Photo by taymtaym(写真はイメージです)

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 週刊少年ジャンプで連載中の人気漫画『ONE PIECE』が20周年を迎え、都内で開催された記念イベントで7月21日、ハリウッドでTVドラマ化されることが発表された。しかし、過去にバトル漫画『ドラゴンボール』のハリウッド版実写映画『DRAGONBALL EVOLUTION』が大失敗しているだけに、ファンの間で「どんな形でも『ONE PIECE』を愛するよ」「地獄の予感しかない」と賛否が真っ二つに分かれている。

■ハリウッドでテレビドラマ化が決定も「地獄の予感」

 連載20周年記念イベントで明らかになったハリウッド(トゥモロースタジオ)と集英社『ONE PIECE』が共同で行う実写化プロジェクト。発表されるや否や、各所で波紋が広がっている。

 同イベント内で発表された原作者・尾田栄一郎氏のコメントによると、実写化の話は3年前から持ち上がり、紆余曲折を経て今回の企画に至ったという。また、尾田氏は「20年間作品を支えてくれているファンを絶対に裏切らないこと」を絶対条件に掲げている。

 また、プロデューサーは『プリズン・ブレイク』シリーズで知られるマーティ・アデルスタイン氏がつとめることが判明。「私は20年にわたる『ONE PIECE』のファンです。私の持っている全てを賭けて、シリーズを絶対に成功させる。TVシリーズ史上、最も制作費の高い作品になると思う」というマーティ氏のコメントも発表されている。

 突然の実写化に、『ONE PIECE』ファンの意見は賛否両論だ。「どんな形でも『ONE PIECE』愛するよ」「『パイレーツ・オブ・カリビアン』っぽくすれば結構イケる」と好意的に受け止める人もいれば、「勘弁して!」「やめて」「地獄の予感しかない」と頑なに拒否する人も少なくない。

「忘れがちですが、『パイレーツ・オブ・カリビアン』は200億円、300億円を超える莫大な製作費があって実現している超大作です。アニメ・漫画の文化がまだまだ軽視されがちなアメリカ、それもハリウッドで日本のアニメにそれほどの製作費が投入されるかまだ未知数。ルフィたちの能力を、どれだけリアルなCGで再現できるかが一つのポイントになるでしょう。しかしながら、一部がファンはすでに激高している。尾田氏は『ファンを裏切らないこと』とお達しを下しているが、彼らにとって実写化そのものがすでに裏切り行為と捉えられている様子」(映画ライター)

 ジャンプ作品のハリウッド映画化は、漫画ファンにとって大きなトラウマがある。

 2009年には、同じくハリウッドが『ドラゴンボール』の実写映画を手がけ、『DRAGONBALL EVOLUTION』のタイトルで公開された。しかし、あっという間に駄作の評価が知れ渡り、国内外で大爆死。アニメやゲームなどメディアミックスに長年成功する『ドラゴンボール』の、唯一と言っていいほどの黒歴史と化している。『ONE PIECE』が二の舞いになる可能性はあるのか。

「『ONE PIECE』実写化の懸念の一つが、漫画の世界観の再現性。『DRAGONBALL EVOLUTION』はアメリカナイズされて作品の世界観が大いに崩れ、ズタボロの結果に終わった。『ONE PIECE』も、同じ憂き目を見る可能性は十分ある。原作ファンにとっては、実写化しないのが一番の良策だが、雑誌の発行部数が落ちて、実写化で新たな価値や利益を見出そうしている節のある集英社の流れには、尾田氏も逆らえなかったようだ」(報道関係者)

 20周年の節目に、新たなチャレンジに挑む『ONE PIECE』。原作ファンも納得の出来となるのか、今後の展開に注目だ。

文・佐々木浩司(ささき・こうじ)※1980年群馬県生まれ。スポーツ誌の契約記者を経てフリーに。現在は主に、週刊誌やビジネス誌で活動中。得意分野は芸能、プロ野球、サッカーなど。主な著書に『洗脳のすべて』(宝島社)など。