ユーザー接客で目指す、「ウェブの歴史に名を刻む」インパクト

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倉橋健太と柴山直樹が2011年に創業したプレイドは、あらゆるサイトへの訪問者をリアルタイムに可視化し、会員登録や購買につなげるウェブ接客プラットフォーム「KARTE(カルテ)」を提供。KARTEを導入したサイト運営者は、訪問者一人ひとりの名前、性別、年齢、閲覧履歴などのステータスに合わせて、データに基づいた適切な接客を個々の訪問者それぞれに対して自動的に行うとができる。
 
磯崎哲也がゼネラルパートナーを務めるフェムトグロースキャピタルは、14年7月に投資を実行した。

磯崎:2人と初めて会ったのは14年春です。倉橋さんは楽天勤務時代の楽天市場での経験を、柴山さんは東京大学大学院で行っていた機械学習の研究を生かした事業内容であり、組み合わせが非常に良いと感じたのが第一印象です。

インターネットが商業化されて以降、”集客するため”の技術は、グーグルの広告などで花開いてきました。ただ、サイトへの”訪問後”の技術は発達していない。KARTEの構想を聞いた時、サイト訪問者に最適な体験を提供する接客の世界は、サイト訪問前の世界と同様、膨大な広がりがあると思ったのです。最初の資金調達ラウンドで1億5000万円を投資したのも、「日本発グーグル」になるという期待を抱き、経営陣は開発や営業に集中してほしいと考えたためです。

倉橋:社員数は50名ほどですが、採用や働く環境についての妥協は一切ありません。エンジニアが多く、開発スピードはものすごく速いです。日本のベンチャーファイナンスの第一人者である磯崎さんが、自分たちのチームにいるのはすごく心強いですし、壮大な目標について共通の目線を持っていただいた。ある種の覚悟があり、大きな夢を一緒に目指していると感じています。

磯崎:フェムトグロースキャピタルは、起業家との”コミュニケーションを密にしたハンズオン”が大事だと考えています。その点、「プレイドは手がかからないねえ」と、他の投資家とも話しています。ベンチャー企業はトラブルが続くものですが、プレイドは勝手にすくすく育ってくれるので、キャピタリストとしては、ちょっとつまらないですね(笑)。

倉橋:成長要因のひとつは、ウェブ接客市場が日本国内だけでも非常に大きいこと。接客はECだけと思われがちですが、金融・不動産・人材など、BtoBを含めた全業界で使われています。こうした横展開ができているのは、KARTEの導入や運用が手軽で、サイト運営者がペルソナ(主要な利用者の人物像)ではないリアルなお客様を把握できることに普遍的価値があるからです。

柴山:良いウェブ接客を実現するためには、処理スピードが重要です。個人に紐づく細かなデータまで解析し、自由度の高いアクション・フィードバックをコンマ1秒で全て返せて、初めて成り立つ世界。つまり、史上初めて”ヒトとサーバーが話せる時代”が訪れた中、我々はその最先端を走っているのです。

KARTEは足元の課題解決のためではなく、2人の「将来こういう世界になったら」という思いを形にしたプロダクト。我々はヒトを中心にインターネットを再設計し、グローバルで受け入れられる、ユーザー体験のスタンダードにしていきたい。

磯崎:これだけ順調に成長していると、日本における比較的大きめの上場案件になる可能性は高そうです。ただ、それが目標じゃないだろう、と。ウェブの歴史に名を刻むインパクトを起こせるはずなので、小さくまとまらず、多少リスクがあろうと、でっかい夢を追ってほしいですね。

磯崎哲也(いそざき・てつや)◎フェムトグロースキャピタル ゼネラルパートナー。早稲田大学政治経済学部卒業後、長銀総合研究所を経て、カブドットコム証券の社外取締役、ミクシィ社外監査役などを歴任。公認会計士・システム監査技術者。著書『起業のファイナンス』『起業のエクイティ・ファイナンス』。主な投資先は、トレタ、Tunnel、クラウドクレジットなど。

倉橋健太(くらはし・けんた)◎プレイド代表取締役CEO。同志社大学を卒業後、楽天に新卒入社し、楽天市場事業の成長に貢献。2011年10月にプレイドを創業。

柴山直樹(しばやま・なおき)◎プレイド取締役CTO。東京大学工学部にて神経科学、同大学院にて機械学習の研究に従事。2009年未踏本体採択。13年同大学院博士をドロップアウトし、CTOとして参画。