体験者: 中国・湖南省  Kさん(仮名)・中国人女性20代

2016年の3月、筆者はスカイプを通じて怪談会を行った。ホストは筆者で、某霊能者、某テレビプロデューサー、某ラジオパーソナリティの女性というメンバーであった。

 

このラジオパーソナリティの女性、実は東海地方A大学の現役留学生で中国人である。地元では最もメジャーなFM局で、当時某コーナーのパーソナリティを務めており、容姿端麗かつネイティブの日本人かと思うほど日本語が流暢なことで話題になった女性である。歌も上手い。東海地方の方は「もしかしてあのコかな?」と思われる方もいるかもしれない。

怪談会がスタートし、それぞれの実体験を交替で話していく。そしてその女性Kさん(仮名)に順番が回ってきた。Kさんは日本に来る前の中国での心霊体験を話しはじめた。

 

「私が中学生だったときの話なんですけど、たくさんの人が住むようなマンション?の3階に住んでいたんですね」

 

早朝、彼女は学校に行く支度をしていた。食事を済ませ、着替えるために自室に戻る。

 

「外はまだ薄暗かったんですけど、部屋の電気はそのとき付けなくて着替えてました。そしたら、窓の外に顔があって、私びっくりしちゃって、急いで電気を付けてもう一度窓を見たんですけど、その時にはもう何もいなくて」

 

Kさんが住む3階は地上から10メートルほどの高さにあり、窓の外に人が立つことは不可能だという。彼女が見たのはどんな顔だったのか。

 

「すごい、怒った顔?してました。」

 

これを聞いたとき、メンバーの中の霊能者が何かに気づいたような声を漏らした。

 

「…ああ…うん、そうかあ…」

 

筆者が霊能者にたずねる。「何か視えましたか‥?」

 

「…うん、あのね…今、視えたのは……これ床の下…かな? …地下かなにか暗いところで…、うーん…壺か何かを持った人がいるんだけど…、それと…もうひとつ視えた映像がね……首をバッサリ切られてるようなのが視えたんだけど‥。もしかするとだけど、強盗にそれを奪われて、殺されたとかなのかなあ」

 

筆者はKさんにたずねた。

 

「今の霊能者さんの話を聞いてどうですか?何か思い当たるような…」

 

筆者の問いかけにKさんは、

 

「いやー…心当たりないです。」

 

全員が沈黙し、考え込む。筆者も次の話に進行しようかと意識し始めた矢先のこと、

 

「あっ!」と、Kさんの声である。

 

「私、学校に通学するまでの道の途中に、そういえばたくさんお店があるのを思い出しました! お店にはいろんな物が売ってて、人がたくさん来ていろんな物を売ったりするようなお店がすごいありました」

 

Kさんは自宅近所に質屋街があるというのを思い出したのである。そこには盗品とも判別できないようなさまざまな物品が売買されていたらしい。

 

霊能者とKさんの情報を連結させて推測するとすれば、Kさんの自宅マンションが建設される以前、その場所に顔の霊の主の家屋があり、主人は強殺され、盗まれた壺(か何か)は近くの質屋で売りさばかれたのかもしれない。

 

強盗殺人による被害者の念はその場所に強く残る場合があることから、殺された主人の霊は新しくマンションが建設された後もその場所を離れられずにいるのかもしれない。今もなお犯人を探し続けている…とすれば悲しい話である。怒りの表情を伴って現れるというのは生半可な怨念ではないのだろう。無論、これは筆者の仮説に過ぎない。

 

Kさんにはもうひとつ似た心霊体験がある。

 

日本に留学してからの話だが、彼女の留学先であるA大学には同県T市にもキャンパスがあり、最初の一年間だけT市に通学していたらしい。

 

Kさんは大学の日本人の友人から、「ここは幽霊のうわさがあるから暗くなる前に帰ったほうがいいよ」という話を聞く。

 

ある日、Kさんは帰りが遅くなり、運動場で不思議な人を見る。辺りはすでに薄暗い。

 

「…人かな?」と思ったがよく見るとおかしな点に気づいたという。

 

「ハン、トウメイ(半透明)?というんですか。体がちょっと透けてました。格好は、兵隊の格好をしてて、何か喋ってるみたいだったんですけどわからなかったです。服装はほんとにすぐ兵隊さんだと分かりました」

 

表情はどうだったのだろうか。

 

「少し、さみしそう?に一方向をずっと見てました。それでずっと何か喋ってるような感じでした」

 

Kさんの話はいわゆる「地縛霊」の類なのかもしれない。建物こそ新しく建て直されているのだろうが、以前その場所で亡くなった者が霊となり現れるという点においてそう思うのである。

 

7月は夏休みを利用しての引っ越しが増えるシーズンである。引っ越し先が中古物件であれば以前の入居者のことを気にすることもあるだろうが、新築ならばそんな心配はしないだろう。

 

だがもし、新築なのに不可解なことが身の回りや建物内で起きはじめたら…。土地の歴史や昔話を紐解くと何らかの関わりを見い出せるかもしれない。

 

文=MASK校長

 

「ムーPLUS」のコラム・レポートはコチラ