AKB48グループのメンバーによるプロレス興行「豆腐プロレス The REAL 2017 WIP CLIMAX in後楽園ホール」が、8月29日に東京・後楽園ホールで開催される。

 同イベントは、今年1月から7月までテレビ朝日系で放送されたドラマ「豆腐プロレス」とコラボしたプロレスイベント。

 当日は、「SKE48」の松井珠理奈扮する“ハリウッドJURINA”や「HKT48」の宮脇咲良演じる“チェリー宮脇”など、ドラマで活躍した「WIP(ワールド・アイドル・プロレスリング)」の選手たちが出場するほか、「AKB48」のメンバーたちがリングの上でバトルを繰り広げるという。

70年代から続く芸能界と女子プロレスラーの接点

 そもそも、昔から芸能界、とくに女性タレントとプロレスには接点が多い。

 古くは1970年代には、山口百恵や桜田淳子などを輩出した日本テレビ系番組「スター誕生!」で決勝大会に進出したマッハ文朱がプロレスデビューして注目を集めて、女優や歌手として活動していたミミ萩原がプロレスラーに転向した際も大きな話題を呼んだ。

 2000年代に“ファイティング・オペラ”を標榜して多くの大会を開催した「ハッスル」にはインリン・オブ・ジョイトイをはじめ、多くの女性芸能人が“参戦”。

 近年ではグラビアアイドルの愛川ゆず季や赤井沙希はプロレスラーとして本格デビューし、リングの上で激闘を繰り広げた。

 一方、70年代にプロレスマットで活躍した「ビューティ・ペア」や80年代の「クラッシュ・ギャルズ」などがレコードデューを果たしたり、キューティー鈴木や井上貴子がグラビアで活躍するなどの女子プロレスラーが芸能界に進出するケースも多い。
 
 また、作詞家でAKB48グループの総合プロデューサーの秋元康氏は86年に旗揚げした「ジャパン女子プロレス」にアドバイザーとして携わっていたこともあり、「モーニング娘。」をプロデュースするつんく♂も、全日本女子プロレス所属のレスラーによるユニット「キッスの世界」のプロデュースを担当。

 日本を代表するアイドルのプロデューサー2人が、くしくも女子プロレスに関わっているのも、興味深い。

共通する“点”ではなく“線”で楽しむ魅力

 女子プロレスラーもアイドルも、肉体を使った表現者としてそのパフォーマンスで観客を魅了するという点は共通しているが、両者にはさらなる類似点があるという。芸能評論家の三杉武氏はこう語る。

 「プロレスラーも、アイドルも特定の空間でのその時点でのパフォーマンスだけでなく、その成長過程や生き様でファンを魅了する点も相通じるものがある。“点”ではなく“線”、現在だけでなく過去や未来も含めて楽しむファンの熱量に支えられている部分は大きいでしょう」

 プロレスラーといえば、メインイベントやタイトルマッチに絡む人気レスラーになる前は誰しも先輩レスラーの付き人として雑用をこなし、デビューしてからも若手は前座試合などで技術を高めたり、経験を積んでいく。

 アイドルもまた、メジャーな存在になるまではほとんど客のいないステージでパフォーマンスを披露し、グループやユニット内でも先輩メンバーたちのサポートをしたり、バックダンサーを務めたり、代役を務めたりしながら成長を遂げていく。

 「それにプロレスもアイドルも『強さ』や『可愛さ』といった単一的な基準だけで評価が決まるものではなく、個性を武器にさまざまなタイプの魅力を持つ者が活躍できる土壌がある点も共通していると思います」(三杉氏)

プロレス挑戦は原点回帰

 ドラマの撮影、そして今回のプロレス興行に向けてAKB48グループのメンバーたちは多忙なスケジュールの中、元プロレスラーのミラノコレクションA.T.氏や女子プロレスラーの下田美馬の指導のもと数カ月にも及ぶ練習に励んだ。

 そんなメンバーたちの姿を見ていた秋元氏は、「リングの上で汗を流すメンバーたちの姿は、『AKB48』が結成して間もない頃のレッスン風景と重なる」と話していたという。
 
 今や国民的アイドルとなったAKB48グループにとって今回のゼロからのプロレス挑戦は“原点回帰”になるとともに、7人の観客しか集められなかった結成当時を知らない今のメンバーたちにとっては大きな刺激になったことだろう。
 
 ドラマに続き、ファンが間近で見守る中、リングに上がる彼女たちはどんな成長や変化を見せるのだろうか。
 
(文責/JAPAN芸能カルチャー研究所)