北朝鮮との対話を打ち出した韓国・文在寅政権に対し、主要紙が慎重な対応を求めている。特に北朝鮮への圧力を強める米国・トランプ政権との関係を重視。「金正恩政権に利益をもたらすだけ」などと指摘している。資料写真。

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2017年7月22日、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮との対話を打ち出した韓国・文在寅政権に対し、主要紙が慎重な対応を求めている。特に北朝鮮への圧力を強める米国・トランプ政権との関係を重視。「韓米両国の協力関係に亀裂が入れば、金正恩政権に利益をもたらすだけ」などと指摘している。

聯合ニュースなどによると、韓国国防省は17日、北朝鮮に対し、軍事境界線付近での敵対行為の中止に向け、軍事当局者会談を21日に板門店で行うことを提案。大韓赤十字社も南北離散家族の再会行事実現などのため、8月1日に赤十字会談を板門店で開催するよう呼び掛けた。

文大統領は今月6日のベルリン演説で北朝鮮との対話を改めて提唱。対話の働き掛けを本格化させた形だが、北朝鮮は21日なっても反応せず、黙殺する構えとみられる。

文政権の提案について、保守系の朝鮮日報は「首脳会談の3週間後に表面化した韓米間の不協和音」との社説を掲載。「過去の南北対話も国連による制裁の効果を弱め、危機に追い込まれた北朝鮮政権に息を吹き返させることが多かったが、同じように17日に韓国政府が北朝鮮に対話を提案したことも間違いなく不適切だ」と批判した。

同紙は米ホワイトハウスのスパイサー報道官が17日(現地時間)の記者会見で「トランプ大統領は(北朝鮮との対話のため)満たすべき条件を明確にしてきたが、現時点ではそれらの条件が満たされたとは到底言えない」と述べたことに言及。「韓米両国政府の考え方に隔たりがあることは最初から分かっていたが、ここまで早く形となって表れるのは意外だった。朝鮮労働党の金委員長は今の状況を見て笑いが止まらないだろう」と皮肉った。

保守系の中央日報も社説で「先月、韓米首脳会談でトランプ大統領が韓半島(朝鮮半島)の平和統一環境の造成のため、韓国が主導的役割を果たすことに支持したのは事実だ。だが、それでも韓国政府が米国との十分な協議なしに一方的な対北朝鮮政策を推進することまで了解を得たと見なせばそれは大きな間違いだ」と強調。「日本・米国などと歩調を合わせられなければ圧力であれ、対話であれ、いずれも効果を発揮することができない」と先走りをいさめた。

左派系のハンギョレ新聞はコラムで北朝鮮を「核への力量を高めても、北東アジアでは弱小国にすぎない。核の保有は警戒心を抱かせるだけで、世界の政治地形に大きな影響を及ぼさない」と評価してみせた。対応に関しては「北朝鮮との対話と制裁の間隔を埋めるきめ細かな計画が求められている」と主張。「対話と制裁を並行しながらも、両方のバランスを取っていかなければならない」と対話一辺倒の路線に疑義を呈している。(編集/日向)