経済アナリストが予測する「第2のリーマン・ショック」の可能性

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2016年は世界に衝撃を走らせる出来事がいくつも起きた。その一つがアメリカ大統領選挙で共和党候補だったドナルド・トランプが勝利したことだろう。半年前までは「冗談候補」とまで言われていた男が選ばれたのだ。

そして年が明けた2017年1月に大統領に就任すると、選挙時の公約を次々に実行。6月1日には地球温暖化防止の国際的な協定「パリ協定」からの離脱を表明し、世界を騒がせたばかりだ。

その一方でアメリカの経済は変わらず好調を維持。6月中はNYダウが過去最高値を更新するニュースが飛び交っており、好調さがうかがえる。

しかし、『未来からの警告 2 トランプの破壊経済がはじまる』(集英社刊)の著者で、独自の「Tモデル」「T2モデル」を用いて経済を予測する経済アナリストの塚澤健二氏は、「これは『破壊経済』のはじまり」だと警鐘を鳴らす。
4回にわたってお送りする塚澤氏に聞く「2017年後半の経済トレンド」。第1回はアメリカにフォーカスする。

 ◇    ◇    ◇

まず、現在のアメリカの経済について、好印象を持っている人も多いかと思います。しかし、実際のところは「膠着状態」と言っていいでしょう。

良いニュースとして市場関係者は雇用統計の改善を挙げています。でも、これから先を考えてみると懐疑的にならざるを得ません。何故かというと、雇用統計というのは好景気において最後に上向く「遅れた指標」だからです。つまり、他の景気を示す指標がすでにピークアウトを始めている可能性があり、もうすぐ好景気に陰りが見える時期に入ることも考えられます。

では、なぜ今、株価が過去最高値を更新し続けているのしょうか。インフラ投資などの財政拡大と大規模減税策が評価されたという説もありますが、まだ減税の実行には至ってはいません。

結論から言うと、この株価上昇はバブルだと私は考えています。それも、仮想通貨「ビットコイン」を通して中国からアメリカにお金が流れたことによるバブルです。それがドル買いにつながり、結果的に今の株価を演出しているというカラクリです。

実は、2015年と2016年の2年間で中国から海外に流出した資金は約56兆円にのぼるデータがあります。さらに、これ以外にも現金の海外持ち出しや地下銀行を通しての違法送金などを含めれば、100兆円が流出していると予想できます。中国政府は元安を抑えるために為替介入をしました。それでもお金が海外に流れていったわけですね。

その中で特に2016年に急増したのが、ビットコインを介して元をドルに替える動きでした。
そして今後、ビットコインを経済危機の際の「逃げ道」として利用する方法は増えると思います。データなので簡単に海外に資産を移すこともできる。もし、第2のリーマン・ショックのような出来事が起きたら、ビットコインは瞬く間に世界中で使われるようになるはずです。

ビットコインの台頭については拙著『未来からの警告 2 トランプの破壊経済がはじまる』でも詳しく書いているので、ぜひ参考にしてください。

さて筋を戻しましょう。アメリカの株価上昇は、ビットコインを通したチャイナマネーの流入によるバブルではないかという話をしましたが、この株価は今年の後半に大暴落する可能性があります。

重要なのが、今年がアメリカの政権交代の年であるということ。今回は民主党から共和党への政権交代でしたが、第二次大戦後のアメリカの歴史を見ていくと、民主党から共和党への交代を起きた1年目に、ほぼ100%株価が暴落しています。



このケースの場合、夏頃に株価はピークを付けて、9月から12月頃にボトムを付けるという流れがあります。逆に共和党から民主党に政権交代が行われたときは、ジミー・カーター政権以外、株価が大幅に上がっています。

そして実際に今、NYダウが高値を記録し続けていますが、これは単純に暴落のための発射台が高くなっているだけと見ていいでしょう。

こんなデータがあります。恐怖指数と言われるVIX指数が10割れを記録しているのですが、これは投資家たちが安心しきっている心理状態を指します。逆にVIX指数が40を超えると危機を迎えている状態ですね。
実は1993年から94年、そして2006年から07年にかけて過去2回、10割れを起こしているのですが、どちらもそこから40超えを記録し、それから3〜5年はリスクの状態が続いているんです。現況において、投資家たちは先行きに対する楽天的な見通しを示していますが、実は今こそリスクに対して気を配らないといけない段階なのです。

2017年後半のキーワードは「破壊経済」です。トランプは既得権益を壊すことを期待されて大統領に選ばれました。そのことによって何が世界にもたらされるかはまだ分かりません。しかし、様々な指標を見ていても、2017年後半から来年にかけて「第2のリーマン・ショック」ともいえる大きな転換が起きることは容易に想像できます。

(新刊JP編集部/取材日:6月21日)

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