本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決!
 
【今回の相談】「友人にお金を貸しています。頼まれるたびに貸し、合計額は300万円近くに。借用書もあるし、友人の実家はタワーマンションと裕福そうなので、信用したんです。でも、返済予定日から1年以上たっても、『今はお金がない』の一点張りで、いっこうに返してくれません。収入のない友人の代わりに、彼女の親に返済してもらうことはできますか?」(30代・女性・会社員)
 
【回答】「仲岡家・家訓『お金は貸したと思うな。あげたと思って貸しなさい』」(仲岡しゅん)
 
今回のご相談。まず、あえて厳しい現実をお伝えしておきましょう。それは「お金を貸してしまった時点で、9割負け」ということです。借用書をきちんと書いてもらっている場合は、裁判自体には勝てることが多いでしょうね。
 
ところが、裁判に勝っても、問題はその後なのです。「9割負け」というのは、たとえ裁判で勝ったとしても、実際にお金が返ってくる可能性は低いということなんですのよ。お金を借りるということのプロセスから考えれば、ある意味、当たり前ともいえます。
 
お金がないやつに裁判で勝っても、ない袖は振れないわけで、強制執行をかけても回収できない、というケースが往々にしてありますわ。そうなると、もうお手上げです。ないお金は、弁護士がいくら頑張っても、取れません。だって、ないんですもの!
 
そのうえで、本題の「相手の親から取れるのか」というご質問。
 
本人にはお金がなくても、その親はお金持ち、というのなら、「おどれの娘のやったこと、親やったら責任取らんかい!」と言いたくなる気持ちもわからないではありません。しかし、親と子は血縁上や戸籍上のつながりはあれど、法的には全くの別主体です。
 
相手の親族の経済力をアテにしてお金を貸すのなら、「お金を貸してしまった後」ではなく、「お金を貸す前」に保証人になってもらっておく必要があるのです。
 
なお、民法第446条2項に、「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」とあるように、きちんと書面に残しておかないと効力がありませんので、ご注意を。保証人になる側からすれば、口約束だけで簡単に保証人になってしまってはハイリスクなので、ちゃんと書面で意思表示をする必要があるわけですね。
 
そういうわけで、いくら親にお金があっても、本人自身にはお金のない人物に貸してしまったのは、貴女自身のご判断。相手と話し合って、親を保証人にするよう求めることはできるかもしれませんが、残念ながら、法的に請求することはできません。
 
さて、最後に、仲岡家の家訓をご紹介しておきましょう。『お金は貸したと思うな。あげたと思って貸しなさい』。わたくしは、そうしてます。