関節炎の新しい治療法、いろいろな未来や可能性が!

ペットの平均寿命が延びている現在、シニア期以降関節炎に悩まされる犬も多く、ケアに心を砕いている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
実は犬の関節炎の治療法は人間の関節炎治療とたいへん共通点が多く、動物医療と人間の医療の研究開発は、犬とヒトのお互いに恩恵をもたらすものだそうです。
つまり、犬の関節炎の治療は動物医療と人間医療の両方で最先端の研究が続けられ開発されているということ。頭の片隅に情報を置いておくと、いざという時の病院リサーチや獣医さんとのコミュニケーションに役立つかもしれません。

関節炎のケアの基本

まず、一番最初に覚えておかなくてはいけないこと。それは他の病気と同様に関節炎も『予防に勝る治療なし』ということです。どんなに素晴らしい治療法が開発されようとも、病気が起こらないように、起こっても軽く済むように日頃から予防しておくことが何より大切です。
アメリカ国内屈指の犬の疼痛研究の実績を持つペンシルバニア獣医学校のアンジェロ博士によると、関節炎を予防する最善の方法、それは「適正体重をキープすること」だそうです。もう既に関節炎の症状が出てしまっていて、なおかつ太り気味という場合も体重を適正値まで落とすことで症状が改善することもあるようです。
「え?そんな単純なこと?」と思われたかもしれませんが、適正体重は関節だけでなくすべての健康の基本ですものね。

積極的な薬物療法をする場合、現在は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使う方法が最も一般的です。痛みと炎症を抑え、速効性があるので犬のQOLの向上に役立ちます。いろいろな種類があるので、犬の体質との相性や副作用の出方などを見ながら継続したり、薬の変更をする場合もあります。
NSAIDsの投薬と併せて、フィッシュオイルやグルコサミンなどのサプリメントを摂取したり、鍼灸やレーザー治療を取り入れる獣医さんや飼い主さんも増えています。積極的に獣医さんに相談するのがベストですね。

新しいタイプの鎮痛消炎薬

非ステロイド性抗炎症薬が圧倒的多数を占める関節炎の鎮痛薬の世界にニューフェイスが登場しました。2016年にアメリカ食品医薬品局の認可が下りて実用化されています。
医薬品の名は『グラピプラント』従来の鎮痛消炎薬は炎症伝達物質の合成を阻害することで作用するのですが、この新薬は関節炎の痛みに関与する受容体を遮断することで作用します。
非ステロイド性抗炎症薬のように体の他のシステムに影響しないので、より安全だと考えられています。

その他様々な治療法

人間の医療の分野では一部保険の適用もされるようになった『再生医療』。犬の関節炎の治療にも積極的に研究がされています。
軟骨を一部取り出して培養し欠損した関節の軟骨部分に移植する方法や、軟骨への血液供給を改善する研究も行われ、対症療法だけではない治療法が確立する日も遠くはなさそうです。
また、一段と積極的な痛みのコントロールの方法として、ある種の唐辛子の成分である化学物質を直接痛みを伝達する神経細胞に作用させる方法も研究されています。痛みを伝達する細胞を破壊するため痛みは完全になくなります。この方法は関節炎の痛みよりもむしろ、骨がんの痛みのターミナルケアとして犬に最後の幸せな時間をプレゼントするものとして期待されています。

まとめ

医療の専門的なお話や用語は「はて?」と首をひねってしまうことが多いものですが、大切な愛犬のためならば情報収集を惜しまないという方もたくさんいらっしゃるでしょう。
ここであげた例は本当にサワリのサワリ程度のものですが、実際に愛犬が関節炎と闘っているという方が獣医さんと相談する際のちょっとしたヒントになればと思います。
関節炎はそれ自体が命に関わるようなことはありませんが、犬の生活の質が低下してしまったり、痛みのコントロールがうまくいかないと犬とのコミュニケーションが取れず、場合によっては咬傷事故につながることもあり得ます。鎮痛消炎薬を服用するくらいしか方法がないと思っている飼い主さんに、新しい選択肢は日々増えていっているんだと希望を持っていただくきっかけになれば幸いです。

《参考》
http://thebark.com/content/new-pain-management-canine-arthritis