共謀罪法施行 準備行為の規定があいまいで企業活動委縮の懸念

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共謀罪法が施行 テロ対策に留まるのか?

11日、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法につき、いわゆる「共謀罪」を処罰する内容の改正法が施行されました。この法改正については、日弁連や多数の学者や有識者が反対し、デモなども全国各地で繰り広げられてきましたが、国会を通過し、一部施行されることとなりました。

政府与党は、同法改正については「テロ対策である」などとし、一般人の処罰は想定されていないような説明をしていますが、果たして実際にそうなのか、というのは未だ疑問が払しょくできないところです。その理由は、同法の定義する「団体」が必ずしも犯罪組織に限定されていないことや、テロとはおよそ無縁の犯罪類型までその処罰可能性が拡大されていることなどが挙げられます。


企業活動が委縮する恐れも

そういった同法の改正により、企業もまたその活動に萎縮的な効果が発生するのではないかという懸念が出ています。いわゆる共謀罪の適用される犯罪は実に277種類にも及んでおり、その中には会社法や金融商品取引法など、ビジネスに関連する法律も多数含まれています。ある弁護士グループは、特許権侵害を例に挙げ、特許権の発生している商品の類似商品を開発しようと企画、準備した段階で処罰が可能ではないか、などと指摘しています。また、弁護士や税理士など、企業に助言する立場の職種にとっても、準備行為に加担したなどとして捜査の対象となりうるのではないかという懸念もあります。

法律というものは、多様な社会的事実に対応が求められる分、ある程度多義的な表現になってしまうことがあります。例えば、「人を殺したら犯罪です」。これは比較的分かりやすい表現です。「人を殺す」ということに多様な意味合いは含まれにくいからです。一方で、「公然とわいせつなことをしたら犯罪です」。これは、比較的分かりにくい表現です。「公然」って、どこまでの意味なのか、また、「わいせつ」とはどういう意味なのか、一義的明確にこれという範囲が分からないからです。

先日施行された改正法についても、「どこまでを含むのか」という意味で一義的明確とはいえません。ある意味で仕方がない部分もあるかもしれませんが、それゆえに企業活動等について一定の萎縮的な効果が起こりうるという指摘は正しいと思います。

では、どういった場合に実際に摘発されうるのか、ということについては、法が施行され、実際に検挙された実績が重ねられ、実務的な運用が定着し、中には実際に検挙された例で犯罪の成否が争われ、裁判所が法解釈について判断を下すといったことが繰り広げられていく中で定着していくというのがこれまでの流れです。

この点、法務省は各地方検察庁に警察庁は都道府県警に対し、適正な捜査を求める旨通知等を行ったとされています。今後、どういったケースで警察が動くのか、ニュースに注目していきたいと思います。


【河野 晃:弁護士】


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