【SUBARU レヴォーグ試乗】走り、安全性、高級感を磨き、ワンランク上のスポーツワゴンへ

写真拡大

SUBARU「レヴォーグ」といえば、「レオーネ」と「レガシィ」が築いた“SUBARU ツーリングワゴン”のポジショニングを継承する、今や希有となった国産本格ステーションワゴン。

2013年秋の第43回東京モーターショーで初公開され、翌2014年春に発売がスタート。以来、これまで約3年間で9万5000台以上のセールスを記録しています。

そんな、SUBARUにとって超重要モデルが、先頃、マイナーチェンジを実施。8月7日の発売開始を前にクローズドコースで試乗することができましたので、今回はその印象をレポートしたいと思います。

SUBARU車といえば、毎年少しずつ改良の手が加えられることで知られています。レヴォーグもその例に漏れず、2014年デビュー直後の「A型」(SUBARU内での呼称/以下同)、“アドバンスド・セイフティー・パッケージ”が加わった「B型」(2015年)、走行性能を高めた高性能グレード「STIスポーツ」が加わった「C型」(2016年)と、毎年進化を重ねてきました。

そして今回、SUBARUがいうところの“ビッグマイナーチェンジ”により、「D型」へとバージョンアップ。開発陣はD型の進化ポイントとして、「内外装のリフレッシュとクルマとしての使いやすさの向上」、「動的質感の向上と乗り味の熟成」、「先進安全技術のさらなる進化」という3つを挙げています。

3つめの「先進安全技術のさらなる進化」に関しては、先日のレポートでその核となる“アイサイト・ツーリングアシスト”の実力を参照いただくとして、今回は残りふたつの部分についてレポートしたいと思います。

まずは「内外装のリフレッシュとクルマとしての使いやすさの向上」から。正直いって、外観はあまり変化がありません。

細かく見ていくと、フロントグリル下にあしらわれ、レヴォーグの表情を特徴づけているU字状のモチーフがよりワイドでシャープな形状に。それに合わせ、フロントグリル、ヘッドランプ、フォグランプ、アルミホイールなどのデザインが新しくなっていますが、変更ポイントはごくごくわずか。ユーザーから高い支持を得ている人気モデルだけに「デザインは変える必要がなかった」というのが正直なところかもしれませんね。

一方、車内では、シンプルにシルバーの塗装が施されていたデコレーションパネルの大半を、ブラックパネルに金属調の縁取りをプラスしたものに変更。8インチカーナビへの対応や、中央に備わる“マルチファンクションディスプレイ”のワイド&高画質化などと相まって、随分、高級感が増したように感じられます。

また実用面においても、リアシートのフォールディング機能を、従来の6:4分割可倒式から4:2:4分割可倒式に変更。これにより、4名乗車時でもスキー板などの長尺物を積載できるようになるなど、使い勝手を高めています。

続いては、やはり気になる走りの部分、「動的質感の向上と乗り味の熟成」についてチェックしましょう。

今回、D型で走り始めてすぐに感じたのは、静粛性の向上でした。前後ドアガラスの板厚をアップさせたり、吸音材を増量させたりといった地道な対策を施すことで静粛性を上げたとのことですが、それらの効果は絶大。ワンランク上のクルマになったかのような、静粛なキャビンを実現しています。

クルマとしてのランクアップを実感させる要因としては、静粛性の向上もさることながら、乗り心地の良化も大きな要素となっています。前後サスペンションのチューニングを見直し、総じて“柔らかい仕立て”になった新しい足回りは、路面からの入力に対してしなやかに対応し、車体をできるだけフラットな状態に保とうとしてくれます。

かといってD型は、柔らかいだけの腰抜けか、といわれれば、さにあらず。リアのスタビライザーの直径を小さくすることで、路面に対するタイヤの追従性をアップ。さらに電動パワーステアリングを、ハンドルの切り始めからリニアにアシストし、転舵状態からハンドルを戻す際には自然でスムーズに戻るようなセッティングに変更ことで、ドライバーが意のままに操る楽しさを追求しています。実際、左右のコーナーが連続する試乗コースをドライブしてみても、ステアリングフィールは常に自然。車体は筆者の思いどおりに向きを変えていきます。

レヴォーグのプラットフォームは、先に登場した「インプレッサ」に採用される最新の“SGP(スバルグローバルプラットフォーム)”ではありませんが、SGPに導入された技術やノウハウを可能な限りフィードバックしているのだとか。そうした点が、乗り心地と走りの楽しさを高次元でバランスさせた、D型の楽しいドライブフィールにつながっているのかもしれません。

ちなみにパワートレインに関しては、あまり大きな変更は行われませんでした。従来から、2リッターの直噴ターボ(最高出力300馬力/最大トルク40.8kg-m)は強烈な速さを発揮していましたし、1.6リッターの直噴ターボ(最高出力170馬力/最大トルク25.5kg-m)も不満のない力強さでしたから、スペック的なものは、もはや必要にして十分、との判断なのでしょう。

そんな中、1.6リッター仕様は、インジェクターの燃料噴射設定を変更して実用燃費を向上させたほか、2リッター仕様に搭載される“オートステップ変速”機構を採用して加速フィールを良化させるなど、細かな改良が加えられました。これを見ると、D型は“1.6リッター偏重”のようにも感じられますが、それもそのはず、今やレヴォーグの販売台数は、約8割が1.6リッター車なのだとか。レヴォーグのオーナーたちは、小排気量の直噴ターボエンジンに大いなる魅力を感じているようです。

レヴォーグが搭載するギヤボックスはCVT=“リニアトロニック”です。ただし、シームレス変速でスピードが乗っていくのが特徴の一般的なCVTでは、こと運転する楽しさにおいては、美点が逆に違和感につながるのも事実。それを解消するため、2リッター仕様のリニアトロニックには、従来から一般的なAT車のように(擬似的に)ステップを刻んで変速する機構を採り入れ、効率よりも人の感覚を優先していました。そして今回、それが1.6リッターモデルにも展開された結果、D型はすべてのモデルにおいて、従来モデルよりもリズミカルにドライブを楽しめるクルマとなりました。

今回の試乗中、そういえばレヴォーグという車名は「Legacy Revolution Touring」からとられた造語であったことをふと思い出しました。東京モーターショーで初お披露目された時、「SUBARUにとってはまだまだ、レガシィの存在は偉大なんだな…」、「レガシィからツーリングワゴンがなくなって大丈夫か?」などと、筆者はひとり勝手に、不安視していたことを覚えています。

あれから間もなく4年。走り、安全性、高級感に磨きを掛け続け、レヴォーグは欧州ブランドのステーションワゴンと比べても、決して見劣りしないクルマとなりました。そして、販売台数だけでなく存在感の面においても、もはやレガシィと並ぶ、SUBARUのビッグブランドのひとつへと独り立ちしたようです。

<SPECIFICATIONS>
☆1.6 GT-S アイサイト
ボディサイズ:L4690×W1780×H1500mm
車重:1560kg
駆動方式:4WD
エンジン:1599cc 水平対向4気筒 DOHC 直噴ターボ
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
最高出力:170馬力/4800〜5600回転
最大トルク:25.5kg-m/1800〜4800回転
価格:307万8000円

<SPECIFICATIONS>
☆2.0 GT-S アイサイト
ボディサイズ:L4690×W1780×H1490mm
車重:1570kg
駆動方式:4WD
エンジン:1998cc 水平対向4気筒 DOHC 直噴ターボ
トランスミッション:CVT(スポーツリニアトロニック)
最高出力:300馬力/5600回転
最大トルク:40.8kg-m/2000〜4800回転
価格:361万8000円

(文/&GP編集部 写真/SUBARU)