「学生が集まるとは思えない。定員、授業料など問題が多すぎる」、「『獣医学』に関して広範な農学教育が必要なのではないか。農学系に強いとは思えない岡山理科大でそれが可能か疑問が残る」

 文春今週号の「『加計に決めました』出来レース議事録」で紹介される、獣医学部新設が予定される岡山理科大学の教職員たちの声である。これは2014年5月から6月にかけて実施されたアンケート調査で回答されたもの。安倍首相が加計理事長を「まさに腹心の友だ」と言ったのは、このアンケート調査の最中、5月24日のことであった。

表町の元ホステスが言うことには

 記事は、内閣府の山本幸三大臣と日本獣医師会の面談の議事録など様々な文書などから事の次第をつまびらかにしていく。そればかりでなく「高級クラブホステスの告白」の小見出しも立ち、記者が岡山市の歓楽街・表町にある加計理事長行きつけの高級クラブの元ホステスを取材している。

「加計さんはとにかく飲み方が汚い。自分が頼んだ芋焼酎を、飲めない女の子にもどんどん飲ませて酔わせようとしていた。そうして体に触ろうとするんです」


加計孝太郎氏 ©共同通信社

 また親子で同じクラブに飲みにいくそうで、「息子さんはとにかく口が悪い。『自分の家族は庶民とはレベルが違う。俺くらいになったら下々のキミたちとは違うから』と語っていました」と別の元ホステスのコメントも。

 上述の岡山理科大学のアンケートの「意見集」には、「アベを使うなどのやり方がきたない。獣医ができたら間違いなく財政が厳しくなる。(略)見栄を張るためか、息子のためか?」との、今の騒動を予見したかのような意見もある。

 飲み方も汚けりゃ、息子の口も悪い。おまけにやり方も汚いのであった。

小柳ルミ子が言うことには


小柳ルミコ ©近藤俊哉/文藝春秋

「サッカーはただクソ真面目にやってもダメ。ずる賢くないと。ジャッジを味方につけてしたたかに。それも人生だから(中略)サッカーは人生の縮図、社会の縮図、人間関係の縮図なの」。今週号の「“サッカー解説者”小柳ルミ子が『さんまと比べないで』」で紹介される、小柳ルミ子のサッカー解説の一節である。

 こちらをもじれば、加計学園問題とは、「獣医学部新設はただクソ真面目にやってもダメ。ずる賢くないと。政治を味方につけてしたたかに」か。お友達政治の縮図である。

2000回を超えた静穏な表紙

 この加計問題や松居一代、千葉の老人ホームでおきた睡眠導入剤混入事件などを今週号は報じる。ひとがひとであるがゆえに引き起こす醜聞・艶聞・事件を伝える、文春に限らず、それが週刊誌の役割だ。

 そんな中味とは裏腹な、和田誠の静穏なイラストの表紙、このギャップも文春の魅力か。


 

 和田誠のイラストは先週号で2000回に達した。40年をかけての偉業である。そこで始まったアンコール企画で、今週号の表紙には過去の傑作として1978年4月20日号のものが用いられている。

 39年前のものでありながら、知らないとそうだと気づかない、古びることのないイラストである。

「どんな聖人も一皮むけば金と女と権力」

 長期にわたる連載でいえば、文春オンラインに先週、漫画家の植田まさしのロングインタビューが掲載された。代表作「コボちゃん」の新聞連載は1万2000回を突破し、「かりあげクン」はコミックスが60巻に達する植田まさしであるが、長続きする理由を問われ、こう答える。

「うーん……。変わらないものを、通俗的に描き続けているからでしょうか」(注)

 普遍的な人間の通俗性、週刊新潮の創刊にたずさわった齋藤十一の言葉を借りれば「どんな聖人も一皮むけば金と女と権力」……、「『加計に決めました』出来レース議事録」はその縮図のような記事でもあった。


(注)「おとぼけ課長」にあって「課長 島耕作」にないもの “4コマ漫画の巨匠”植田まさしロングインタビュー #2 

(urbansea)