見た目は無色透明のミネラルウオーターなのに、口にすると、オレンジやリンゴといったフルーツの香りと味がする「フレーバーウオーター」がここ数年、急激に増えています。フレーバーウオーター人気はなぜ高まり、市場が拡大したのでしょうか。

 オトナンサー編集部では、飲料総研の宮下和浩さんに聞きました。

無色透明で味が薄い「中間的存在」

 そもそも、フレーバーウオーターとは、ミネラルウオーターに果物や野菜、ハーブ、スパイスなどを少量加えて風味づけした飲料のこと。無色透明で、普通のソフトドリンクより味が薄く、ミネラルウオーターとソフトドリンクの中間的存在といえます。

 現在、日本国内で販売されている主なフレーバーウオーターは以下の通りです。

【い・ろ・は・すシリーズ(日本コカ・コーラ)】

 2009年5月18日にミネラルウオーターが発売。フレーバーウオーターとしては2010年7月、温州みかんエキス入りの「い・ろ・は・す みかん」がリリースされたのを皮切りに、リンゴ、アロエ、レモン、トマト、桃、梨など多くの種類が販売されています。地域限定のハスカップ、あまおう(苺)も。

【サントリー天然水シリーズ(サントリー)】 

 2014年4月、ミネラルウオーターの「南アルプスの天然水」をベースに100%有機栽培のオレンジを加えたフレーバーウオーター「南アルプスの天然水&朝摘みオレンジ」が全国で発売。2015年4月以降、乳清(ホエイ)の乳酸菌発酵液をブレンドしてヨーグルト味に仕上げた「南アルプスの天然水&ヨーグリーナ」「朝摘みグレープ&サントリー天然水」「はちみつレモン&サントリー天然水」がリリース、2017年春には、透明なレモンティー「サントリー天然水 PREMIUM MORNING TEA レモン」が話題でした。

【おいしい水プラス「カルピス」の乳酸菌(アサヒ飲料)】

 2016年7月発売。天然水に「カルピス」の乳酸菌をブレンドし、独自の製法により透明なまま仕上げたフレーバーウオーターで、すっきりと甘ずっぱい風味が特徴です。

やや出尽くし感も…課題は結局「味」

 上記以外にも各社がさまざまな商品を販売しており、スーパーやコンビニエンスストアにおけるフレーバーウオーターの存在感は確実に高まっています。飲料総研によると、2016年に2億7050万ケース(1ケース=500ミリリットル×24本)であったミネラルウオーター市場のうちフレーバーウオーター(スパークリング含む)は17%(約4500万ケース)を占めるほどに。フレーバーウオーターがここまで浸透した理由は何でしょうか。

 宮下さんは、着色料や甘味料などの人工的な添加物を除いた「自然由来の飲料」を求める消費者の増加が背景にあると考えます。

「健康ブームの昨今、フレーバーウオーターは『普段は体に良いものを意識してミネラルウオーターを飲むけれど、時々は甘いジュースも飲みたい』という消費者のニーズをうまくキャッチできたのです。『健康に良さそうな』無色透明の見た目をしており、手に取りやすいことも人気の要因と考えられます」(宮下さん)

 また、既存ミネラルウオーターのブランドを冠している商品が多いことも、健康に良いイメージを後押ししているとのこと。甘さはありつつ、一般的なソフトドリンクよりもヘルシーにすっきりと飲める点が健康志向の消費者に支持されているそうです。

 海外に目をやると今春、「世界初の透明なコーヒー」をうたう商品も発売されて話題になりました。歯の着色汚れをなくす商品として開発された「CLRCFF(Clear Coffee)」は、無色透明ながら味はしっかり“コーヒー”でカフェインも含まれるそうです。

 ただし、宮下さんによると、日本市場ではやや「出尽くし感」があるのも事実とのこと。フレーバーウオーターの今後の課題について、宮下さんは「斬新さとか健康イメージを売りにするだけでは一過性の人気で終わってしまいます。決め手は結局のところ味。定番商品として飲み続けてもらえるおいしさを、一層追求していく必要があるでしょう」としています。

(オトナンサー編集部)