ZenFone 4がまもなく発売、ASUSは世界シェア10位に入れるか
大手PCメーカーのASUSが2014年に発売したZenFoneシリーズは毎年好調な売れ行きを示しており、わずか数年で世界中に販路を拡大した。2017年は新モデル「ZenFone 4」シリーズを投入し、シェアをさらに伸ばそうとしている。しかしミッド・ハイレンジクラスのモデルではオッポ(OPPO)など新興勢が力を伸ばし、ASUSの強力なライバルとなっている。これまで順調に販売台数を伸ばしてきたASUSだが、ZenFone 4ではどうやって戦っていくのだろうか?

今年のZenFone新モデルの名称は、7月に「ZenFone 4 Max」が発表されたことからわかるようにZenFone 4シリーズとなることが確定している。なお2014年に初代ZenFoneが登場した時にすでに同じモデル名があったことから、今年のZenFone 4は「ZenFone 4(2017)」として区別されるかもしれない。

すでにASUSの決算説明会などでZenFone 4シリーズの概要はある程度伝わってきている。開発中のモデルはMax以外に、主力モデルとなるZenFone 4と、「ZenFone S」が予定されているとのこと。SはおそらくSelfieモデルと考えられる。また同社のジョニー・シー会長は6月頭に台湾で行われたZenFone ARの発表会の席で「今年のモデル数は昨年よりも半減させる」と話し、それにも関わらず目標販売台数は昨年の倍となる4000万台で、世界シェア3%、トップ10位以内に入ることを目指すという。



▲Computex2017ではノートPCだけを発表したASUS。しかしジョニー・シー会長はZenFone 4の話もしたかったに違いない

モデル数を減らすという戦略は今のASUSにとって最優先すべきことかもしれない。2016年に発表・発売した製品は「ZenFone 3」「ZenFone 3 Max」「ZenFone 3 Laser」「ZenFone 3 Deluxe」「ZenFone 3 Ultra」「ZenFone Go」「ZenFone Pegasus 3」といったところ。画面サイズの違いなども合わせると、20機種弱となる。

2015年の「ZenFone 2」シリーズは細かく仕様を変えたモデルを次々と出したことで、販売数を大きく伸ばすことが出来た。しかし製品数が増えれば開発コストもかさんでしまう。2016年に2000万台を売り上げたASUSだが、スマートフォン事業は赤字だったとのこと。2017年の上半期も同事業は赤字が見込まれ、改善されるのは下半期からの見通しとなっている。これはZenFone 4シリーズのモデル数削減も見込んでいるからだろう。



▲カメラ強化モデルだけでもZoom、Laser、Liveと3モデルもあるのは多すぎるだろう

ではZenFone 4のラインナップは何モデルになるのか。リーク情報などからはハイスペックの「ZenFone 4 Pro」の声も聞かれる。一方大画面モデル「ZenFone 3 Ultra」の後継機も考えられる。

低価格モデルは新興国向けとなることから、昨年までのローエンドモデル「ZenFone Go」のラインがZenFone 4 Maxに統合されるかもしれない。ZenFone 4は金属ボディーのプレミアム感ももった製品になるだろうから、この低価格バージョンが出るとは考えにくい。あるいはミッドレンジのZenFone 4 Ultraが登場し、Maxと合わせて新興国向けに投入される可能性もありうる。なお中国向けには「Pegasus」シリーズが投入されてきたが、中国でも今やミッドレンジ以上の製品に人気が集まっており、このモデルの新規投入は無いと考えてもよさそうだ。

さてZenFoneを取り巻く環境は、初代モデルが登場した2014年と今とでは大きく様変わりしている。初代ZenFoneはコスパの良さで販売先の国々で期待を超える売り上げを記録して来た。日本でも今やZenFoneの名前を知らない人はいないように、先進国でも数を伸ばしている。しかし今や新興国ではオッポとビボ(Vivo)が急激に存在感を示しており、若い世代を中心に大きな人気となっている。両者とも「セルフィーが綺麗」「持つことがオシャレ」というイメージを消費者に植え付けることに成功し、破竹の勢いで販売数を伸ばしているのだ。



▲スマホはSNSで人とつながるコミュニケーションツールになり、セルフィー人気が高まっている

これまで細かいバリエーションモデルを投入して、様々なユーザーニーズに応えることでZenFoneは販売数を伸ばしてきた。しかし今や明確な製品特徴を持ったオッポのような製品に人気が集まっているのである。新興国でもはやスマートフォンは「魔法の道具」ではなく「SNSにセルフィーを流す」「街中で使う姿を見せて自慢する」ツールに変わりつつあるのだ。ZenFoneがモデル数を絞るもう一つの理由は、個々の製品のイメージを消費者へより明確に伝えるためでもあるはずだ。

ZenFone 4は素晴らしい製品として登場するだろう。しかし妥当なスペックと妥当な仕上がり、そして妥当な価格と、新鮮味にやや欠ける製品となるかもしれない。たとえばデュアルカメラだけではもはや消費者に驚きを与えることは難しい。もしかすると5月に業務提携したナノルクスの暗視カメラ機能が上位モデルに搭載されるかもしれない。とはいえインパクトとしてはやや弱いだろう。

ASUSはむしろSnapdragon の最上位モデルを搭載するであろう、ZenFone Proのプロモーションに注力するかもしれない。サムスンとファーウェイはどちらもフラッグシップモデルがあり、それがメーカーの顔になっている。これはLGやソニー、HTCなど複数のスマートフォンを展開している大手メーカーはどこも同じだ。一方ミッド・ハイレンジをフラッグシップとしているオッポとビボは、製品スペックではなくセルフィーという強力なメッセージを消費者に与えて支持を受けている。

▲ASUSが注力すべきはハイスペックモデルだろう(写真はZenFone 3 Deluxe)

ユーザーターゲット層が広くPCも手掛けているASUSが世界シェア10位内を目指すのであれば、製品展開戦略は大手メーカーと同じ道をたどるべきだろう。つまりこれからはメーカーの顔となり全体をけん引するようなフラッグシップモデルの存在が必要となるはずだ。なにせZenFone 4は黙っていても売れるような、バランスの取れた名機として登場するだろうからである。ZenFone 4ではなくZenFone 4 Proの発表に世界中がざわめくような製品展開が行なわれれば、下位モデルも含むASUSの全製品に注目が集まるようになるだろう。モデル数を絞れば、フラッグシップモデルも目立ちやすくなる。今年のZenFone 4シリーズがどんな製品展開、展開が行われるのか。今から楽しみである。