生理用ナプキン、重ねばきや洗いすぎなどもかゆみの原因に

かゆみが強いときや長引くときはカンジダ腟炎や性感染症、がんなど病気の疑いも。治療は原因を見極めて

生命にはかかわらなくてもひどく悩まされるデリケートゾーンのかゆみ

婦人科に来られる患者さんのさまざまな訴えのなかで、生命にかかわることはほとんどないのに、患者さんをひどく悩ませるのがデリケートゾーンのかゆみです。
多くの場合、陰部や腟にはっきりした荒れや腫れがあってかゆみが出ていますが、そうした異常がないのに強いかゆみや長引くかゆみで苦しんでいる方もいます。

デリケートゾーンのかゆみは家族や友人にも相談しづらいため、がまんして長引いたり悪化して初めて病院・医院に足を運ぶ人が少なくありません。自分で何とかしようと、市販の塗り薬を利用している方も多いようです。

かゆみの原因はさまざまだが、受診すれば早く治るものも多い

かゆみの原因が細菌やウィルス、真菌(かび)などである場合は、婦人科で相談していただくと比較的スムースに治療できます。

疲労や糖尿病、抗がん剤治療などで抵抗力が落ちているときには、病原菌に負けて炎症が起こり、痛みやかゆみが出ます。下痢や便秘が続いているときにも、陰部の病原菌の量が増えて炎症が起こり、同様の症状が出ます。
大変まれですが、外陰部にもがんができることがあって、なかなか治らない強いかゆみが続くことがあります。

かゆみが強い、悪化する、一時的に塗り薬で症状が治まっても繰りかえすといった場合は、早めに婦人科で診察を受けることが必要です。

案外多い日常生活に原因があるかゆみ

冬場になると乾燥によって陰部だけでなく皮膚のさまざまなところにかゆみが出ることがあります。さらに、毎日のように熱いお風呂に入ったり、石けんを使って念入りに洗う、トイレの洗浄機を頻繁に使うといったことも、かゆみの原因になります。

人間の皮膚には皮脂といって、皮膚を保護してくれるバリアがあります。体を洗いすぎたり、石けんなどの界面活性剤を使用すると、皮脂が奪われて皮膚の守りが弱くなり、かゆみが出やすくなります。
陰部は非常に傷つきやすいので、洗うときも強くこするのは禁物です。やさしくなでるように洗うといいでしょう。特に閉経後の方では、皮膚も薄く敏感になっているので注意が必要です。

また、寒さ対策の重ねばきや通気性の悪い下着、ガードルやジーンズなどしめつけるような衣類も、蒸れや刺激からかゆみを起こすことがあります。
このように、かゆみの原因が日常生活に潜んでいることは案外多いので、状態をしっかり見極めて粘り強く対処していくことが大切です。

生理用ナプキンや尿もれパッドは使用目的に合わせて

月経(生理)用ナプキンやおりものシート、尿もれパッドなども、かゆみを起こす原因になります。特に、尿もれ対策に生理用のナプキンを使用したりするとかぶれやすくなります。生理用は血液を吸収するように作られているので尿は十分には吸収されず、皮膚が尿にひたされた状態になり、刺激されてかゆみが出ます。

また、高機能のナプキンは汚れが目立ちませんが、長時間取り替えずにいることでかゆみが出ている場合もありますから、こまめに取り替えることが大切です。

最近は肌触りの良い布製のナプキンを使う人も増えていて、素材や防水機能、持ち運びなどにさまざまな工夫のある製品が販売され、選択肢が広がっています。

治療はまず原因の見極めが大事

がまんできないほどの強いかゆみにおりものの異常を伴う場合は、カンジダ腟炎や、トリコモナス腟炎などの性感染症の可能性があります。

カンジダ腟炎を起こすカンジダ菌は誰もが体にもっているありふれた真菌(かび)の1種で、乳酸菌のような腟を守る善玉菌などとよいバランスで存在している分には何の問題もありません。しかし、過労や病気、抗生物質の使用などで腟内の菌のバランスが崩れると、カンジダ菌が増えて炎症を起こします。

ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)には炎症を鎮める強い効果がありますが、カンジダなどの真菌が原因のときに単独で使用すると、症状が悪化する場合があるので注意が必要です。

カンジダ性の腟炎や外陰炎が繰り返し起きる場合、病院・医院で治療歴のある方に限って薬局で購入できる専用の市販薬もありますから、薬剤師さんに相談するとよいでしょう。性交渉がきっかけで発症している場合は、パートナーと一緒に治療することが必要です。

診察しても特に異常がないのにかゆみが続く場合、抗アレルギー剤や漢方薬が有効なことがあるので担当医に相談しましょう。腟の乾燥によるかゆみには、保湿効果のある専用のゼリー剤(メノケアモイストゼリーなど)が市販され、入浴後に使用することで症状が改善されます。

(編集・制作 (株)法研)
※この記事は2015年2月に配信された記事です