カナダ・トロント市が新設工事費6万5,000ドル(約722万円)と見積もっていた公園の階段を、1人の市民男性が550ドル(約6万円)で作ってしまうという出来事があった。

坂で転ぶ人を見て

トロント市エトビコ地区にあるTom Riley公園は、「エトビコのセントラルパーク」と呼ばれ、市民に愛されている約14ヘクタールの公園だ。小川や散歩道、テニスコート、野球場、市民農園などがある。

「近所の知り合いが、市民農園に向かう急な坂で転ぶのを見たんだよ」と、階段を作った男性Adi Astlさん(73才)は言う。

また、彼の奥さんは地元メディアの取材を受けて、「これまでにも大勢の人がそこで転んでいるんです。その場所には石が転がっていて、公園が出来た当時からそのままになっているんです」と話している。

市議に相談したが解決せず

Astleさんは、その坂に階段を設置できないかと考え、市議会議員のJustin Di Ciano氏に相談した。すると、6万5,000〜15万ドル(約722万円〜1667万円)の費用がかかると言われたそうだ。

「きっと市の議員たちはエスカレーターでも作るつもりだったんだろう」

Astleさんはこんな皮肉まじりの感想を地元メディアに漏らしている。

無許可で階段を設置

元機械修理工のAstleさんは、問題を解決しようとしない市の態度に業を煮やし、行動を起こした。ホームレスの男性を1人、助手として雇い、材木で階段を作ってしまったのだ。段数は8段。出来上がるのに1日かからなかったという。

「14時間で出来上がったよ。基本的な段の部分は8時間で出来た。その後で手すりを付けたり、細かい仕上げをしたりでちょっと時間がかかった」とAstleさんは言う。

安全基準を満たしていないため取り壊しに

市に無許可で作られたこの階段は、その後、安全基準を満たしていないという理由で取り壊しが決定。22日撤去作業が行なわれた。

だが、この一件で市当局は重い腰を上げ、その場所に新たな階段を設置すると市民に約束した。

この結末にAstleさんは満足しているようだ。メディアの取材に答えて「僕が作ろうとしたのは市民の安全だよ」と言っている。