企業やお店の価値を高めるために欠かせない「ブランディング」。そう聞くと誰もが顧客や消費者に向け打つことばかりを思い浮かべてしまいますが、それに異を唱えるのは無料メルマガ『飲食店経営塾』の著者で若手飲食店コンサルタントとして活躍中の中西敏弘さん。中西さんは、「社員や従業員に向けて行う内向きのブランディングも欠かせない」と指摘し、その理由についても詳述しています。

ブランディング

「ブランド」という言葉は、よく聞く、知っている「ことば」ですが、「その意味は?」と問われるとなかなか答えに窮する人が多いのでは? で、先日『社員をホンキにさせるブランド構築法』(著:一般財団法人ブランドマネージャー認定協会)という本を読んでいたのですが、その中に「ブランド」に関して下記のような定義していました。

ある特定の商品やサービスが消費者・顧客によって識別されているとき、その商品やサービスを「ブランド」と呼ぶ。

もう少し、解説がありました。

有名、無名、品質の高い、低い、に関わらず、消費者・顧客が特定の商品やサービスとして識別できることが「ブランド」であるか否かの最低要件になります。

 

さらに、ある消費者・顧客が何らかの購買ニーズを抱いたときに、真っ先に思い起される商品・サービスは、その消費者・顧客に対して各実に「ブランドを確立しくている」と言えるでしょう。

 

購買ニーズが発生した時に、特定の商品者サービスを思い起こさせ、購買決定に影響を及ぼす力を持つものが「ブランド」です。そして、消費者・顧客の購買行動に影響を及ぼすことを意図してブランド構築を行うことを「ブランディング」と言います。

上記の事をちょっと解説すると、「ハンバーガーの店と言えば?」とみなさんの心の中には、きっと多くの人が「マクドナルド」と想起するでしょう。これがマクドナルドが「ブランドを構築しているという状態」ということです。

ただし、これは、マクドナルドの店舗数が多い、企業規模が大きいからできるというのではなく、小さな店でも「友達とお酒を飲むなら?」と想起した場合に、お客様の心の中に「あなたのお店」が想起されるなら、それはあなたのお店が「ブランドが構築されている状態」と言えるでしょう。

そして、ブランドを構築を行うことが「ブランディング」であると解説していますが、「ブランディング」は、2つの側面から行う必要があるとも、この本で解説しています。

その2つの側面とは、「外向き」と「内向き」が必要で、「外向き」とは消費者や顧客、取引先、地域に対してブランディングで、これを「エクスターナルブランディング」といい、「内向き」とは社内でブランドの価値観を共有し、社員の意識や行動をブランドの方向性と合わせていこうとする取り組みのことをいい、これを「インターナルブランディング」というそうです。

つまり、通常、ブランディングというのは、「外向け」、顧客・消費者に対して行うものだけと思いがちですが、「内」、つまり、すべてのスタッフが、自店がどういう思いで店を経営しているか、どういう価値を提供しているのか、商品や接客はどういう思い、方向性から行っているのかを理解し行動していなければ、ブランド価値を低下させることにつながるのです。

ブランドは「信頼」という意味合いもあり、お客様の「信頼」を裏切るような運営をすると、店のブランド価値が低下し、お客様から「選ばれなくなる」ということでしょう。

これは、例えば、「価格ではなく価値を売ろう!」という方向で店を経営しているのに、現場がそれを意識することなく、「安売り」を行ってしまったり、他には、「大人のお店」として顧客に認知してもらおうとしているのに、店に行くと音楽がAKBのようなポップスを流していたり(本来は大人の人がゆったりと時間が過ごせるようにジャズを流すはずだったのに…)、照明も明るくて、また、接客も落ち着いた感じで行いたいのに、やたら大声で元気よく接客を行っていると、お客様の期待を裏切る、つまり、ブランド価値を低下させることにつながるということです。

こういった事態を招かない様にするために、「内側」で会社の理念を共有したり、ただ単に「チェックリスト」で仕事をするのではなく、各人に店のコンセプトの共有を図ったりすることが大切なのです。

今の時代は、いかにお客様に「選んでいただく」「選ばれる」ことが大切で、そのためにも、ブランディングの取り組みがとても大切だと、僕は考えています。

特に、上記にあったように、店をマニュアル的に運営するだけでなく、また、ただ集客だけに力をいれるだけでなく、自社・自店がどういった思いで経営しているのか、どんな価値をお客様に滞京するのか、どんな体験をお客様にしてもらうのか、そして、店のコンセプトに基づき、各仕事がどうコンセプトと関連しているのか等を店で働くスタッフに、何度も何度も伝え、浸透させていくことも「ブランディング」につながる、つまり、お客様に「選ばれるお店」になるということです。

皆さんの会社では、自社のこと、店のことをどれだけ社内で共有する、深める時間を作っていますか?この時間をどれだけ割けるかが、今後、店が生き残っていく、店が増えることにつながると考えてもいいのではないでしょうか?

image by: Shutterstock.com

 

『飲食店経営塾』

著者/中西敏弘(記事一覧/メルマガ

若手飲食店コンサルタントして、人気急上昇中の飲食店経営コンサルタント、中西敏弘が「売れる」飲食店作りの秘訣を論理的に、そして分かりやすく解説します。

出典元:まぐまぐニュース!