7月21日に最新10巻を発売した『デビルズライン』(著・花田陵 講談社 モーニング・ツー連載中)ですが、先日のアニメ化決定に歓喜したファンは多かったようです。
吸血鬼とヒト、公安、あまりに障壁が多い恋など、飢えた心をくすぐるポイント満載の作品ですが、あえて今、その魅力に迫ってみたいと思います。

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■あらすじ
<7巻までの人物相関図:花田先生公式サイトを参照>

鬼とヒトが共存する現代の日本が舞台のダークファンタジー。とは言え、鬼はヒトの血を見ただけで吸血欲を募らせ、果ては陵辱し吸血し死に至らしめる悪鬼として描かれています。ただ、その欲のコントロールについては社会的に研究されつつあり、物語の現代に置いては鬼は差別されながらもヒトと同じように暮らし、ヒトとの結婚も条件付きで可能となっています。

景央大学大学院で社会学を学ぶ平つかさは、自身が巻き込まれた吸血殺人の事件で出会った、警視庁公安部 公安第五課 第2係 F班に所属する巡査・安斎結貴と出会います。彼は鬼とヒトのハーフで、対鬼対策課である公安第五課の警官として鬼関連の事件を追っていました。
彼はハーフゆえに吸血欲が低かったものの、口から出血したつかさの血を舐めたことで吸血欲とそれに伴う性欲が亢進され、自らに潜む鬼の血の存在に思い悩むようになります。
それと同時に、つかさへの恋心も募らせ、いつしか2人は互いに思い合うようになります。
しかし、鬼の血を引く者は性的に興奮するだけで我を忘れ、相手を吸血し死に至らしめる可能性がある存在。それゆえに性交渉はもちろんのこと、性的興奮する可能性のあるキスですら気をつけなければいけないという、障壁を受け入れなければなりません。

ここで1つの疑問が浮かんだ読者も多いのではないでしょうか。
安斎は鬼とヒトのハーフ、つまり鬼とヒトの生殖により誕生しています。物語では彼の出生の秘密や2人の恋愛の進展、そして彼らを取り巻く人々の人間模様が丁寧に描かれていきます。
鬼の存在が、単にファンタジーの産物で「そういう存在だから仕方がない」というふうに描かれるのではなく、あくまでヒトと共存していくためにはどうしていけばいいのかという社会的な問題に焦点を当てた点も、この物語の魅力と言えるでしょう。

■魅力は昂る心を我慢する主人公と……

何と言ってもその魅力は、昂る鬼としての欲望を我慢しながら苦悩する主人公の姿です。
つかさが好きでキス以上のこともしたい、でもしてしまうと相手を殺してしまう可能性があるという安斎の苦悩──恋愛に性欲は不可欠ですが、その性欲が吸血欲と直結しており、その先にあるのが相手の死であるためにセックスもできず、昂ぶった際は鎮静剤を打つか自らを苦悩の表情で慰めて鎮めさせるという姿に、切なさと興奮がないまぜになって、狂おしいほど胸を掻きむしられるのです。

好きな気持ちがあれば性欲なんて我慢できるでしょ? という神話か綺麗事かという一昔前の女子向け恋愛指南書に書かれていた戯言を嘲け笑うかのような、まっすぐで直接的な設定とその描写に、現代の恋愛的に自由になりつつある若い女子たちが、その有り様に「イエス」を投げかけたことがヒットを後押ししたとも言えるでしょう。

■イケメンオンパレードの登場人物たち

そしてもう一つの魅了と言えば、敵にも味方にもちょっとクールな横顔に冷静な判断力を兼ね備えたできるイケメンたちが続々登場することです。
まずは、ダークファンタジーながら割と人物像にファンタジー要素はなかったはずの本作の1巻ラストに突如登場した、銀髪長髪の李ハンス。強くて軽快で、その人間離れしたルックスと運動能力から、安斎の宿敵にでもなるんだろうかと心配しましたが、主人公2人を助け安斎の過去の秘密に関わるキーパーソンとして物語を盛り上げる存在となっていきます。

そして、最近登場し主人公の上司でF班班長となった石丸惠巳は、ウェーブがかった長めの黒髪に気だるそうな瞳、マンガや小説などが大好きだというオタク気質ながら鬼と渡り合えるほどの強さと鬼に関する知識を持ち合わせた英俊豪傑な様が読者女子をときめきの彼方に放り投げました。

ときめきと言えば、ここ数巻の牧村さんや沢崎さんの恋模様ですが、それと同時に彼らに抱いていた安堵や癒しとは対極の、狩られるような危機感の中にある危ういトキメキを提供し続けてくれている警部・菊原桐郎の洗練された美しいルックスと悲しすぎる過去、そして安斎との過去も語らずにはいられません。……が、少し長くなってしまったのでまた次の機会にでも。

10巻は非常に良いところで11巻へのバトンを渡しましたが、0時の発売と共にKindleで購入して夜中に読んで悶えたのは私だけではないはずです。

もし現実の世界に鬼がいて、その鬼を愛してしまったとしたら……とふと考えます。大きすぎる障壁が立ちはだかっていても、主人公の2人のように自分たちの未来を切り開いていく強さが、まっさらな愛情の根源だと言えるのかもしれません。
現在Kindleにて1巻が無料配信中。モーニングの公式WEBサイトでも3話まで無料公開中なので、気になる人はぜひチェックしてみてくださいね。

<参考>
『デビルズライン』1巻〜10巻 花田陵 講談社
『デビルズライン』アニメ公式サイト
※見出し画像は『デビルズライン』アニメ公式サイトのスクリーンショットです。

(貴崎ダリア)