終戦から節目の60年を迎えた今年。広島や長崎での平和記念式典や15日の戦没者追悼式では「戦争体験を次世代に語り継ぐ」ことが宣言された。それは、60年という歳月が流れ、「戦争の語り部」たちが年々少なくなっていく危機感の表れでもある。戦争体験の風化が危ぶまれる中、自治体が中心になって独自に県民の戦争体験を聞き取り、平和の大切さを訴える取り組みが広がりつつある。

 滋賀県は、1993年から県民への聞き取りを開始。戦争体験を継承するため施設「平和祈念館(仮称)」の建設を計画中で、聞き取り活動はその一環。県民一人ひとりの戦争体験を、平和を願う心の原点と位置づけ、戦争を知らない世代に戦争の悲惨さを伝えていく。

 これまでに県民1000人以上から体験談を取材。ホームページ上のバーチャル平和祈念館で紹介しているほか、97年からは体験談集「記憶の湖(うみ)」として発行。現在、「女性たちの戦争体験」「子どもたちと戦争」「戦争の中の青春」など第6巻まで発行、県内の小中学校や図書館などに配布している。

 同県は「終戦50年のときから、戦争体験の継承が必要との助言を受けていた。今年は60周年。戦争を風化させないための取り組みをしていかなくては」と話している。

 また戦時中、50回を越す空襲を受けた大阪府は、1991年に大阪市と共同で大阪国際平和センター(ピースおおさか)を設立した。広島、長崎や沖縄など多くの犠牲を出した戦争の苛酷さを忘れず、平和実現のために戦争体験を語り継ぐのが目的。戦争関係資料の展示や講演会などを通して平和への願いを発信している。【了】