ラジオ体操参加者にスタンプを押す小池知事

写真拡大

小池百合子東京都知事が、今夏から2020年の東京オリンピック、パラリンピック終了時まで、都をあげて「ラジオ体操」への参加を呼びかける「みんなでラジオ体操プロジェクト」を7月14日に発表。同氏の「ラジオ体操は日本人のDNAに刻み込まれている」「都庁でも毎日フラッシュモブのように実施する」などの発言が波紋を呼んでいる。

本日7月24日には都庁で「キックオフイベント」を開催、自らも先頭に立ってラジオ体操に汗を流した。同イベントに参加した都民代表に小池知事がその場で「出席スタンプ」を押すなど、力の入れようはかなりのものだ。

ちなみに小池知事はこのラジオ体操プロジェクトを発表したちょうど翌日に65歳の誕生日を迎えている。まさに自らが「高齢者」に差し掛かったタイミングでのラジオ体操アピールだったわけだが、現在、地域の公園などでのラジオ体操会参加者の多くが高齢者であることを考えれば、これは自然な流れに思える。

しかし「65歳以上の高齢者こそ、ラジオ体操で身体を傷めるリスクが高い」と指摘している本が「ラジオ体操は65歳以上には向かない」(戸田佳孝・著/太田出版)である。

現役の医師である著者は、多くの患者を診察してきた結果、65歳以上の高齢者にとって特にラジオ体操の「脚で飛ぶ運動」はひざに、「体を前後に曲げる運動」は腰に負担がかかりやすく、それらの箇所を傷めるリスクが高いという調査結果を得ており、同書では無闇なラジオ体操の実施に注意を促すとともに、体操時の具体的なリスク回避法や、ラジオ体操よりも安全で効果的な代替トレーニング法を紹介している。

ラジオ体操の起源は戦前に遡るが、そもそも「ラジオ体操第一」が放送開始された1951年当時の日本人の平均寿命は、男性が60.8歳、女性が64.9歳であり、もともと65歳以上を想定して考えられた体操とは言い難い(2014年時点の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳)。また当初から「体力をつける」ことよりも「見た目の綺麗な揃い方、美しさ」を重視して設計された動きだったことが、当時の体操考案者証言に残っている。

都の公式リリースによると今後、都庁内では連日午後2時55分にラジオ体操が実施され、一部企業にも実施が推奨される予定。もし小池都知事がラジオ体操でひざや腰を傷めてしまったら、オリンピックの気運醸成どころではない。誰もが小さい頃から親しんでいるラジオ体操の、あの「ジャンプ」や「体の前後曲げ」が、都政の思わぬ落とし穴になりかねないのである。