管理職の9割が欠く必須スキルとは

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ひどい上司はほぼ全ての業界・職務で簡単に見つかるが、それには納得できる理由がある。

新人管理職は、職務の中心となる「人の管理」の訓練をほとんど、あるいは全く受けていないことが多い。人事部いわく、トレーニングの予算は毎年削減されるばかりで、特に「ソフトスキル」の訓練は予算削減で真っ先に削られてしまう。

私たちの大半は、紛争解決・交渉・議論・説得などの高度なコミュニケーションを苦手とする。私は、全ての子どもが幼稚園からこうしたスキルを学習し、実践すべきと考えている。

だが現実はそうではなく、若者は対人コミュニケーション能力が乏しいまま社会に放り出され、問題は悪化するばかりだ。管理職にいきなり配置された人の多くが、訓練や支援を受けられないでいる。

そうした人は、恐怖に支配された上司となる。「この目標を何としてでも達成しなければ!」との脅迫観念以外の指導計画や哲学がない上司だ。

管理職の中には、信頼関係を基盤とした「大人の」リーダーシップを経験したことがなく、信頼で結ばれたチームはどんなものか知らないし、どうやって自分の管理手法を恐怖ではなく信頼に基づいたものへ変化させるかが全く分からない人もいる。

リーダーシップ能力向上の最初の一歩となるのは、「視点取得(perspective-taking)」と呼ばれるスキルを培うことだ。これは、大半の管理職(そして大半の人)が持っていない能力だ。

ここでは、このスキルを身につけるための3つの方法を紹介する。

1. 仕事上での対面・電話・電子メール・スラック・SMSなどを通した会話で、難しい、困ったと思うことがあればメモに残そう。1日の終わりにそれを読み返して、その会話のどの部分が自分をいらだたせたのか、なぜ相手はこうした立場を取ったのか、を考える。他者の視点で考えれば、自分を困惑させたりいら立たせたりする問題を解決する手掛かりになる。

2. あなたの意見に反対する人は悪い人でも、愚かな人でもない。物事を見る視点があなたと違うだけだ。他者の視点で考えるスキルを向上させるために日記をつけ、職場でいら立ちを感じた会話や、他者の視点に立ってコミュニケーションの障壁を克服した出来事について記録しよう。

3. 誰かと対立していなかったとしても、相手の視点に立ってみよう。「あの人はあれやこれについてどう思うか?」と考え、周りの人を観察する癖をつける。他者の視点は、良質な営業・マーケティング・顧客対応、そして優秀なリーダーシップの基本となる。営業では「見込み顧客の頭の中に入り込め」と言われるが、これは営業だけに限らない。上司に壮大なアイデアを売り込むとき、旅行先について恋人を説得するときなど、全ての人が学べるスキルだ。

例えば求職者が企業研究を行うとき、次のように採用担当者の視点を探ることができる。

「私がアクミ・エクスプローシブス社で働くことになれば、採用を担当するのはITディレクターのチャーリーだ。考えてみよう。彼は半年前にこの職に就いたばかり。彼の目標は何だろう」

「アクミはトーンタウン・インダストリー社を10月に買収したな。今から9か月前だ。チャーリーとチームの業務は格段に増えたに違いない。同社はおそらくまだシステム統合を進めている」

「チャーリーの課題はここだろう。私からはチャーリーに連絡を取り、買収後の統合作業がどれほど難しいかについて言及し、彼への共感を示そう」

他者の視点で考える練習をして、そのスキルが劇的に向上することを実感してほしい。