声を聞けるようにしているんです。「おー」といった感嘆の声ひとつでもそこに誰かがいるというのが感覚としてわかるので、VRでありながら自分の体験が他の人と共有できるようになっているんですね。ある意味で、VRというよりMR(Mixied Reality)に近いかも。


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Image: ギズモード・ジャパン編集部


開発の経緯をうかがうと、はじめはフルトラッキングでモーションをキャプチャーしていたけれど、あえて関節をトラッキングしない方が自然に見えるというのがわかったとのこと。開発当初から軽量さを最重視していたため、キャプチャーを5点に絞ることで装着感を極限まで削ぎ落とし、それらを解析するカメラに最も予算がかけられています。トラッキングに全力を注ぐことで、ひたすらにウェアラビリティを向上させるスタイルです。


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Image: ギズモード・ジャパン編集部


映像とフィジカルの組み合わせは没入感を高める要因ですが、そのために大量のケーブルやバッテリーを背負っていては、なんだかなぁと思うのも否めません。そうした煩わしさを廃すことで、同じVRの没入感でも感動のポイントはこうも違うのかというのが素直な驚きでした。そしてその場には自分以外の誰かがいて、同じように恐竜を見上げて、同じような道を歩いている。一人で6500万年前を歩くよりも、そのほうが確実に楽しいはずです。

多人数による空間移動型VRという、体験の新境地。ゆくゆくはアイドルライブや廃屋探索を誰かと肩を並べて味わえるようになるやもしれません。VR、まだまだ可能性の塊ですな。

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Image: ギズモード・ジャパン編集部, ©️ABAL All Rights Reserved. via ABAL
Source: テレビ朝日, ABAL

(ヤマダユウス型)